赤石岳・荒川三山(南ア赤石)

MR147 赤石岳・荒川三山(南ア赤石)

date 1982/10/30-11/2
コース 畑薙第一ダム〜椹島〜赤石小屋〜ラクダのコブ〜小赤石岳〜赤石岳〜小赤石岳〜大聖寺平〜2694コル〜荒川小屋〜2694コル〜荒川前岳〜中岳〜悪沢岳〜千枚岳〜千枚小屋〜千枚岳〜万斧沢ノ頭〜二軒小屋〜転付峠〜広河原〜=新倉
実働 第1日:1h50m、第2日:9h03m、第3日:6h15m、第4日:8h15m、計:25h23m。
メンバー すうじい、カニ
概要 冬合宿第三次(最終)偵察山行、大井川中ノ宿川原でのキャンプ、晩秋の赤石山脈核心部縦走。
行程 【10月30日】 快晴
静岡7:20=11:00畑薙第一ダム11:15→12:00大吊橋12:15→畑薙橋12:50→13:20中ノ宿対岸駐車場(泊)

【10月31日】 快晴
中ノ宿対岸駐車場4:00→赤石渡5:05→5:55椹島(牛首峠)6:20→7:10休7:20→8:05樺ノ段8:20→9:10休9:20→10:10休10:15→10:40赤石小屋11:20→11:50富士見平(ハイマツ丸)12:20→12:55ヒュンヒュン入口付近13:10→14:05 2950P 14:30→15:20小赤石岳15:25→15:58赤石岳避難小屋(泊)

【11月1日】 霧雨のち曇
赤石岳避難小屋5:45→赤石岳5:50→6:50大聖寺平7:10→2694コル7:43→7:50荒川小屋10:50→11:55 2900(三本稜の頭)凹地12:10→荒川前岳12:43→12:50トラバース道分岐13:00→悪沢岳14:00→千枚岳15:00→15:10 2800M夏トラバース道開始点15:20→15:55千枚小屋(泊)

【11月2日】 快晴
千枚小屋6:10→7:00千枚岳7:25→8:40万斧沢ノ頭8:50→9:30休9:40→・2271 9:45→10:30 ・1871 10:40→11:25二軒小屋11:35→12:55転付峠手前伐採跡13:10→転付峠13:20→13:55 1470M二俣14:10→15:00八丁峠15:05→15:35広河原15:45→16:10休16:20→ヒッチ16:25=16:40新倉17:50=身延
記録  1982年度冬山合宿第3次偵察(最終)山行順コース隊は、Tg隊(逆コース)より一日早く入山した。偵察内容の報告は、カニによる報告書に譲るとして、ここでは、晩秋の赤石山脈核心部縦走の模様を綴ってみたい。

【10月30日】 快晴
 大垣行2325は、既に入線していて、やっとのことで席を見付ける。カニが現れず心配する。しばらくして、カニがメチャ混みの列車内を、かき分けながらやって来た。静岡駅で山屋が二人いたので、四人でタクシーを使おうと画策するも失敗。一人は、大井川鉄道の尾盛から、関ノ沢へ入るそうだ。ややうるさい静岡駅で駅カンする。

 例のチンタラバスで、畑薙第一ダムへ。売店のオバチャンと言葉を交わして、歩き始める。荷が重い。畑薙湖周辺の紅葉は丁度良いくらいだろうか。大吊橋でタルんで写真を撮る。ここが、僕らの南ア南部の原点なのだなあ。畑薙橋跡は、コルゲート管で架橋してあるが、例のモッコ渡しも残っていた。

 大井川左岸の赤薙の滝を眺め、ボッチ薙を過ぎると、中ノ宿へ渡る道への下降点だ。水場があり、駐車場へ下る道が付いている。まだ時間は早いが、実に快適そうなサイトであり、第一次偵察の際に、「寝てみたい」と思った所でもあったので、椹島付近よりは、遙かに気分が良いだろうと、幕営を決意する。

 河原寄りの林の中にツェルトを張り、カニは夕餉、すうじいは焚火の準備をする。風が吹くと砂が舞ってくるが、そのことを除けば申し分のない「絶プラ」(絶好のプラッツ)である。夕餉が出来上がり、流木・枯枝・枯葉の山に火を着ければ、一発点火。川風がヒューと吹けば、たちまちメラメラと炎が上がる。乾ききった流木は、実に良く燃える。お茶も焚火で沸かす。

 やがて暮れれば、夜空をも焦がさんばかりの盛大な焚火だ。熱い。炎から遠ざからねば、ツェルトに寝れば、月明かりが眩しく、眠れないほどだ。瀬音をBGMに、快適な夜は更けていく。古き良き南アルプスの宿り。

【10月31日】 快晴
 昨日の贅沢による借金を返すべく、2時起き、4時発ちでゆく。北斗やカシオペアを見上げつつのヘッドランプ歩行。牛首峠で山靴に履き替える。赤い鉄梯子を登って、東尾根に取り付く。重荷でペースは上がらない。4P半で赤石小屋に至る。水場に下って、計4Lの水をポリタンに詰める。今日中にラクダのコブを越え、赤石岳山頂まで行くつもりなのだ。

 富士見平での、12:00の交信は応答無し。前回の「るんるん入口」(2720Mコル)から尾根に取り付くが、すぐ先に夏道へ下る踏跡があり、こちらの方が効率的なので、「ヒュンヒュン入口」(2750M)と名付け、赤布をうつ。ここから1Pで、2950P、ハイマツ漕ぎが大変だった。

 脆い岩稜登りを更に1Pで、小赤石岳に至る。稜線は風が強く、半袖の我々の腕は、白っぽく感じられる。陽射しは既に赤みがかっていて、赤石岳へと急ぐ。途中、冬の偵察の3人パーティ(男2,女1)と言葉を交わす。冬は、小渋川から赤石岳ピストンの予定だそうだ。東俣林道が修復されたことを告げると、「さすが、東海パルプ」と驚いていた。同感。

 赤石岳山頂から、すぐに避難小屋へ。ギリギリで気象通報に間に合う。暮れると同時に満月が昇る。荒涼とした岩屑の山の上に、まんまるな白い月。

【11月1日】 霧雨のち曇
 昨夜は、避難小屋内のボロマットを利用し、快適だった。夜中に風と雨の音がしていたので、朝おそるおそる外を窺うと、霧雨じゃあ。雨具を着け、ピッケルを手に、出発する。

 赤石岳山頂からダマシノ平まで、風が強くて、全く油断できない。大聖寺平のハイマツの陰で、震えつつトランシーバ交信を試みるも、またもや応答無し。どうしたんだろう。とにかく、2694コルまで、稜線伝いに頑張ってから、荒川小屋へ下る。

 荒川小屋に入り、お茶を沸かし、濡れものを拡げる。9:15の気象通報の結果を見て、行動を決めよう。前線通過の天気であることが判る。半日停滞しても、日程の余裕は十分ではある。しかし、まだ時間が早いこともあるので、兎に角行ってみることにする。

 再び2694コルまで登り返し、いよいよ荒川前岳への岩稜登りである。問題の3本稜を過ぎたあたり(2900M凹地)で、昼のトランシーバ交信を試みるも、またまた応答無し。うーむ・・・。その後、たいした問題も無く、荒川前岳に至る。トラバース道分岐付近でタルんだ後、中岳を越え、悪沢岳へと向かう。濡れの不快さと、荷の重さと、風の強さとで、歩みは冴えない。

 悪沢岳を過ぎると、風は弱くなり、雨も止む。千枚岳に着く頃には、ガスも途切れ、時々晴れ間のようなものも窺われる。千枚小屋へ下ろうと、2800M付近で、ガレ沿いの尾根から東側へトラバースを始める山道で、雨具を着た2人パーティと出逢う。Tg氏とO君であった。

 情報を交換した後、Tg隊は千枚岳を越えて、悪沢岳方面へ向かう。我々は2800Mまで戻って、ガレ沿いの尾根を更に南下する、冬ルートを偵察する。2720M付近の舟窪地形は草地だが、それから下は、ハイマツのバリケードで、苦労して夏道に降り立つ。気象通報5分前に、千枚小屋へ到着する。

 夜になって快晴となり、またもや丸い月が昇る。しんしんと冷えてくる。稜線のTg氏、O君パーティは、さぞや寒かろう。

【11月2日】 快晴
 未明、メチャ寒い。小屋の外の寒暖計は、-5゜Cを示している。分厚く霜が降りている。凍てついた靴を踏みしめつつ、夏道を千枚岳まで登り返す。山頂で写真撮影のあと、冬道通しに万斧沢ノ頭方面へ下る。千枚ナギ沿いに下り、やがて万斧沢ノ頭でタルミ。更に下って、2271P、ロボット雨量計を経て、第2次偵察限界の・1871の赤布を確認。このあと、的確な赤布を確認しつつ、二軒小屋まで下る。

 二軒小屋ロッジは、2年前に比べ、大分黒っぽくなっている。転付峠手前の伐採跡で、最後の交信をする。峠を越えて、山道に厚く積もった枯葉を踏みつつ下り行けば、内河内上流の紅葉も、なかなかのものだ。八丁峠を越え、ガレを下って広河原の発電所まで来て、痛い山靴を脱いでジョグシューに履き替える。30分程林道を歩くと、トラックに拾われて新倉まで乗せて貰う。身延から急行2本乗り継いで帰京した。

概念図

アルバム
畑薙大吊橋から下流を望む
我らの南アルプス原点
畑薙大吊橋入口
畑薙橋跡コルゲート管の仮橋
同上
中ノ宿対岸の河原にて
牛首峠付近から
赤石沢越しに仰ぐ赤石岳
赤石小屋付近から見た
赤石岳
富士見平付近から
ラクダの背と小赤石岳
荒川前岳・中岳
富士山
同上、手前は生木割山か
笊ヶ岳・布引山
上河内岳と大無間・小無間
荒川三山
赤石岳・小赤石岳
富士見平から見た
白峰南嶺の生木割・笊・布引と富士山
夏トラバース道から冬ルートへの取付
「ヒュンヒュン入口」付近
同上
冬ルートのガレ尾根俯瞰
ガレ尾根を登るカニ
ハイマツ混じりの岩場にて
ハイマツ混じり痩せ尾根俯瞰
ガレ尾根は続く
ザレ場を登るカニ
こっちへ登るんだ
小赤石岳山頂から笊ヶ岳方面
小赤石岳から東尾根方面
夕暮れの赤石岳にて
月と富士山
夕暮れの赤石岳山頂から
小赤石岳越しに中岳・悪沢岳
更に奥に間ノ岳・農鳥岳
同じく荒川前岳・中岳
その奥に仙丈・塩見・甲斐駒・間ノ岳
荒川前岳越しに塩見岳と甲斐駒
間ノ岳と農鳥岳
夕暮れの赤石岳から
荒川前岳・塩見岳・仙丈岳方面を望む
赤石岳に昇る満月
夕日を浴びる赤石岳避難小屋とカニ
この次の日は雨模様であった
最終日
朝の千枚岳から悪沢岳を見上げる
千枚岳から赤石岳・聖岳・上河内岳か
赤石岳・小赤石岳と奥西河内源頭方面
赤石岳・小赤石岳
塩見岳
間ノ岳・三峰岳・農鳥岳
手前は塩見の蝙蝠尾根か
千枚岳山頂での撮影後
冬道通しに万斧沢ノ頭へ下る
千枚岳方面を振り返る
冬道通しに万斧沢ノ頭方面へ
二軒小屋近くの吊橋
内河内沿いの桟道を行く
八丁峠はもうすぐだ

MR144_ 千枚岳南尾根・荒川三山・赤石岳(南ア赤石)'82-10

MR154_ 赤石岳・荒川三山縦走(南ア赤石)'82-12〜'83-01

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