奥又白池からひょうたん池(北ア)

【注意】「XYのコル〜奥又白池〜ひょうたん池」のコースは、全く整備されておらず、自らルートを見付ける能力が必要です。
     危険箇所も数知れず、各自の自己責任にて、山行計画をお立て下さい。

date 2011/7/25 晴時々ガスのち雨
コース 涸沢〜XYのコル〜奥又白池〜茶臼のコル〜下又白カール〜ひょうたん池〜明神〜上高地
実働 10h45m。
概要 下又白カールを横断して涸沢から下山。
メンバー すうじい(単独)
行程 →:山道・踏跡、:溯行、\\:藪漕ぎ・踏跡不明瞭、**:アイゼン、=:交通機関。

【7月25日】 晴時々ガスのち雨
涸沢4:40→**5:50 2590M付近6:00→6:35XYのコル7:10→\\→9:45奥又白池10:20\\→茶臼コル10:40\\11:40 2315M雪渓横断11:55**12:05アイゼン外し12:10\\13:00休13:10\\→14:15ひょうたん池14:25→15:25宮川尾根コル15:35→養魚場16:20→16:30明神館16:40→17:45上高地18:00=19:05新島々19:25=19:54松本20:00=
使用装備 登山靴、ヘルメット、E-1、ED12-60mmF2.8-4SWD、μ-725SW、ピッケル、アイゼン
不用装備 8mmx30mザイル、ハーネス、8環、三脚
記録 【7月25日】 晴時々ガスのち雨
 さて、今回の涸沢定着、下山コースは、奥又白池からひょうたん池を経て、明神へと下るマニアックルートだ。ヘリポート裏の辺りで、先ずはアイゼンを装着し、XYのコルへ向けて登り出す。北尾根に向かうと思しきパーティの後を追うが、この重荷ではペースが上がらず、全く追い付けない。北尾根は、快適だろうなあ。

 1時間ほど雪渓登りをした後、アイゼンを外して、ガレの踏跡を辿る。XYのコル手前の草付で、クークーという雷鳥の声に気付き、辺りを見回すと、親鳥を見付けた。雛も近くにいるに違いない。やがて、雛が数羽、親鳥のもとへと寄って来る。あまり長居をすると、雷鳥親子離散の原因になりそうなので、その場を離れよう。

 XYのコルに着いた時には、既に先行パーティは、X峰に取り付いていた。ここで朝食の弁当を、半分食べる。登りの途中で見えていた、槍の穂先は、既に雲に隠れてしまっている。

 さて、XYのコルから奥又白池へのコースは、出だしが大変なことは経験済みだ。奥又白池・A沢・明神岳'02-07、それと奥又白A沢・前穂高'92-08でも辿っている。三度目の今回は、さらに悪くなっていた。XYのコルから、草付を下降し、ガレ沢状を少し下り、急なザレルンゼのトラバースに入る。

 問題の急ザレは、まさに滑落したらアウト、の急斜面で、下方には雪渓が待ち受けている。グズグズの斜面に登山靴を蹴り込み、浮いた岩角を押さえ、ジワリジワリと重心を移動して通過する。重荷なので、余計に辛い。

 最初の難所を通過して、目標ルンゼ左岸尾根に乗る。ガレ草付の下降は、重荷ではバランスを崩しがちだ。簡単な岩場を、ちと苦労してクライムダウンし、右手の目標ルンゼへと下降する。ルンゼの雪渓の左岸沿いのガレを下降し、右岸尾根の岩根付近で雪渓を横断する。アイゼンは、使用しなかった。右岸へランディングする所で、雪渓の端が崩れ、50cmほど落ちた。危ない危ない。

 右岸尾根岩根下草付斜面を斜めに下って行き、薄い踏跡を辿って、奥又白雪渓に出る。この雪渓を、高度を保ちつつ横断する。ここも、アイゼン無しで行く。雪渓半ばのゴーロから振返ると、岩に白ペンキの丸印が見える。雪渓の先は、ガレが目標になる。崩れ易いガレ場を登って、灌木帯の中の踏跡を辿る。

 灌木帯を抜けると、ゴーロを横断する。所々に、目印があるが、赤テープを追加しておこう。ガレ混じりの草付の薄い踏跡を辿ると、次第に奥又白池の台地が近づいて来る。草付斜面で二ヶ所の中畠新道分岐を見送り、一段登って奥又白池に出る。

 生憎のガスだが、奥又白池からは、A沢への踏替点が望める。懐かしい眺めだ。ここで、朝食弁当の残り半分を食べる。Fomaのメールは、送信出来なかった。奥又白池を後にして、茶臼コルへと向かう。適度に籔を漕ぎつつ、予想したよりも薄い踏跡を辿る。振り返れば、やはり絵になる奥又白池だ。

 茶臼コルからは、顕著な草付ルンゼを下降する。草付はやがて、急な雪渓ゴーロとなる。右岸沿いを慎重に下降する。なるべく高度を下げないで、カールをトラバースするルートを、目で追いながら、下って行く。F5上には、崩壊しかかった雪渓があり、このままガレ沢を下降するのは、ちとヤバそうだ。ガレ沢・草付・雪渓を横切り、藪の薄そうな、かつ安全そうなルートを考える。

 ガレ沢・草付を下降気味に横断し、下又白雪渓左岸に出る。アイゼンを装着し、対岸のザレを目標にして、雪渓を横断する。高度は、2315M付近であろうか。右岸側のガレ斜面を慎重に登って、アイゼンを外す。ガレ場から、灌木帯の上限をかすめて、草付をトラバースし、次の灌木帯を、我慢の藪漕ぎで、中央突破する。

 灌木帯を抜けて、ガレ草付を横断すると、危険なガレルンゼの上の岩場に突き当たる。ここは、慎重に草付を下降して、岩場手前のルンゼに入り、涸棚をクライムダウンして、岩場下の不安定なザレ草付に乗る。さらに、手に汗握るヤバい草付ザレトラバースを続ける。

 崩れ易い最後のガレ沢を渡って、少し安定した場所で小休止する。東稜への登路として目指して来た、崩壊地左岸籔小尾根も、目と鼻の先だ。

 しかし、草付急斜面が、意外と登り難い。不安定で、足元が崩れ易く、大変な苦労を強いられる。必死の思いで、籔小尾根に取り付く。この籔小尾根に取り付いたところで、雨が降り出す。木の根・枝・岩角を利用した、ターザン登りなのだが、ザックは引っ掛かるし、幹は濡れて滑るし、悪戦苦闘する。雨の中、雨具もザックカバーも、装着出来るような安定した場所など、存在しない。

 雨の中、休む間も無い連続ターザン登り、3-40分ほどだったろうか。2380M付近で、明神東稜に乗る。これで何とか無事帰れそうだ。ニッコウキスゲ咲く東稜を、ひょうたん池目指して下る。濡れたズボンから、靴の中に水が入ったため、靴擦れが痛くて、脚に力が入らない。

 鞍部まで下ると、テントサイトの広場がある。すぐ南の船窪地形に、ひょうたん池があった。たんなる水たまり状で、アメンボが沢山いた。奥又白池や北穂池などに比べると、パッとせず、ちと拍子抜けだ。

 ひょうたん池を後にして、ガスの中、下降を始める。踏跡は薄い。やがて、ガレと草付を交互に斜下降するようになり、ガスも晴れて、広い斜面の先に、宮川尾根のコルと明神が見下ろせる。振り返れば、ひょうたん池のコルまで見通せて、晴れていれば、判りやすい地形ではある。嘉門次小屋の人が最近整備したという、目印のお陰で、薄い踏跡も、さほど難儀せず辿ることが出来る。

 一旦、遭難碑のある岩根沿いに下り、窪状の森を抜ける。再び草付ガレ斜面に乗って、宮川尾根のコルを目指し、下って行く。ガスっていたら、結構ヤバイ下りかも知れないが、目標が見えているので、精神的には少々楽だ。しかし、時間はどんどん過ぎて行く。

 宮川尾根のコル付近で、最後の休憩をする。ガレ沢沿いに、蜿蜒と下って行き、やがて樹林帯に入る。途中、再び雨が降り出し、泣きっ面に蜂だ。宮川尾根のコルから45分ほどで、養魚場裏に出る。濡れた丸木橋を、慎重に渡る。軒先で、雨具の上を着込み、ザックカバーを付ける。

 携帯が通じないので、明神館で電話を掛ける。さらに上高地バスターミナルまで、雨の中の我慢の歩きが待っていた。新島々行最終バスで、新宿行最終スーパーあずさに間に合った。

GPS軌跡

アルバム

白出コル方面
先行パーティを追う
XYコルへ
吊尾根下降尾根
雷鳥親子
北尾根X峰
ガレを下ってトラバース開始
急ザレの横断
急ザレを振返る
目標ルンゼ左岸尾根
奥又白雪渓から振返る
奥又白雪渓先ガレ
奥又白池が近付く
奥又白池と茶臼ノ頭
奥又白池
踏替点方面
奥又白池
茶臼コルへ
奥又白池を振返る
茶臼コルから、下降ルンゼと下又白カール俯瞰
下降ルンゼ雪渓下から、中央雪渓と取付ガレ草付斜面、横断する下又白カール
下降ルンゼ雪渓下から、中央雪渓と取付ガレ草付斜面とトラバースライン
下降ルンゼ雪渓下から、下又白谷F5上を俯瞰
中央雪渓左岸から、右岸側のガレ草付
雪渓右岸から、茶臼コルと下降ルンゼ雪渓を振返る
中央雪渓の右岸ガレ草付を登り、トラバース開始
最初の藪小尾根は高巻き、次の藪小尾根は強引に横断する
横断したガレルンゼを振返る
ガレルンゼの先の草付斜面
最後のガレ沢と大崩壊左岸藪小尾根
大崩壊左岸藪小尾根
東稜に乗って、上部を見上げる
ニッコウキスゲ咲く東稜を下る
ひょうたん池
ひょうたん池
草付ガレを斜下降
ガレと草付を斜下降
池方面を振返る
岩根沿いに下る
宮川尾根のコル手前の斜面から、ひょうたん池方面を振返る
斜面から宮川尾根のコルと梓川を俯瞰

MR448_ 奥又白池・A沢・明神岳'02-07

MR670_ 岳沢大滝見物・涸沢入山'11-07

MR671_ 奥穂高岳・吊尾根往復'11-07

MR672_ 北穂高岳'11-07

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