梓川横尾谷右俣下降・左俣・北穂池(北ア)

date 2004/7/20 雨のち曇のち雨
コース 南岳小屋〜南岳〜横尾尾根上部〜天狗原ノコル〜横尾谷右俣下降〜二俣〜左俣〜北穂池の台地〜東稜のコル〜南稜コース〜涸沢カール
実働 7h46m。
概要 北穂池ノ滝撮影と、左俣から北穂池の台地へのルート発見を目的に。
メンバー すうじい(単独)
行程 →:山道、:溯行、\\:藪漕ぎ・踏跡不明瞭、=:交通機関。
【7月20日】 雨のち曇のち雨
南岳小屋6:20→南岳6:30→横尾尾根分岐6:40→天狗原のコル7:20\\7:45右俣カール雪田跡
8:00\\8:25急流帯上8:356m滝大岩9:049:11二俣9:3010:40北穂池ノ滝11:0011:10
2340M奥二俣11:20右岸枝沢11:35\\北穂池の台地雪田下12:00\\12:20北穂池上12:40
\\トラバース草付13:25→\\14:25東稜のコル14:40→15:15南稜登山道15:20→15:55涸沢(泊)
使用装備 E-1、11-22mmF2.8-3.5、三脚、ヘルメット、渓流シューズ水無、ステッキ、アイスハンマー
不用装備 50-200mmF2.8-3.5、テレコンEC-14
記録  '04夏の北ア・シリーズ。赤木沢・薬師沢左俣下降に成功し、ウマ沢溯行を断念、祖父岳・鷲羽岳・槍ヶ岳・南岳雨の縦走をして、いよいよ第3弾:横尾右俣下降・左俣・北穂池へと向かう。

【7月20日】 雨のち曇のち雨
 今日もまた、雨の中の出発だ。双六小屋から一緒の男性に別れを告げ、槍ヶ岳から一緒の男性と共に、南岳小屋を出る。雨と強風の南岳を越え、横尾尾根上部の痩せ尾根を下降する。梯子や鎖場が、しばらく続くが、主稜線に比べれば、風が弱いので助かる。

 天狗原のコルで、槍沢方面へ下る男性と別れ、横尾谷右俣カールへ向けて、カールバントのガレ混じりの草付を下降する。足元が崩れ易く、歩きにくい。下るにつれ、傾斜が緩くなり、歩き易くなる。今年はカール底の雪田も、例年より小さいようで、大岩累積帯が広がっている。晴れていれば、大岩の上で、のんびり昼寝でもしたくなる場所なのだが、この雨の中では、休憩もままならない。

 草地帯の踏跡を拾って進むと、モレーン丘の灌木帯にぶつかる。踏跡は、右へと回り込んでいるようだが、途中で不明瞭になる。適当なところで、灌木帯に突入する。少し藪を漕いで、モレーン丘を抜け、ゴーロの流れに出る。水量が多めなので、左岸の草地帯を進むが、草の下に岩々が隠れていて、歩きにくい。

 急流帯が始まる大岩の上で、ソールをフェルトに貼り替える。石滝ゴーロ帯を下降して行くと、30分ほどで、左岸に大岩のある6m滝となる。水量が少なければ、クライムダウン出来る滝だが、大岩の左側に、流木を支点にした残置ロープがあり、これを利用して下降する。

 更に行くと、右俣出合の2段6m滝下2条ハネとなる。右岸を小さく巻く。折角なので、三脚を立てて撮影する。そのまま、草付をトラバースして、左俣に入る。この辺まで下ると、雨はやんでいる。大岩ゴーロ帯を登って行くと、右岸が切り立った場所となり、落石やガレの押し出しが目立つので、左岸寄りを登る。

 今年は、雪渓がかなり小さくなっており、崩れ易いガレの上を登らされる。雪渓に乗っても、クレバスが口を開けていたりして、ルート選択に気を遣う。再びガレから、雪渓に乗り、スプーンカットを利用して、フェルトソールで登って行く。やっとのことで、右岸の大岩壁に懸かる、北穂池ノ滝:落差100mの下に来る。

 この滝は、今回の目的の一つなので、ザックをおろして、三脚を立てる。滝の飛沫なのか、雨なのか、区別がつかないが、レンズに水滴が降り掛かる。傾斜のある雪渓の上で、アイスハンマーで自己確保しての撮影だ。

 さらに高度差にして30Mほど登ると、雪渓は二俣に分かれる。2340M奥二俣である。大キレットやA沢のコルへは、右沢の雪渓を登るのだが、今回は北穂池の台地を目指し、左沢に入る。雪渓の傾斜が増すので、右岸側のガレを登る。右岸の岩壁のバンドに、取り付かされたりもする。

 左沢に入って、50Mほど登った辺りで、右岸から出合う顕著な枝沢に入る。雪渓が少し残り、その奥には、何とか登れそうな階段状の滝が懸かる。滝の手前で、右岸の草付から小尾根に取り付く。小尾根に乗ったら、岳樺等のブッシュ頼りの、ターザン登りとなる。草の根を掴んだりして、30M程の登高で、傾斜が緩み、北穂池の台地に乗ったなと、確信する。

 足元は滑り易いが、安全そうな灌木帯となり、やや左へとトラバース気味に登って行く。灌木帯を抜けると、草地となり、北穂池の台地の雪田下に出る。岩々帯の下から、伏流する沢音が聞こえ、やはり北穂池ノ滝の水源は、ここの雪田であったかと納得する。

 岩々帯を東南東へと進み、北穂池を見下ろす小鞍部に出る。草付をトラバース気味に下り、北穂池の南側の岩々斜面に、荷物を降ろす。さて、東稜のコルへのルートを、捜さなくてはならない。しばらく、空身で偵察する。

 微かな記憶を辿って、南南西に続く草付の中の小沢沿いに、登ることにする。急登をこなすと、その上に岩々帯が広がる。左手の小尾根上に立って見ると、左手は沢状になっており、もっと上部で草付をトラバースしているようだ。再び岩々帯に戻り、更に登って行くと、草付混じりに、薄い踏跡状が現れる。これに勇気付けられて、更に頑張って登ると、草付の尾根に乗る。

 沢状の上部の草付斜面をトラバースする踏跡は、草に覆われて見付けづらいが、草付斜面中程の岩に、白ペンキの丸印があり、何とか発見した。入口の目印に、小さなケルンを積んでみた。踏跡さえ見付ければ、あとはそれを辿るだけだ。

 草付斜面をトラバースして、小尾根に乗り、これを少し登って、左手のルンゼに入る。いつもは、遅くまで雪渓が残る急なルンゼだが、今年は岩屑で埋まっている。少し登ると、右岸の岩壁に、白ペンキで逆L字の矢印が描かれており、ルンゼの上部には、雪渓が残る。そこから、右岸のザレた凹角を10mほど登って、小尾根に乗る。

 小尾根の草付を登って、更に左手の窪状に入り、これをひたすら登る。やがて、2814Pに続く尾根上を登るようになる。白ペンキ印が、時折現れるが、2814P付近で、踏跡不明瞭になる。岩々帯を南へ進み、しばらく東稜のコルを捜す。

 東稜のコルらしき場所に出るが、ガスの中、踏跡の下って行くルンゼは、非常に急峻に見える。意を決して、ザレた草付斜面の踏跡を下降する。2m程の涸棚の下降が、一番緊張した。いつもは、Y字雪渓の残るルンゼだが、今年は、雪が全く無い。

 右岸寄りに踏跡を辿って下り、Y字ルンゼの左俣のガレをトラバースすると、左俣には僅かに雪渓が残る。左俣を合わせて、右岸寄りの草付に踏跡を辿ると、北穂沢の岩々帯に出る。北穂沢の雪渓を慎重にトラバースし、さらに岩々帯をトラバース気味に下降すると、やっとのことで南稜コースの登山道に出た。

 少し休憩した後、歩き易い登山道をひたすら下る。次第に、涸沢ヒュッテが大きく見えてくる。今年は、雨が続くせいか、まだテントが少ないようだ。充実した今日の山行も、無事フィナーレを迎える。

概念図

アルバム

滝見亭・甲信越の滝」に滝写真集「梓川横尾谷'04-07_」があります

梓川横尾谷右俣出合 2段6m滝下2条ハネ
右俣出合 2段6m滝下2条ハネ 正面からスローで
梓川横尾谷左俣右岸 北穂池ノ滝
梓川横尾谷左俣右岸 北穂池ノ滝
梓川横尾谷左俣右岸 北穂池ノ滝
雪渓を少し登って正面から
梓川横尾谷左俣奥二俣直下から、滝と左俣を振り返る
梓川横尾谷左俣奥二俣から、左沢雪渓
岩々斜面から北穂池一ノ池を俯瞰

MR238_ 横尾谷右俣・天上沢下降'85-07

MR293_ 北穂池・A沢のコル・北穂高岳'93-07

MR363_ 横尾谷右俣・北鎌尾根'97-08

MR446_ 横尾谷左俣・北穂高岳'02-07

MR514_ 黒部川源流赤木沢・薬師沢左俣下降'04-07

MR515_ 祖父岳・鷲羽岳・槍ヶ岳・南岳'04-07

MR517_ 奥穂高岳・前穂高岳'04-07

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