黒部川源流赤木沢・薬師沢左俣下降(北ア)

date 2004/7/16-17 曇のち雨、曇のち雨
コース 折立〜太郎平〜薬師沢小屋〜黒部川源流〜赤木沢〜赤木平〜薬師沢左俣下降〜薬師沢小屋
実働 第1日:4h25m、第2日:8h40m、計:13h05m。
概要 薬師沢小屋基点、赤木沢・薬師沢左俣周回コース、雨で水量豊富な沢三昧。
メンバー すうじい(単独)
行程 →:山道、:溯行、\\:藪漕ぎ・ツメ、=:交通機関。
【7月16日】 曇のち雨
大宮=5:49富山6:05=8:00折立8:20→9:35△1870.6 9:40→10:35小休10:55→11:45太郎平
12:10→13:00第3徒渉点13:10→13:45薬師沢小屋(泊)

【7月17日】 曇のち雨
薬師沢小屋6:057:40イワナ止ノ滝8:008:10赤木沢出合8:308:35 3段15m 8:45
ウマ沢出合8:559:00 6m滝9:109:15 2段15m2条 9:2510:20 2130M左岸枝沢出合
10:3510:45 4m滝 10:5511:10大滝30m 11:2511:45 2220M二俣12:00\\赤木平
12:45\\薬師沢左俣源流12:502315M左岸枝沢出合13:20大滝多段70m下13:53
14:35小休14:45\\15:35 2160M左岸枝沢出合15:3516:25第3徒渉点16:30→17:00
薬師沢小屋(泊)
使用装備 E-1、11-22mmF2.8-3.5、三脚、ヘルメット、渓流シューズ水無、ステッキ
不用装備 50-200mmF2.8-3.5、テレコンEC-14、アイスハンマー
記録  涸沢定着の前に、ナメで有名な黒部川源流の赤木沢を溯行することにした。北陸地方は、まだ梅雨が明けておらず、連日の雨に悩まされた。

【7月16日】 曇のち雨
 寝台特急「北陸」が、踏切故障の影響で、富山到着が遅れ、始発の地鉄電車に乗り遅れる。だが、駅前に折立行直通バスが停まっており、これに乗ることが出来た。

 折立から蒸し暑い登りを続け、2ピッチ目の休憩中に、雨が激しく降り出す。雨具を着込み、ザックカバーを着ける。予想に反して、太郎平小屋では携帯メールが届かず、小屋の公衆電話を利用する。薬師沢左俣の第3徒渉点を経て、薬師沢小屋を目指す。

 夜になって、ますます激しい雨が降り、かなり不安になる。

【7月17日】 曇のち雨
 朝、雨は上がっている。小屋の受付のお兄さんに、黒部川本流の溯行案内を聴く。6時過ぎ、小屋を出発。左岸の川原沿いを進む。水流二分は、左手の流れの左岸を進む。水流二分の終わりぐらいで、右岸に徒渉するが、流れが深くて、尻まで浸かって苦労する。しばらく右岸沿いに進み、再び左岸に戻るが、徒渉はかなり手強い。

 やがて流れが狭まり、左岸沿いに進む。ゴルジュに入り、腰上のヘツリと言われた箇所は、背が立たない深さになっていた。泳ぎはイヤなので、少し戻り、右岸へと徒渉する。対岸をヘツって、その先で再び左岸へ戻る。徒渉の度に、緊張を強いられる。

 残置ハーケン・シュリンゲをアブミにして、左岸のバンドに乗る。ここからは、左岸通しに進み、イワナ止ノ滝に至る。落差4m 3条の、初めての滝である。水量が多いので、結構な迫力だ。左壁に残置ハーケンとシュリンゲも見えるが、ここは左岸から巻く。

 左岸の巻道から流れに戻ると、やがて川幅一杯の1mナメ滝「超ミニ・ナイアガラの滝」を境に、赤木沢出合の大瀞となる。正面には、本流の2m幅広階段滝が見える。「超ミニ・ナイアガラの滝」を渡って、右岸側に寄れば、赤木沢出合の小滝も見える。静かな、不思議な雰囲気の場所である。

 8時半、瀞は深そうなので、左岸の凹角を登って、赤木沢に入る。沢に降りてナメを行くと、ナメが水流二分する。右岸から枝沢が出合い、3段15mナメ滝が現れる。続く10x 15m 2条を越えると、2010M地点で、右岸からウマ沢が出合う。

 ゴーロを少し行くと、両岸が草付の明るい渓相となり、連瀑帯が現れる。6mナメ滝、15mナメ滝を右岸から巻き、続く2段15m 2条を、左岸の草付スラブから巻く。6m滝の右壁を登り、3x 6mナメを越えれば、一段落。

 少し行って、2段5m 2条を登り、2段10m下トヨナメは左壁(右岸)から越える。左岸、右岸から枝沢を迎え、右岸から(1:10)の水量比で、5mトヨ滝を懸ける枝沢が出合う。更に、左岸から2本の枝沢が出合い、その先で、インゼル状の大岩を挟んで、3m滝が二つ懸かる。

 右岸から水流二分の枝沢が、(1:10)の水量比で出合い、10x 20mナメ滝を越えると、2130M左岸枝沢が、水量比(4:1)で出合う。左岸枝沢には、7m滝が懸かり、本流は15m階段状、6mトヨナメと続く。その先の釜で、右岸から、(1:6)の枝沢が滝を懸けて落ち合う。

 右岸から枝沢が出合い、4m滝を越えると、また右岸から枝沢が出合う。3段15mナメ滝、5x 8mナメ滝を越えると、左岸から(10:1)の枝沢が、小滝を連続させて出合う。ゴーロ状の本流の先には、遙か高所から、大滝が懸かるのが見える。

 前衛滝5mを越えて、大滝30mを撮影しに行こう。飛沫を浴びながら、しばし三脚を立てる。さて、大滝の高巻きは、左岸小尾根状の草付に取り付く。リッジの右手の凹角から踏跡を辿り、どんどん登って行く。大滝落口上部にトラバースして、高巻きは終わる。

 大滝上には、滑床が続き、(2:1)の2225M二俣に至る。ここで荷物を下ろし、昼飯にする。稜線に詰め上げるか、赤木平から薬師沢左俣を下降するか、考えながらオニギリを頬張っていたら、ついに雨が降り出した。丁度12時、急き立てられるように腰を上げ、予定通り、赤木平を目指して右俣に入る。

 15m階段状、10m3条、8m下トヨナメ、8mナメ滝と、快適に登って行く。更に連瀑帯は続く。適当な所から左岸の枝沢に入って、草地を北へと進むが、ちょっと仕掛けが早すぎたようで、草地はやがて、ブッシュ帯に変わってしまう。しばらく藪漕ぎして、赤木平の草地帯に出る。

 晴れていれば、長閑な別天地なのであろうが、霧雨の下では、現在位置も判りにくい。左手に瀬音を聴き、ハイマツのブッシュを漕いで、薬師沢左俣源流の川原に下降する。しばらく平凡な川原を進み、やがて巨岩帯を下ると、3m滝となり、左岸から(3:1)の2315M枝沢が出合う。

 さて、そろそろ左俣の大滝があるはずだと、緊張して進むと、大滝多段70mに出くわす。はじめは、右岸沿いに下降するが、下降すると登り返せそうもない壁の上で、水流沿いに左へとトラバースし、左岸側へと移る。少し左岸沿いに下降し、細かいホールドを利用して、左岸の草付へと脱出する。草付を下降して、振り返れば、大滝の上部はガスに包まれており、撮影を諦める。最下段のあたりで、右岸へと渡る。

 これで核心部は終わったと思ったのは、大甘であった。すぐに8m幅広滝が現れ、左岸を巻き下る。続いて、4x 8mトヨナメ2条、4x 6m2条を下り、8mハネ滝と3m滝を右岸から小さく巻く。続く8m滝は、右岸を下り始め、そのままルンゼまでトラバースして下降する。4m2条ナメ滝を下降して、疲労のあまり、何でもないところで転んで、小釜に尻餅を突く。

 これはいかん、と小休し、行動食を頬張る。ゴーロを少し進むと、魚止滝10mのゴルジュとなる。両岸の切り立ったゴルジュに落ちる直瀑である。ザイルも無いし、巻くしかない。右岸を少し登って偵察するが、踏跡は無い。通常は、左岸の崖上を巻いているように思われたが、転落が怖いので、大事をとることにする。

 少し戻って、左岸の草付を登り、ブッシュ帯に突入し、疲れた身体にむち打って、藪を漕ぎながら右上方へと進み、2160M左岸枝沢との中間尾根を越える。そのまま下降して行くと、2160M左岸枝沢の8m滝に出る。連瀑帯を下ると、さほど困難も無く、(2:1)の出合に降り立つ。午後3時半である。

 時間的にも、体力的にも、精神的にも余裕が無く、ゴルジュの奥の魚止滝を撮影せずに歩き出す。4m2条、2段6mを過ぎ、最後の8x 12mトヨナメを、左岸の草付スラブから巻き下ると、あとはひたすら、平凡なゴーロ歩きに終始する。

 雨の中を釣り歩く、2人連れの釣師に遭うと、第3徒渉点の橋は近い。登山道に上がり、少し先のベンチで小休。午後4時半、腰を上げ、あとは一気に薬師沢小屋へと急ごう。午後5時丁度、小屋に戻ると、受付のお兄さんも心配してくれていた。

 その夜も、一晩中、更に激しい吹き降りが続いた。黒部川がさらに増水しておれば、予定のウマ沢溯行は無理だな、と思いつつ床に就く。

溯行図

アルバム

黒部川本流の
イワナ止ノ滝4m3条
赤木沢出合の大瀞
同じく大瀞から
本流側の2m幅広滝
赤木沢最初の滝
3段15m
ウマ沢出合手前の
10x 15m2条
6m滝・15m滝
2段15m2条
6m滝
6m滝下から
2段15m2条と下流を俯瞰
2段5m2条
細長い淵の奥に
2段10m下トヨナメ
2130M左岸枝沢出合手前の
10x 20m
2130M左岸枝沢出合
枝沢の7m滝二段
本流の15m階段滝
4m滝と続く3段15m滝
大滝前衛5m滝
大滝2段35mの下段30m
左岸高巻きの小尾根から
大滝2段35mの上部
同じく
大滝2段35mの下部を俯瞰
左岸高巻きのザレバンドから
大滝上段5mと上流側の滑床

MR515_ 祖父岳・鷲羽岳・槍ヶ岳・南岳(北ア)'04-07

MR516_ 横尾谷右俣下降・左俣・北穂池(北ア)'04-07

MR517_ 奥穂高岳・前穂高岳(北ア)'04-07

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