与作岳・景鶴山・平ヶ岳スキー縦走(尾瀬)

date 1984/3/23-26 
コース 戸倉スキー場〜富士見田代〜ヨッピの吊橋〜与作岳〜景鶴山〜大白沢山東コル〜白沢山〜平ヶ岳〜白沢山〜大白沢山東コル〜大白沢山〜大白沢山東コル〜岩塔盆地〜猫又川右股〜山ノ鼻〜鳩待峠〜津奈木橋〜戸倉スキー場下
実働 第一日:8h10m、第二日:5h20m、第三日:6h20m、第四日:6h20m、計:26h10m
メンバー Tk氏、Sr氏、Kt君(L)、Um君、すうじい(某山岳部3月尾瀬合宿)
概要 積雪豊富な尾瀬で合宿、原の横断、与作・景鶴縦走、雪洞泊、平ヶ岳からの展望。
行程 →:ツボ足、:シール、**:アイゼン、:スキー、=:交通機関

【3月23日】 快晴
上野22:10=2:15沼田2:40=3:45戸倉スキー場4:105:00大カッパ沢出合5:156:20 1430M 6:357:30 1590M 7:558:55 1650Mデブリ下9:2010:35富士見田代11:1013:00長沢下部13:4014:50ヨッピの吊橋15:2515:30 BP(ツェルト泊)

【3月24日】 曇のち雪
BP 6:407:40 1650M 7:558:45 1815M肩9:00与作岳9:3010:15 1910M凹地10:2510:50 1950M景鶴西11:00→11:30景鶴山11:45→12:00景鶴西12:1013:15 1850M大白沢山東コル(雪洞泊)

【3月25日】 雪のち快晴
大白沢山東コル8:309:00ススヶ峰分岐9:109:50 1790Mコル10:05白沢山11:0011:15 1890Mコル11:3012:25平ヶ岳13:0013:30 1890Mコル13:50白沢山14:2014:50 1790Mコル15:00ススヶ峰分岐15:50大白沢山東コル16:1016:30大白沢山16:4016:45大白沢山東コル(雪洞泊)

【3月26日】 雪
大白沢山東コル5:455:55 1880M肩6:00岩塔盆地6:45岩塔盆地入口7:007:40二股7:459:00山ノ鼻9:2010:15ハトマチ沢出合10:3511:00鳩待峠11:2512:00津奈木橋12:0512:45 1100M付近13:0013:40戸倉スキー場下14:20=15:35沼田15:39=上野
記録  今年度の3月尾瀬合宿は、軽量化に基づく縦走形式(ツェルトビバーク)を採用し、与作岳〜日崎山の縦走に平ヶ岳往復を加える、という計画であった。数十年に一度と言われる程の積雪量に堪能しつつ、ススヶ峰〜日崎山を除くコースを踏破することが出来た。例年の合宿とは、ひと味違った山行を、ものにすることが出来たようだ。

【3月23日】 快晴 -11℃
 例の長岡行に乗り込み、高崎で「上天うどん」などを食べる。沼田で下車したのは、我々以外に、燧に登るという女性パーティ。すぐにタクシーで戸倉スキー場へ向かう。

 身支度して、シールで登り始める。1Pでラテルネを仕舞い、富士見下の小屋を横目に、ヘアピンの林道から沢に入って田代原へ出る。ここから先は、林道の道形が不明になる。トラバースを断念して、冬路沢へと接近気味に進み、やがて沢底を行く。

 1640M三俣から、左寄り中間台地に乗ると、アヤメ平から張り出した雪庇の下に表層雪崩の跡があり、デブリがすぐ目の前まで広がっている。1650M台地状でタルむ。デブリを踏んで冬路沢右岸をトラバースし、再び沢に入る。1770Mから小屋に上がる沢の左岸を登り、小屋を経て富士見田代に至る。

 燧・景鶴・平ヶ岳が印象的だ。シールを外して、セン沢・長沢の中間尾根を滑降する。傾斜は緩く、雪が軟らかく、歩くことが多い。やがて深雪急斜面となり、各自のテクニックをふるう。長沢に入り、全く滑らなくなった所でタルむ。

 この時、Sr氏の背中が灯油漬けであると判り、壊れたポリタンを交換する。背中が赤くなっており、心配される。尾瀬ヶ原に出て、沼尻川の拠水林を右に見ながら、原を横断し、ヨッピの吊橋へと向かう。途中、竜宮小屋を右手に見る。燧岳と至仏山が立派なのは良いが、腐れ雪が締具にダンゴ化し、うっとうしいこと限りない。

 橋板の外された吊橋の鉄骨の上を、ツボ足で、ワイヤーにしがみつき、慎重にトラバース。再びシールを着けて、北へ5分、ブナ林の中に、ツェルトを3つ張る。夜行で来ての11時間行動に、全員疲れまくる。

【3月24日】 曇のち雪 -17℃
 ツェルトでの寒い一夜が明け、撤収する。1450M付近で下与作沢を渡り、小尾根に取り付く。苦しい急登が続く。1600M付近で、熊ぐらいの大きさの動物のものと思われる、真新しい足跡が続き、少し不安になる。上越国境稜線に乗れば、どうと言うこともなく、与作岳山頂まで至る。

 シールのまま、1860コルに下り、景鶴手前の1950凹地まで登り返してタルむ。景鶴山東側の尾根伝いは、雪庇と雪壁で登れそうもなく、山頂へは西側からアタックする事にして、1950Mあたりを、北面トラバースする。1950M景鶴西肩にザックをデポしてシールで登り、山頂直下からツボ足でピークハント。山頂の松の枝に、しがみつく。雪庇を踏み抜きかけた人がいた。これで、滅多に踏めない景鶴山に、登頂を果たしたわけだ。

 西肩に戻って荷を背負い、1898P、1892Pを経て、1850M大白沢山東コルに至る頃には、雪が舞う。今夜、低気圧が通過するので、ここで本日の行動を打ち切り、雪洞を掘ることにする。スコップを持って来て良かった。

【3月25日】 雪のち快晴 -10℃
 少しゆっくりしてから、出発。天気は相変わらずの雪だが、低気圧は通過して、回復基調にあるので、雪洞からの平ヶ岳往復サブ行動だ。大白沢山の北面を水平にトラバースし、ススヶ峰分岐(1911P付近)に赤布竿を立てる。1920Pは南西面をトラバースし、1790Mコルでタルむ頃には、雪は止み、晴れて来る。岩峰が、4m程頭を出している。

 白沢山からの平ヶ岳展望は、なかなかである。尾瀬・日光の山々も、よく見える。白沢山の北東面は切れていて、雪庇が発達しているので、要注意。白沢山を越えた1890Mコルでタルめば、水長沢源頭の沖ノ追落の雪庇や、奥利根は越後沢山付近の雪壁が壮絶だ。

 さて、いよいよ平ヶ岳への登りである。東側の雪庇に近付かぬようにしながら、シール登高を頑張って、ついに快晴の平頂に立つ。正面に越後三山がドーンと揃い踏み。上越国境はズラリと並び、右を見れば南会津の駒-朝日、燧、そして至仏。懐かしい頂きもあれば、憧れの峰もある。あれよあれよ言う間に、フィルムが無くなって行く。

 記念撮影後、大滑降に移る。クラスト雪と吹き溜まりの雪質変化が、ややハイテクであるが、快適な下りだ。傾斜が緩くなると、展望を楽しみながら歩く。1890Mコルで、再びシールを着け、白沢山を越える。1895Pからの下りは、雪を被った針葉樹を縫いながらの、シール滑降で、春スキーの雰囲気満点だ。1790Mコルでタルんだ後、大白沢山北面をトラバースして、雪洞「ヴィラ大白沢」に戻る。

 その後、希望者のみで、大白沢山をサブする事になり、Sr氏とすうじいが、東側の尾根伝いにシールで登る。一部、南に雪庇、北に雪壁という箇所があるが、樹林沿いに登れば問題なく、やがて広い山頂に至る。下りは、北面の深雪急斜面を、トラバース気味に、快適に滑降する。登り20分、下り5分。手軽だということで、Tk氏も登る。

 雪洞「ヴィラ大白沢」の天井が、少し垂れてきたようで、少々心配する。大白沢山からの偵察で、ススヶ峰への稜線の登りが痩せ尾根と雪庇で苦労しそうなので、明日は、猫又川右股経由で下山することにする。

【3月26日】 雪 -11℃
 朝、意外にも雪である。シールで1880M肩まで登り、南南東に派生する尾根を滑降し、45分で岩塔盆地に降り立つ。15分程の歩きで、岩塔盆地出口1580Mに至る。ここから猫又川右股を下って、二股でタルむ。降りしきる雪が、鬱陶しい。さらに、猫又川右岸沿いに、山ノ鼻まで行く。

 シールを着けて、川上川沿いに、鳩待峠を目指す。Sr氏とすうじいは、当初の計画「鳩待峠〜悪沢ノ頭〜笠ヶ岳〜西山〜岩鞍スキー場」を放棄して、全員で下山することにする。鳩待峠でシールを外し、林道沿いに滑降して行く。ヘアピン直下の急斜面を含め、概ね快適に津奈木橋に至る。今日は、ワンゲル風のパーティに何組も出会った。

 ここから先の笠科川沿いの林道も、除雪されておらず、踵解放でスピーディに下る。気が付けば、下界は今日も快晴なのであった。戸倉スキー場下から、タクシーで沼田に出る。運転手に、沼田周辺の山の名を教わる。すぐに列車が来て、早い時間に帰京する。  

スキールート図

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