奥又白池・A沢・明神岳(北ア)

MR448 奥又白池・A沢・明神岳(北ア)

date 2002/7/31 快晴
コース 涸沢〜X・Yノコル〜奥又白池〜踏替点〜A沢〜A沢下降点〜奥明神沢ノコル〜明神岳〜明神X峰〜上高地
実働 10h05m。
概要 涸沢定着最終日、X・Yノコルから奥又白池、A沢踏替点直下雪渓、A沢雪渓、明神U峰悪いトラバース。
メンバー すうじい(単独)
行程 →:山道、:溯行、\\:藪漕ぎ
【7月31日】 快晴
涸沢4:30→5:00休5:05→5:55X・Yノコル6:05→7:35奥又白池7:55→9:15踏替点9:20→10:10A沢下降点10:20→奥明神沢ノコル10:45→大崩壊コル11:10→11:25明神岳11:55→T・Uノコル1205→W峰13:00→13:30X峰13:45→15:10休15:25→登山道15:50→16:30上高地
記録  涸沢定着の最終日、前穂北尾根X・Yノコルを越え、奥又白池からA沢を登って、かねてより気になっていた、明神岳をX峰まで縦走して、上高地へ下山した。

【7月31日】 快晴
 涸沢カールからX・Yノコルへ登るが、朝焼けの涸沢岳、奥穂高岳が美しい。コルから奥又白雪渓への下降で、コル直下のボロボロ岩根のザレトラバースが、いきなり悪い。ロープを固定するハーケンが、抜けている。10年前の時より、格段に悪くなっている。

 お花畑から小尾根を辿り、簡単な岩場をクライムダウンし、右手の「目標のルンゼ」へと下降する。ルンゼの雪渓の左岸沿いのガレを下降し、雪渓の下端から右岸へ乗る。さらに踏跡を辿ると、奥又白雪渓が豊富に残る。この雪渓のトラバースは、高度を変えないように横断するのがコツ。雪渓上で見上げれば、前穂東面の岩壁が迫力だ。対岸の踏跡を登れば、続く灌木帯を効率良くトラバース出来る。

 踏跡を忠実に辿り、ガレ場を横切り、草付のトラバースに入れば、やがて中畠新道への分岐二ヶ所を見る。更に、ひと登りで、山上の別天地、奥又白池の畔に飛び出す。長閑な池畔で一息入れよう。A沢を見上げれば、雪渓がびっしり付いていて、ちょっと不安になる。

 水場を左手に見送り、右手の尾根沿いに登って行く。不安定なガレ登りとなり、やがて踏替点直下のルンゼに入り、雪渓のシュルント沿いの左岸のV級程度の岩壁を登攀して、踏替点に至る。踏替点からは、ザレを辿り、雪渓の右岸の岩場を登って行く。今回は、雪渓上には乗らず、右岸の岩壁を辿ることにする。ルートを良く探せば、T〜U級(所によりV級程度)で、さほどの危険もなく登って行ける。雪渓が切れると、僅かなガレ登りで、A沢下降点に至る。

 ここまで来れば、明神岳T峰・U峰が見える。小休して、奥明神沢ノコルへ向かうべく、前穂から続く稜線へトラバースする。丁度10年前に、A沢を登って、前穂経由で岳沢へ下山したことがあるので、今回は前穂を省略する。やや不安定な岩々を踏みながら、奥明神沢ノコルまで下降する。

 冬用の固定ロープが残置されている、明神前衛峰の岩場に取り付く。岩は比較的しっかりしており、快適に登れる。明神岳とのコルは、東側が白っぽい色の岩の崩壊が進み、危険なため、岳沢側寄りを歩く。そのまま岳沢側寄りのガレを踏んで、明神岳山頂直下まで登り、さらに岩々をよじ登って、念願の明神岳山頂に至る。

 展望は最高である。日除けのため、傘をさして休憩する。前穂・奥穂・西穂の稜線の眺めが素晴らしい。また、眼下に見下ろす東稜には、踏跡が続く。西穂の稜線付近から、パコッ、ガラガラガラ・・・、という音が、何度か聞こえる。U峰の姿は、どこからどう攻略するのか、固定ロープが張り巡らされた岩峰である。T・Uノコルへは、不安定なガレを踏んで、慎重に下る。

 予定通り、コルから岳沢側へ、急なルンゼを下降し、U峰の基部をトラバースする事にする。不安定なルンゼの左岸沿いを下降して行くと、とんでもない所に、ミヤマオダマキの青紫色の花が揺れる。そう言えば、北鎌尾根でも、こんな感じのとんでもない岩場に、咲いていたっけなあ。

 バンドを探しながら、下って行くと、何とか辿れそうなバンドがある。しかし、やや登り気味のそのバンドは、下が切れている上に、いかにも脆そうな岩屑のリッジを横切っている。マジかよ。しかし、他に良さそうなルートは見当たらない。やむなく、行ける所まで行ってみることにする。ここで落ちたら、まず助かりそうもない。慎重に三点支持で、トラバース開始。問題の脆い岩屑リッジでは、乗る岩、持つ岩、全てが浮いているので、ショックを与えないよう、「そーっと、そーっと」と呟きながら、上から押さえる感じで体重を分散させる。

 何とか無事に岩屑のリッジを越え、バンドからハイマツの緩傾斜帯に入る。うーっ、助かったぜ。薄い踏跡を辿って、トラバースを続け、幾つかの小尾根を越えて、U・Vノコルに至る。更に、V峰岳沢側トラバースの踏跡を辿る。U峰・V峰の岳沢側トラバースの踏跡は薄く、見失い易いので、ルートファインディングには慎重を要する。

 W峰は、稜線通しの歩き易い踏跡を行く。最後のX峰への登りは、始め尾根上を登り、後半ガレ登りとなり、最後は右上方へと岩場を登って西側の小尾根に乗る。X峰山頂で、また日除けの傘をさし、最後のピークを味わおう。しばし休んだら、西側の小尾根の踏跡を辿る。途中、適当な所から、ハイマツの中の薄い踏跡を利用して、左へトラバースし、カール状地形の右側の尾根状を目指して下る。

 ここからは、冬山・春山の踏跡を辿って下るわけである。ブッシュ帯に入ると、途中、尾根がハッキリしない箇所もあるが、固定ロープや赤布等を参考にして、踏まれている所を下って行けば良い。何箇所かある痩せ尾根の露岩帯では、固定ロープの残置された所を、慎重に下る。ヘリの飛ぶ音が、しつこく聞こえている。荷揚げのヘリではなさそうで、遭難救助かも。明神岳山頂で聞いた、落石の音と関係あるかも知れない。蜿蜒下って行くと、やがて通常の樹林帯となり、ホントにイヤになる頃、やっと登山道に出た。岳沢から上高地への登山道で、プレート7番の所である。

 登山道に出てから、40分程の歩きで、上高地バスターミナルへ至る。河童橋付近で見上げる明神岳方面も、今日はまた格別の味わいがあった。

アルバム

朝焼けの涸沢岳
朝焼けの北穂高岳
朝焼けの涸沢岳・北穂高岳
朝焼けの奥穂高岳
朝焼けの前穂高岳北尾根
X・Yノコルから北穂高岳
X・Yノコルから、南岳・槍ヶ岳のアップ
X・Yノコルから北穂高岳
X・Yノコルから涸沢岳
X・Yノコルから奥穂高岳
X・Yノコルから奥又白池・茶臼ノ頭方面
X・Yノコルから、奥又白池をズームアップ
X・Yノコル直下の、ボロボロ岩根ザレトラバースを振り返る
小尾根上部のお花畑のクルマユリ
ライチョウにも出逢う
イワギキョウのようだ
下って来た「目標のルンゼ」を振り返る
「目標のルンゼ」右岸草付から、奥又白池方面を望む
奥又白雪渓
奥又白雪渓から「目標のルンゼ」方面を振り返る
奥又白雪渓右岸から前穂北尾根東面
ガレ帯から奥又白池方面
奥又白池と茶臼ノ頭753
奥又白池から北尾根X峰か  
奥又白池南畔から
816奥又白池南畔から
奥又白池水場を左手に見送り、草付右手の尾根沿いに登る
タテヤマリンドウ
踏替点直下ルンゼ入口
踏替点直下ルンゼの雪渓は、左岸シュルント沿いの岩場を登って巻く
直下ルンゼ雪渓を左岸岩場から越え、踏替点から茶臼ノ頭を俯瞰
踏替点からA沢雪渓
A沢雪渓右岸沿いの岩場を登る
A沢源頭部から、雪渓、踏替点、奥又白池、梓川を俯瞰する
A沢下降点から、前穂・明神岳稜線へトラバースする
奥明神沢ノコルから、奥穂高岳・ジャンダルム
奥明神沢ノコルから、西穂高岳・間ノ岳・天狗ノ頭
奥明神沢ノコルから、焼岳
前衛峰から岳沢側を巻き気味に進む
明神主峰とU峰
前衛峰付近から前穂高岳を振り返る
前衛峰付近から奥穂高岳
前衛峰付近から西穂高岳方面
前衛峰付近から焼岳
大崩壊コルから奥又白池
大崩壊コルから鉢盛山方面
大崩壊コルから明神主峰とU峰
明神岳主峰から東稜を俯瞰する
明神主峰から奥又白池と茶臼ノコル
明神主峰から前穂高岳
明神主峰から吊尾根と北穂高岳
明神主峰から大崩壊コル
T・Uノコルへの下りから、U峰・V峰
T・Uノコルから岳沢側ルンゼを下る
ミヤマオダマキ
ミヤマオダマキ
U峰岳沢側のガレたバンドを斜上する
V・WノコルとW峰
X峰
W峰からV・U・主峰を振り返る
W峰からX峰、霞沢岳
W峰の下りからX峰
X峰からW峰、V、U、主峰
同上
X峰から上高地方面を俯瞰する
2600M付近の平坦地
2600M付近の平坦地から、X峰山頂方面を振り返る
残置ロープを参考にして、踏跡を下る
上高地から明神V・W・X峰

MR446_ 横尾谷左俣・北穂高岳(北ア)'02-07

MR447_ 前穂高岳北尾根・奥穂高岳(北ア)'02-07

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