北穂池・A沢のコル・北穂高岳(北ア)

date 1993/07/31 
コース 涸沢ヒュッテ〜Y字ガレ沢右俣〜・2814〜北穂池〜A沢のコル〜北穂高岳〜北穂南稜下降〜涸沢ヒュッテ
実働 6h25m。
メンバー Kt君、すうじい
概要 東稜の・2814付近から北穂池への踏跡、A沢のコルへトラバースは最後のザレが悪い。
行程 =:バス・鉄道、→:山道、:溯行、\\:藪漕ぎまたは詰め

【7月31日】 曇
涸沢ヒュッテ7:40→北穂沢雪渓前8:35→東稜のコル9:10→・2814付近9:35→10:30北穂池10:50\\11:15三ノ池下11:30→\\12:30 A沢のコル12:40→13:30北穂高岳北峰13:40→15:00涸沢ヒュッテ
記録  涸沢定着にて、北穂池へのルートを伝授すべく、後輩の学生Kt君と共に出掛けた。当初は、北穂池から横尾谷左俣に降りて、大キレットへと詰め上げる予定であった。しかし、三ノ池からの下降ルートが判らず、北穂池の台地から、雪渓とガレの登りとブッシュのトラバースを繰り返して、大キレットの北穂寄り、A沢のコルに出た。一番ヤバかったのは、A沢のコル直前の、不安定なザレのトラバースで、一歩進めば半径2mがズズッと沈む感じで、今にも砂雪崩を起こしそうであった。

【7月31日】 曇
 ヒュッテで朝食後、弁当を受け取って出発する。登攀具は、ヘルメットとアイスハンマーのみ。北穂沢右岸のお花畑をゴルジュ上まで登ると、雪渓横の巨岩帯に出る。雪渓にはガスが立ちこめ、緊張感を盛り上げる。北穂沢雪渓を一気にトラバースして、東稜取付のY字雪渓下のザレを登り、Y字雪渓の右俣に入る。右岸のシュルントから、岩場の踏跡を辿れば、間もなく東稜のコルに至る。

 ここから北穂池への下降ルートが判りづらいので、一旦・2814の肩に立ち、東へ急降下する踏跡を確認する。これを辿れば、間もなく踏跡は明瞭となり、左へトラバースして小尾根を越え、雪渓のあるルンゼに降りる。これを少し下って、左岸の小尾根を越え、草付斜面をトラバースして、草付小尾根に乗る。

 左手には、東稜の岩壁下から北穂池の台地に続く斜面に、岩々帯と雪田が広がり、眼下には幾つかの雪田と池が見える。踏跡が不明瞭になり、草地と雪田を適当に下って行く。一番下で東端にある、最大の一ノ池で休憩する。

 池の畔の踏跡を辿り、西側のピョコタンに取り付くが、踏跡はすぐにブッシュに消え、灌木とハイマツの猛烈な藪漕ぎとなる。南側の岩と草地の庭園へ逃げ、緩やかに北西へ下って行く。途中、幾つか池がある。三ノ池は、・2479の台地の辺りで、広いスロープの裾にあり、大きな雪田を控えている。ここから横尾谷左俣に下降するルートがあるはずだと捜すが、踏跡は見付からない。

 谷への下降は諦めて、雪田の右端に沿って登る。しばらく登った所から、右手の薄い藪をトラバースして行くと、やや急なガレに出る。左岸は崖を有する痩せ尾根で、ガレを少し登ると、かなり急な雪渓となる。ステップを切りつつ、この雪渓を慎重に登ると、左岸の痩せ尾根は斜面に吸収される。そこで、右手へトラバースして行くと、今度は岩々帯となる。

 岩々帯をトラバースし、ハイマツの小尾根を藪漕ぎして越えると、再び岩々帯に出て、トラバース気味に登る。大キレット最低鞍部を右手に見て、正面には、北穂高の北壁右下に、滝谷A沢のコルが見える。ガレを登って行くうち、北穂高の北壁に突き当たる。

 右手のザク斜面をトラバースさえすれば、目指すA沢のコルは目前だ。しかし、このザクが曲者だ。まるで流砂のようなザクは、一歩踏み入れれば、半径2mが沈み込み、ズズッと流れ始める。まるで蟻地獄である。意を決して、先ずすうじいから、慎重かつ敏速にこれを越える。緊張の瞬間だ。続いてKt君も無事に越え、A沢のコルに至る。

 A沢のコルで呼吸を整え、北穂への急登に取り付く。岩々の間の道は急だが、一般登山道なので安心感がまるで違う。岩間の高山植物を愛でる余裕も見せつつ、北穂小屋に至る。北穂北峰でタルんだ後、南稜を下降する。例の鎖場で、登りの人々の通過待ちで若干時間を食うが、他は順調に下って、涸沢へと帰還する。

MR237_ 北穂池・北穂高岳東稜'85-07

MR292_ 屏風の頭'93-07

MR294_ 梓川二ノ俣谷・大天井岳・燕岳'93-07

MR516_ 梓川横尾谷右俣下降・左俣・北穂池'04-07

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