梓川一ノ俣谷往復(北ア)

date 2010/7/18-19 晴、快晴
コース 上高地〜横尾〜一ノ俣橋〜七段滝入口〜山田滝〜七段滝入口〜一ノ俣橋〜横尾
実働 第一日:2h20m、第二日:8h10m、計:10h30m。
概要 一ノ俣谷の七段滝ゴルジュ・一ノ俣滝を越えて、山田滝往復。
メンバー すうじい(単独)
行程 →:山道・踏跡、:溯行、\\:藪漕ぎ・踏跡不明瞭、=:交通機関。

【7月18日】 晴
新宿7:30=14:15上高地14:30→15:15明神15:25→17:00横尾山荘(泊)

【7月19日】 快晴
横尾山荘4:35→5:20一ノ俣橋5:50\\\\7:35七段入口滝7:45\\\\9:15第二渡渉点(ルート工作)10:3510:50一ノ俣滝11:15\\12:00山田滝12:30\\13:15第二渡渉点13:35\\\\14:20七段入口滝14:30\\\\15:20右岸小沢15:30\\15:35一ノ俣橋16:10→16:55横尾山荘(泊)
使用装備 軽登山靴、渓流靴、ヘルメット、E-P2、ED9-18mmF4-5.6、三脚、μ-725SW、8mmx30mザイル、ハーネス、アイスハンマー、ハーケン
不用装備 軽アイゼン、8環
記録  毎年恒例になった涸沢定着。一昨年・昨年に引き続き、定着前に一ノ俣谷の偵察を行った。

【7月18日】 晴
 今年は、さわやか信州号の朝発を利用してみた。新宿〜上高地が、片道6,000円で、座席は空いていて、快適であった。ところが、三連休の中日であり、高速1000円の影響もあって、新宿から八王子ICで中央道に乗るまで、2時間もかかってしまった。上高地に到着したのは、2時間遅れの14:15であった。

 上高地から明神館まで梓川左岸の遊歩道を歩き、明神橋を渡り右岸治山林道を歩く。新村橋で左岸に戻り、この日は横尾山荘(新築され、立派な風呂もあって快適)に宿泊。今回は、軽量化のため、幕営・炊事用具は全て省略で、夕食付小屋泊の計画だ。

【7月19日】 快晴
 この日は、登山道が廃道化して久しい一ノ俣谷を、山田滝まで往復した。山田滝は、一昨年、二ノ俣谷から中山ノコル越えで一ノ俣谷上流に入り、メガネを破損しつつも、常念滝、山田滝を見物して常念小屋へとエスケープした際の引返点だ。

 横尾山荘から一ノ俣橋まで歩き、渓流靴・ハーネス・ヘルメット装着で溯行準備し、右岸踏跡を少し辿った所で、不要な軽登山靴などの荷物をデポしておく。そのまま右岸の藪を漕いで進み、旧道の渡渉点と思しきあたりで、左岸へと渡る。水量は、結構多めだ。適当に藪漕ぎしつつ二段滝と思しき場所まで至ると、右岸のガレルンゼから大量の岩石が押し出しており、このために二段滝が埋まってしまったのだろうと納得する。谷が開けているのはここまでで、GPSも正確だった。

 二段滝のすぐ上流から、谷が狭くなり左へ曲がる。左岸の旧道と思しき踏跡を辿るが、かなり崩れかけている。まもなく谷へ降りて、ヘツリを交えて進めば、七段滝ゴルジュの入口滝2段10mに至る。昨年の一ノ俣谷偵察でも、この滝までは何とか到達したのだが、あまりの水量にめげて、引返したのであった。

 さて、ここから先は、未知の領域である。左岸岩壁に取り付き、草付から高巻く。どうやら正解ルートのようで、古びたロープが見付かる。隣のルンゼを横切り、草付からブッシュ帯を登り、小尾根を越してトラバースして行く。やがて錆びた鎖の付けられた岩場を下って、七段滝ゴルジュの中の、S字状連続トヨナメ滝8x15mの下に出る。

 再び左岸のガレクボに取り付いて、ゴルジュの高巻きに入る。S字トヨナメ左岸を巻いてトラバースして行くと、正面に何やら物騒な岩壁がそそり立っている。谷は左に折れ、左岸のコーナーにはルンゼがあり、これを慎重に横断する。もしや・・・と思ったとおり、左岸のあの物騒な岩壁の高い所を斜上してゆくバンドに、古いロープや針金が続いている。高度感のあるバンドを登って行くと、谷は右へ折れ、木枝で谷底が見えなくなる。隠れた滝がありそうだが、謎である。やがて踏跡は崩壊地に突き当たり、谷へと下る。

 ここが、第二の渡渉点のようだが、流れが強く、少々危険である。まずは、左岸岩壁にハーケン2枚を打ち込み、支点を作成する。空身でザイルを引き、慎重に渡渉して、対岸の岩にシュリンゲを掛けて支点とした。張ったザイルを頼りに、左岸に戻り、ザイルをダブルで、ピンと張る。次に、ザックを担いで、プルージックで渡渉するが、安心感がまるで違う。

 右岸側で休憩後、右岸をヘツって行くと、立派な滝に出くわす。大きな滝壺に豪快に落下する直瀑で、落差10-12mほどだ。これが一ノ俣滝に違いない。右岸巻きは無理そうなので、滝壺前を渡渉して左岸斜面に取り付く。登って行くうち、次第に踏跡が明瞭になり、滝上に続く。落口上には、古びたワイヤーが残っており、どうやら吊橋の残骸のようだ。トヨ状の落口の水流は猛烈で、とても渡る気にはなれない。

 そのまま左岸沿いを、ヘツって行くことにする。やがて、ラッキーなことに、大倒木が天然の橋を形成している場所に、遭遇する。ありがたく利用させてもらい、右岸へと渡る。右岸沿いを進むと、谷は大きく左へと曲がり、左岸枝沢の奥に滝も見えるが、これは山田滝ではない。やがて、左岸から2段12mの滝を懸けた枝沢が出合う。これが、見覚えのある山田滝だ。ついに、一昨年の上流側からの引返点に、到達したのだ。

 一通り撮影して、休憩後、満足して帰途に就く。大倒木で左岸に渡り、一ノ俣滝を巻いて、滝壺前で右岸へ渡渉し、ヘツり下れば、ザイルを張った第二渡渉点だ。プルージックで渡渉後、シュリンゲ1本残置でザイル・ハーケンを回収する。例の高度感溢れる左岸岩壁のバンドを下り、S字状トヨナメ下までトラバースする。鎖の岩場を登り、七段滝ゴルジュ入口滝を巻き下り、二段滝跡へと戻る。

 ここからは、谷が開け、少し下ってから、適当な所で右岸へと渡渉する。あとは、右岸沿いに、藪漕ぎとヘツリで進む。あと少しで一ノ俣橋という右岸小沢の所で、食いバテ症状が出たため、思わず休憩して、行動食と水を流し込む。残り僅かな藪漕ぎで、デポを回収し、一ノ俣橋で登山道に出る。ここで渓流靴を脱ぎ、溯行用登攀具を外して、広げて干しつつ、休憩しよう。ザックのパッキングをして、横尾山荘まで戻ると、16:55だった。

GPS軌跡

溯行図

アルバム

明神X峰
明神館近くの池で見掛けたオシドリの親子
オシドリの親子
明神橋と明神X峰
下宮川谷を見上げる
梓川右岸治山林道下又白谷
新村橋で梓川を渡る
梓川左岸遊歩道から下又白と奥又白
横尾から夕方の前穂高
横尾から朝の前穂高
槍見河原から槍ヶ岳
一ノ俣橋
一ノ俣谷
徒渉点付近を俯瞰
二段滝跡付近
二段滝跡右岸ガレ
七段入口滝
七段入口滝
七段入口滝
七段S字滝
七段S字滝
七段S字滝下部
七段S字滝上部
七段S字滝上部
左岸大岩壁下ゴルジュ帯の川原
左岸大岩壁のバンド
左岸大岩壁からS字滝上部を俯瞰
左岸大岩壁から横尾尾根越しの北穂と奥穂
左岸大岩壁から北穂と奥穂
第二徒渉点へ下降
渡渉用にザイルを張る
右岸側から振り返る
右岸ヘツリ
右岸ヘツリ
一ノ俣滝
一ノ俣滝
一ノ俣滝
一ノ俣滝の滝壺前から振り返る
一ノ俣滝左岸巻取付
ワイヤーの残る一ノ俣滝落口
屈曲点左岸枝沢滝
倒木の橋
左岸に懸かる山田滝
山田滝
山田滝
山田滝
一ノ俣滝
第二徒渉点
第二徒渉点でザイルを回収
左岸大岩壁のバンドを戻る
S字滝
七段入口滝
七段入口滝
七段入口滝
入口右岸ルンゼ

MR606_ 梓川二ノ俣谷〜中山コル〜一ノ俣谷滝見(北ア)'08-07

MR625_ 梓川一ノ俣谷偵察(北ア)'09-07

MR652_ 梓川横尾谷左俣左沢から北穂池(北ア)'10-07

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