阿武隈川白水沢左俣・阿武隈川本谷(那須)

MR244 阿武隈川白水沢左俣・阿武隈川本谷(那須)

date 1985/09/15-16 曇、雨 
コース 新甲子温泉〜甲子温泉〜白水沢左俣左沢〜甲子山トラバース道分岐〜甲子温泉〜阿武隈川本谷
〜スダレ山西肩〜峰の茶屋〜大丸温泉
実働 第一日:6h10m、第二日:8h50m、計:15h00m。
メンバー すうじい(単独)
概要 阿武隈源流第二弾、白水沢後、本谷雌滝手前泊、源頭石楠花這松漕ぎ。本谷は長く、日帰りはキツイ。
行程 =:バス・鉄道、→:山道、:溯行、\\:藪漕ぎまたは詰め
【9月15日】 曇
白河7:00=新甲子温泉7:40→8:30甲子温泉白水沢出合8:5010:10二俣10:2510:35奥二俣10:45
\\12:15甲子山トラバース道分岐12:35→甲子温泉13:25→14:00本谷の川原14:0515:00BP(泊)

【9月16日】 雨
BP 6:509:25雄滝上9:5010:15赤滝下10:2012:15 6m滝上12:25\\15:00スダレ山縦走路15:10
→15:50峰の茶屋16:00→16:40大丸温泉16:45=17:40黒磯
記録  83年6月、私は独り、阿武隈源流を訪れた。透き通るような瑞々しい翠の中、雨とヤスデに見舞われながら、一里滝沢と南沢を溯行した。なかなか快適な沢登りを楽しめたのだが、その年の夏〜秋に行なった足尾の泙川流域の集中的な踏査の方に没頭してしまい、阿武隈源流を再び訪れるプランは、しばらく忘れ去られていた。

 今回、「事情が判っていて、岩魚がいて、沢としても楽しめる所」という条件から、久々に浮上した山城である。またまた雨に降られたが、岩魚も一尾釣れたし、雄滝や赤滝などの大きな滝も見れたので、満足して帰って来た。本谷は長いので、日帰りではキツかろう。

【9月15日】 曇
 白河駅の待合室で寝て、始発のバスに乗る。終点の新甲子温泉で降りたのは、茸取りの爺さんと私の二人だけだ。釣師の車が、結構、入っている。甲子温泉の大黒屋も、客が多い。

 白水沢出合の白水滝8mを左壁から越え、次の堰堤を巻く。すぐに左岸から、吹上沢が伏流となって出合う。衣紋ノ滝20mの手前で、見物用の遊歩道が、右岸をトラパースして降りて来ている。右岸の巻道を登る。

 10mヒヨングリ、7m滝の左壁を登り、ナメや小滝を越えて行くと、右岸がスラブ状になっている所で、(2:3)の二俣になる。左俣に入って少し行くと、(1:1)の二俣で、左は15m滝2条、右は4段30mだ。15mの左壁を慎重に登って、左沢に入る。

 10m滝は、右壁のバンドから水流へトラパースしてみたが、岩が脆い上にかぶり気味で、断念する。水線左からシャワークライムすれば、登れそうだ。左岸のガレから巻く。25m滑滝の弱点を拾って越えると、やがて(1:1)の二俣で、右はナメが続く。

 ここで、左に入ったのは、失着だったようだ.急な窪に水が消え、泥壁をプッシュ頼りに登る。細い木の根を拾い繋いで、やっと小尾根に乗る。藪の急登に疲れ果てた頃、登山道に出る。少し右に行くと、甲子山トラパース道分岐だ。

 甲子山は前回登ったので、タルミの後、即下る。白水沢出合を経て、大黒屋の前を通り、本谷沿いの林道を辿る。この林道は、途中右に下る道を分けた後、次第に草ぼうぼうになり、いつしか踏跡同然となる。林道終点から、堰堤の上流へ下る踏跡を辿って、本谷の川原に立つ。

 本谷は長いので、明日の行程を考えて、雌滝の少し手前まで進んでおくことにしよう。そろそろサイトを決めなくては、と思う頃、足元を走る魚の影があった。ザックを下ろして竿を出すが、全く相手にしてくれない。

 サイトを整地してツェルトを張り、薄暗くなったので夕マズメを狙う。蛾を餌にして、先程のポイントの水面を叩くと、スーツと黒い影が寄って来て、蛾をつっ突く.だが、こちらの気配を感じたか、身を翻して再び姿を見せなかった。雨が降り出したが、まだ止めるわけにはいかない。

 その先の2段になった滑滝の中段に、流れの強いポイントがあり、試しに蛾を流れに沈めてみた。ゆっくり大きく脈を打たせてみると、急に重くなる。流心に引き込まれたかな、と思って竿を上げると、岩魚が掛かっているではないか。やった!サイトに戻って、すぐに焚火だ。22cmの小物だが、岩魚さんに会えたのだ。次第に本降りになる雨にもめげず、塩焼きを作る。美味。

【9月16日】 雨
 朝マズメを狙うが、空振り。大きな釜を持つ雌滝15mは、右岸の草付交じりのガレを登り、小尾根に出る。木々の間から、雄滝50mの雄姿が望まれる。この小尾根についた明瞭な踏跡は、更に上へと続くが、アンチョコの記載に従って、小尾根を越えて降りる。

 雄滝右岸のザレた草付を登ると、岩壁の下に出る。基部を左へトラパースして、なんとかプッシュ頼りにターザン登りのできる所から取付く。悪い。草木の根を頼りに、不安定な登りが続く。小尾根状になり、これをツメて行くと、右手に赤土のルンゼのある小ピークに至る。大高巻だ。この先はポロポロの壁になって右手の小尾根に吸収されるので、赤土ルンゼをザイル補助でトラパースして、右手の小尾根に乗り換える。ここからは下りで、上流へ向けて斜めに降りる。

 左岸から枝沢が15mトヨ状滝を懸けるあたりでタルむ。右岸から天狗滝沢が出合うと、やがて(1:1)の二俣だ。左の白濁した流れを辿り、赤滝2段50mを見物しにゆく。黄褐色のスラブ滝で、2段が逆くの字型に折れている。二俣に戻り、右の本谷へ入ると、頭上から飛沫がかかる。左上方から20m滝が、流れを宙に飛ばしているのだ。

 左岸の草付交じりのザレから高巻くが、結構いやらしい。下降開始の判断も難しいようだ。その先の3m滝の左壁のヘツリもまた、ちょっと微妙だ。12mトヨは、右岸の草付登りがややこしい。6m滝を右岸の草付から巻くと、あとはもう滝らしい滝も無く、冗長な、苔生したゴーロ歩きとなる。

 なかなか水が涸れないし、水が涸れたあとも笹藪・石楠花・這松と続く急登が待っていた。最後は、這松のジャングルジムをバランスクライムして、スダレ山の西肩に出た。縦走路まで、更なる這松ミックスの海を泳ぐ。 ぴしょ濡れの身体に風が冷たいので、少し休んだら直ぐに歩き出す。稜線では、横殴りの風が雨粒を叩き付ける。ノンストップで峰の茶屋に至り、雨風を凌げるのでタルむ。大丸温泉まで下ってバスに乗り、黒磯に出た。

溯行図

アルバム

滝見亭」に滝写真集「阿武隈川白水沢・本谷'85-09」があります

白水沢衣紋ノ滝20m
遊歩道は滝下流に出る
右岸を小さく巻いて登る
白水沢左俣右沢出合の
一ノ滝4段30m
左俣左沢出合の
見合滝15m2条
阿武隈川本谷の
雌滝15m
大きな釜を持つ
右岸の草付混じりのガレを登り
小尾根を越す
本谷の雄滝50m
右岸のザレた草付を登り
突き当たった岩壁の基部を
左へトラバース・・・
赤滝沢の赤滝2段50m
同じく赤滝
左岸から接近して

MR172_ 阿武隈川一里滝沢左俣・南沢右俣'83-06

MR327_ 阿武隈川白水沢大白森沢'95-06

MR546_ 阿武隈川源流の滝巡り'05-07

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