野口五郎岳・水晶岳・赤牛岳(北ア)

MR239 野口五郎岳・水晶岳・赤牛岳(北ア)

date 1985/07/27-28 
コース 湯俣温泉〜竹村新道〜野口五郎岳〜水晶岳〜赤牛岳〜読売新道〜東沢出合
実働 第一日:7h25m、第二日:9h05m、計:16h30m。
メンバー すうじい(単独)
概要 竹村新道2700M付近危険、水晶・赤牛重厚な稜線、読売新道の長い下り。
行程 =:バス・鉄道、→:山道、:溯行、\\:藪漕ぎまたは詰め

【7月27日】 快晴
湯俣温泉9:35→12:50 2260Mコル三角小屋跡13:35→17:00真砂岳17:10→17:55野口五郎岳キャンプ場(泊)

【7月28日】 快晴
野口五郎岳キャンプ場4:55→5:05野口五郎岳5:15→7:00水晶小屋7:15→7:40水晶岳南峰8:00→11:05赤牛岳11:35→15:15東沢出合(泊)
記録  湯俣温泉から真砂岳に至る竹村新道、水晶岳から赤牛岳を経て東沢出合に至る読売新道。これらの道は、共にそのアプローチの大変さとコースの長大さによって、人々から敬遠され、北アルプスの中にあっては、珍しく、静かな旅が楽しめる。だが、それを亨受するために、十分な日程と体力とが要求されることは、言うまでもない。また、両コース共に水場が無く、7月中であれば、上部の残雪が利用できる。

【7月27日】 快晴
 湯俣温泉の晴嵐荘横から、急な登山道に取付く。・1644の展望台からは、北鎌尾根と槍が望まれる。2P半の消耗な登りから、湯俣岳南面トラバースに入り、硫黄尾根北面の凄惨な眺めを横目に、2260Mコル(三角小屋跡)へ至る。暑くて堪らないので、木蔭に銀マットを拡げ、昼寝を決め込む。虫の多いのが難点だ。

 ここから新道は尾根の北面を巻いて行き、途中2箇所の、涸れルンゼのやや悪いトラバースを経て、2620Pの這松の北尾根に出てから主尾根に乗る。このあたり、陽射しを遮るものとて無く、苦しい登りである。南真砂岳直下で、単独の先行者に追い付く。南真砂岳の先で、五郎沢側の雪田に降りて、冷たい感触を楽しむ。

 真砂岳直下の2700M付近の尾根は、ボロボロで危険な状態になっていて、とても一般コースとは言い難い。フラフラしながら真砂岳のピークを踏み、野口五郎岳キャンプ場めざして、最後のアルバイトだ。野口五郎岳東面の雪田が、キャンプ場の水源になっており、夕方には引き水の出が悪くなり、直接水汲みに行く。流石に、稜線のサイトは冷える。

【7月28日】 快晴
 朝食後、行動用の水を雪田まで汲みに行くが、気温が低過ぎて水は得られない。止む無く、小屋で貰う。野口五郎岳頂上で、槍・穂から立山、白馬までの、朝のパノラマを楽しんだ後、裏銀座を水晶小屋へ向かう。2Pで小屋に着くが、小屋の直下がザレていて少し悪い。水晶岳南峰までは、半Pの登りだ。南峰は、3000Mに僅か欠ける高度なので、頗る展望がよい。気分は最高だぜ。

 暑くなる前に距離を稼ごうというわけで、先を急ぐ。左手の岩苔小谷側には、水晶池や高天原の、箱庭のと言うよりは、メルヘンのと言うべき世界が、眼下に覗かれる。「ほう」という声が、思わず口に出る。赤牛岳への稜線は、まだまだ続くが、その向うには、立山が構えている。高天原から、水晶〜赤牛の稜線に登るルートが2本、尾根に拓かれているらしいが、それらしい踏跡が、確かに見られた。水晶から2Pで、2715Mコルの雪田に至る。このあたり、風は強そうだが、幕営適地だ。さらに1Pで、赤牛岳頂上に至る。余りの陽射しに、傘をさしてタルむ。

 巨大な薬師岳から立山連峰へと、目で追う。黒部湖がだいぶ近付いて来た。野口五郎岳から北の、まだ踏んだことのない峰々、三ッ岳・烏帽子岳・南沢岳などを、眺める。山頂を後にして、やや悪いザレた稜線から、累々たる岩々を下り、・2578直下の岩陰にて休む。次のピッチの途中からは、樹林帯に入る。読売新道は、実に消耗な、長い長い下りである。これを登ることなど、私には想像もしたくはない。

 1800M付近では、両側から崩れた箇所をクリアして、赤牛山頂から下ること4P、棒のようになった脚を酷使して、東沢出合の奥黒部ヒュッテに辿り着く。テント場の木蔭に銀マットを敷き、ビールを飲んで、まずは昼寝じゃ。明日また、針ノ木峠まで登り返さねばならぬことなど、今の私には、思い出す必要もないことであった

アルバム

湯俣温泉晴嵐荘横から
急な登山道に取付いて尾根上に出ると
展望台があり北鎌尾根が姿を見せる
竹村新道を更に登り
硫黄岳と北鎌尾根
南真砂岳にて
背景は硫黄尾根と槍ヶ岳
南真砂岳から真砂岳・野口五郎岳
野口五郎での夜明け
シルエットは餓鬼岳方面
右奥は浅間か
表銀座の山々
遠景は八ヶ岳
野口五郎岳から
後立山方面
同じく立山方面
同じく赤牛岳と薬師岳
同じく黒岳こと水晶岳
同じく真砂岳・鷲羽岳・笠ヶ岳
左奥には乗鞍岳も
同じく真砂岳・硫黄尾根・槍穂
正面奥が乗鞍岳
水晶小屋付近から
水晶岳・赤牛岳・立山方面
同じく水晶岳
同じく鷲羽岳と槍ヶ岳
来し方の東沢乗越方面を振り返る
水晶岳から鷲羽岳・槍ヶ岳方面
水晶岳から赤牛岳方面
温泉沢ノ頭付近から水晶岳
温泉沢ノ頭付近から
高天原方面と薬師岳
同じく赤牛岳方面
2715コルの雪田近くにて
赤牛岳方面
同じく水晶岳方面
赤牛岳から黒部湖方面
これから怒濤の大下りが始まる
赤牛岳から水晶岳方面を振り返る

MR238_ 横尾右俣・水俣川天上沢下降(北ア)'85-07

MR240_ 蓮華岳・針ノ木岳・種池(北ア)'85-07

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