乗鞍岳スキー登山(北ア乗鞍)

MR186 乗鞍岳スキー登山(北ア乗鞍)

date 1984/2/5-7 
コース 鈴蘭〜鳥居尾根〜冷泉小屋〜位ヶ原山荘〜宇宙線観測所〜位ヶ原山荘〜冷泉小屋尾根〜1950M林道〜乗鞍高原スキー場〜鈴蘭
実働 第1日:4h05m、第2日:3h00m+α、第3日:3h00m、計:10h05m+α。
メンバー Sr氏、Tk氏、Um君、Hd君、すうじい(某山岳部冬合宿)
概要 位ヶ原山荘前雪洞、冬型厳しく、宇宙線観測所までで敗退。
行程 →:ツボ足、:シール、**:アイゼン、:スキー、\\:藪漕ぎ

【2月5日】 雪
新宿23:20=松本5:35=6:30鈴蘭6:50→7:50 1807.3 8:159:30 2000M林道9:5011:10冷泉小屋11:3012:00位ヶ原山荘(雪洞泊)

【2月6日】 雪、稜線では風雪
位ヶ原山荘雪洞7:559:00 2600M露岩9:5510:45宇宙線観測所12:0013:05位ヶ原山荘屋根板坂上15:20位ヶ原山荘(雪洞泊)

【2月7日】 雪
位ヶ原山荘9:3010:00冷泉小屋10:1011:20冷泉小屋尾根2030M 12:001970M林道12:3012:55乗鞍高原スキー場国設第3リフト(ピステ滑降4回)14:0014:25鈴蘭14:50=16:00松本
記録  毎年恒例の厳冬期乗鞍合宿。今年は位ヶ原山荘横に、立派な雪洞を掘った。合宿期間中、近年にない、強烈な寒気団と西高東低の気圧配置が続き、冬山らしい冬山を経験できた。

【2月5日】 雪
 金山ヒュッテ前から、ツボ足でピステを登る。鳥居尾根取付のリフト2本分を、丁度1時間。リフト終点(1807.3)でシールに換え、鳥居を潜って快調に進む。今年は雪が多くて、ブッシュや倒木が邪魔にならない。2000M林道に出たところで、昼飯にする。

 次のピッチでは、冷泉小屋に至る。Tk氏が屋根に登ると、雪に亀裂が入る。ここから位ヶ原山荘までの半ピッチは、パイロットのHd君とすうじいの、ルートファインディングが的確だった。

 位ヶ原山荘前にツェルトを張ってお茶を沸かし、雪洞を掘り始める。3時間半かけて、立派なものが完成する。ツェルトの撤収時に、Sr氏の食器が行方不明になり、以後スプーンの行方不明が続発する。雪洞内では、最奥に位置するHd君が「名主様」となり、Sr氏、Tk氏の両先輩が専ら食事当番をする、という傾向が定着する。雪洞は、広くて、暖かくて、明るくて、快適だ。

【2月6日】 雪、稜線では風雪 -16℃
 朝、外に吊した温度計は-16℃を示し、相変わらず雪が降る。行けるところまでアタックすべく、赤布竿を担いで出発する。適当な間隔で、これを打ちながら、屋根板坂の雪の斜面を直登し、左手の沢を1本トラバースして、岳樺の林を通過する。

 さらに大斜面を左上方へと斜上して、トイレ横の露岩尾根の右手の沢状に入り、露岩の陰にツェルトを張って休憩する。這松の頭を踏みつつ、トイレまでトラバースして、やっと雪上車の竹竿に合流する。ここからは、竹竿を忠実に辿って、肩ノ小屋に至るが、風が次第に強まり、雪面はクラストして、シュカブラだらけになる。

 肩ノ小屋から宇宙線観測所までの、短い道のりが、風雪と氷混じりの地吹雪とシュカブラのお蔭で、苦労させられる。睫毛が凍り付いて、目が開かないほどだ。Um君、大いに難渋する。観測所の中に入ると、まるで天国だ。お茶をご馳走になり、お話を聴いて、引きあげる。差入れを、用意するべきであった。

 頂上アタックを断念し、シールを外して、シュカブラと戦いつつ、肩ノ小屋までモタモタと進む。竹竿を頼りに、慎重に滑降開始。トイレから這松・露岩を経て、赤布竿に忠実に大斜面を斜滑降し、岳樺林から沢をトラバースすれば、屋根板坂上に至る。ここまで来れば、風も弱まり、安心感が膨らむ。新雪・深雪滑降を大いに味わいながら、位ヶ原山荘の雪洞に帰着する。

 午後、時間の余裕があるので、屋根板坂へスキーをしに行く。今日の行動で、軽度の凍傷を負うものが多かった。いやぁ、なかなか厳しかったのだ。

【2月7日】 雪 -22℃
 今朝は、なんと-22℃! 降りしきる雪に、対岸の林道の走る尾根も見えず、燃えるHaupt:Sr氏も、ピークハントを断念。後輩3人全員が下山を主張(Um君、Hd君は勉学のため、すうじいは次の山行のため)、天候も好転が望めないので、撤退を決定。

 重荷を背負っての深雪滑降、Um君の苦難が始まる。冷泉小屋で荷の再分配後、右手の沢(鶴ヶ沢下流)の左岸を下り、沢床に降りて少し行くと、2100M付近で水が出ているので左岸に登り、そのままトラバースして、冷泉小屋尾根上に乗り、尾根通しに下る。

 綿帽子被った針葉樹の間を縫って、ゆっくり進んで行く。尾根の向きが東から南東へと変わった2030M付近で、昼飯にする。さらに尾根を下って、1970M付近で林道に下降する所が、急なブッシュ帯で苦労する。林道を南へトラバースして、乗鞍高原スキー場国設第3リフト中程へ出る。

 時間に余裕があるので、ここのリフトに4回乗って、ピステスキーを楽しむ。新雪滑りを追求して禁止区域に入り、係員に怒られる者がいた。再び荷を背負い、ピステを滑降して金山ヒュッテに至る。タクシーにて松本へ。ガラガラの急行に乗り、ビールと反省会。すうじいは、北八ツへ行くので、小淵沢で下車する。

アルバムブログ
乗鞍岳スキー登山'84-02

MR185_ 八方池往復(八方尾根スキー合宿)'83-12

MR187_ 白樺尾根・中山・縞枯山スキー(八ヶ岳北部・単独)'84-02

MR190_ 景鶴山・平ヶ岳スキー縦走(尾瀬春合宿)'84-03

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