石空川北沢大滝見物(南ア)

date 2011/10/09 晴のち曇
コース 精進ヶ滝林道・御座石林道分岐〜地蔵大橋〜取付梯子〜精進ヶ滝右岸大高巻き〜精進ヶ滝上流〜二俣〜北沢大滝下(往復)
実働 往き:5h25m、帰り:3h35m、計:9h。
概要 林道から精進ヶ滝右岸を巻き、北沢大滝往復。
メンバー すうじい(単独)
行程 →:山道・踏跡、:溯行、\\:藪・踏跡不明瞭、=:車
【10月9日】 晴のち曇
自宅3:45=6:30精進ヶ滝林道・御座石林道分岐7:00→地蔵大橋7:25→7:35梯子取付7:45→\\カレ窪8:30\\9:25踏跡合流9:35→9:50花崗岩ルンゼ上部10:15\\花崗岩ルンゼ下部11:50\\12:00二俣12:0512:20小休12:40三段12m下12:45前衛10m下13:2513:35大滝下13:55\\15:10花崗岩ルンゼ下部15:20\\16:20踏跡→1625花崗岩ルンゼ上部16:40→\\カレ窪16:50\\→梯子取付17:10→地蔵大橋17:20→17:55精進ヶ滝林道・御座石林道分岐18:15=23:20自宅
使用装備 軽登山靴、渓流靴、ヘルメット、μ-725SW、E-1、ED12-60mmF2.8-4SWD、三脚、アイスハンマー、スリング、カラビナ、LEDヘッドランプ、GPS
不用装備 8mmx30mザイル、ハーネス、8環、ハーケン
記録
 かねてより興味のあった精進ヶ滝上流の石空川だが、ふたつぎさんが北沢大滝を見て来たと聞き、早速出撃してきた。精進ヶ滝林道からの右岸大高巻き道は、トラバースが途中不明瞭になり、かなり手強い。時間の余裕と、経験者同行が望ましかろう。

【10月9日】 晴のち曇
 中央道韮崎ICで降りて、R20を走行、牧原の交差点を左折し、精進ヶ滝林道へと向かう。精進ヶ滝遊歩道入口駐車場を見送って、御座石林道終点付近に駐車する。

 御座石林道終点から先の精進ヶ滝林道は、荒れ放題の「林道跡」となる。所々土砂崩れに覆われた精進ヶ滝林道を、25分ほど歩くと、地蔵大橋に出る。橋からは、八ヶ岳の展望が良い。左手には、地蔵沢の滝が見える。

 地蔵大橋から10分ほどで、林道終点近くの大高巻き取付梯子に至る。小休して、梯子に取り付く。踏跡は、いきなり不明瞭になる。それでも、良く見回せば、踏まれている跡が見付かる。樹林帯の草地を、ひたすら登る。

 小尾根を一つ乗越すと、ザレ気味の不安定な斜面となり、倒木が多くなる。踏跡は、さらに不明瞭になるが、大まかな目星を付けて、高度を上げる。次第に尾根がハッキリして、右手へトラバースする踏跡が幾筋か現れる。

 比較的安全そうな踏跡を辿り、笹藪帯をトラバースすると、苔生した岩の転がるカレ窪平坦地形へと出る。この地形は、正解トラバースルートの要と思われる。これで、あとは正解ルートに忠実に進めば良い、と思ったのは大甘であった。

 この後も、倒木によって踏跡が邪魔され、林床笹藪の中、極めて不明瞭になる。下り気味にトラバースを続けたのが敗着で、ドツボの倒木帯に突入してしまう。倒木と岩場に阻まれつつ、急な草付斜面に出てしまい、藪を漕いで小尾根を登ると、明瞭な踏跡に合流した。

 明瞭な踏跡を辿って、顕著な二本倒木のある草付急斜面を横切り、樹林帯に入ると、再び踏跡が不明瞭になる。小尾根沿いに下って行く薄い踏跡と、トラバースを続ける踏跡が分かれる。トラバースを続けると、すぐに顕著な花崗岩ルンゼに出る。

 このルンゼの先にも、薄い踏跡がトラバースを続けているようだが、ここで渓流靴に履き替えて、ルンゼ沿いに下降することにしよう。休憩を入れ、登攀装備を装着する。軽登山靴をデポして、花崗岩ルンゼを下り始めるが、すぐに傾斜が急となり、一筋縄ではいかない。

 やむなく、右岸の樹林斜面へと逃げて下るが、枝尾根は次々とルンゼへと落ち込む。ルンゼに降り立ってみても、登り返せそうもない涸棚に阻まれる。ルンゼ下降を諦めて、右岸へと登り返し、トラバースして右岸尾根に乗る。

 右岸尾根には、そこそこ踏まれた跡があり、これを下って行くと、最後は岩稜となり、右手に急なルンゼ、左手には木の根がへばりついた岩場が待ち構える。レジ袋の目印が、木の根の岩場へと誘導していたので、ここを下る。登り返しのことを考えて、スリングを繋いで残置しておこう。

 木の根の岩場を下ると、すぐ左手に花崗岩ルンゼがあり、右下方には、精進ヶ滝の落口付近が垣間見えているようだ。右岸沿いの斜面を少し下ると、花崗岩ルンゼ下部の涸棚下に出る。涸棚下の平坦部で、花崗岩ルンゼを横断する踏跡があり、時間もないので、これを辿ることにする。

 花崗岩ルンゼの左岸へ渡って小尾根を越え、石空川右岸の薄い踏跡を根性で辿る。右岸岩壁が迫り、本流に降り立つと、二俣直下の6m滝下の砂浜状に出た。S字水流滑滝の上である。6m滝を左から越えると、南沢出合滝10mが2条の水流でスラブを滑り落ちる。ゴルジュの奥に、北沢出合滝5mが懸かる。

 左岸のカンテを登って、北沢出合滝ゴルジュの巻道に入る。巻道からは、南沢出合の連瀑帯が木々の合間から垣間見える。北沢出合滝落口の真上付近が、トラバースの核心となる。ここは、ひたすら踏跡を辿り続けると、藪っぽいガレを下り、ノーザイルで沢に降り立つ。

 すぐに左岸大岩にワイヤーが懸かり、これを利用してトヨナメを登る。開けた大岩ゴーロ状となり、小休止する。既に正午を過ぎ、時間的にヤバくなって来ている。体力的にも、厳しそうだ。とにかく、林道に明るいうちに戻れる時間で、引き返しを決断するぞ、と心に決める。

 沢が少し左右に蛇行して、三段12mが現れ、左壁を登る。ホールドは豊富なので、さほど難しくはない。これを越えると、左岸から(5:1)の枝沢が小滝を懸けて出合い、本流はナメの上に、8m堰堤状下トヨナメが懸かる。右カンテから登って左岸巻道に入る。

 堰堤滝上流には、滑床が続いているようだ。そのまま左岸台地状を進み、適当な所から右岸台地状へと渡る。この辺り、ビバーク適地となっている。滝の懸かる左岸枝沢を対岸に見て進むと、5x10mトヨナメとなり、左岸から巻いて行く。右岸からカレルンゼが出合う辺りから、やっと大滝がチラチラ見えて来る。

 やがて、前衛10m滝下に至る。左岸には圧倒的な岩壁が聳えているが、ルートはその岩根沿いをトラバース気味に登るようだ。左岸にある僅かな水流のグズグズした凹角状に取り付いて、傾斜したテラス状草付に乗る。あとは容易で、左へ斜上し、水流のある枝沢を渡り、前衛上小滝の左岸を登って、大滝下の広場に出る。

 午後1時半過ぎ、やっと北沢大滝(行者滝)の下に立つ。時間の余裕は無い。急ぎ撮影開始。何とか、午後2時前に、大滝下を後にする。あとは、時間との勝負。疲れた身体にむち打って、安全且つ迅速に北沢を下降せねばならない。

 前衛滝右壁の凹角状を慎重に下降し、右岸カレルンゼ出合上流で左岸に乗り、5x10mトヨナメ下で右岸へと渡る。右岸の踏跡を飛ばす。再び左岸に移り、8m堰堤状下トヨナメは、左岸の巻道を利用し、枝沢の小滝を下降して沢に戻る。三段12mの左壁を慎重に下降して、大岩ゴーロ状を進めば、ワイヤーの大岩下から、北沢出合滝左岸巻道に入る。

 下りでは二俣には降りず、踏跡を利用して二俣下6m滝下の砂浜へと下降する。そのまま右岸の薄い踏跡に入り、途中少し迷いつつも、例の花崗岩ルンゼ下部横断地点へと至る。既に、午後3時過ぎである。木の根岩場では、スリングを利用して、空身で登り、ザックを引き上げる。

 花崗岩ルンゼ右岸尾根を、ひたすら登って行くと、丁度1時間で、往きに明瞭な踏跡に出合った場所に出る。踏跡を辿って、花崗岩ルンゼ上部の軽登山靴デポ地点へと戻る。急ぎ、軽登山靴に履き替える。既に午後4時半である。

 踏跡を戻り、トラバースを始める。やはり、踏跡は薄くなるが、林床笹藪をトラバースして行くと、カレ窪状に接近する。下方に、より明瞭な踏跡を見付けて高度を下げ、苔生した岩の転がるカレ窪平坦地形へと、無事到達する。花崗岩ルンゼ上部から、僅か10分であった。

 往きに見付けた、林床笹藪斜面を登る踏跡を辿り、尾根に乗る。あとは、GPSを見ながら、踏跡らしき所をバンバン下る。薄暗くなった林の中を、気合で歩く。午後5時過ぎに、取付梯子を下って、精進ヶ滝林道に降り立つことが出来た。

 休む余裕も無く、林道を急ぐ。地蔵大橋でヘッドランプを装着し、午後6時前には、御座石林道終点の車に戻る。

 真っ暗な中で着替えた後、帰りは御座石林道を利用するが、これは敗着であった。凄い悪路で、精進ヶ滝林道の方が、圧倒的に快適である。中央道が渋滞しており、勝沼ICで降りて、柳沢峠・青梅街道を利用する。結構な雨が降り出し、無事下山の幸運を噛み締める。

GPS軌跡

溯行概念図

アルバム

御座石林道終点から、精進ヶ滝林道廃道部分に入る
精進ヶ滝林道廃道部分
地蔵大橋
地蔵大橋より八ヶ岳
地蔵沢の滝
右岸大高巻取付梯子
樹林帯斜面を登る
カレ窪平坦地形
カレ窪から振り返る
アテにならぬ目印
花崗岩ルンゼ上部
花崗岩ルンゼ俯瞰
花崗岩ルンゼ右岸(下降尾根)木の根の岩場
花崗岩ルンゼ下部の涸棚
花崗岩ルンゼ横断地点
二俣下滝と南沢出合
二俣下6m滝
北沢出合ゴルジュ
北沢出合5m滝
南沢出合10m滝
南沢出合連瀑
三段12m
堰堤トヨナメ8m
前衛10m
北沢大滝(行者滝)50m
北沢大滝(行者滝)50m
北沢大滝(行者滝)50m
北沢大滝(行者滝)上部
北沢大滝(行者滝)下部
北沢大滝(行者滝)50m

MR595_ 精進ヶ滝林道から精進ヶ滝見物・九段尾根偵察'07-11

MR678_ 石空川北沢大滝再訪'11-10

MR680_ 石空川北沢行者滝氷瀑見物'12-01

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