鳥海山山スキー(鳥海)

MR170 鳥海山山スキー(鳥海)

date 1983/5/21-22 
コース 鉾立〜御浜神社〜扇子森〜千蛇谷〜大物忌神社〜新山山頂〜大物忌神社〜新山山頂直下〜千蛇谷〜南ノコマイ左俣源頭〜鳥海湖南岸〜「白糸の滝」沢源頭〜鉾立
実働 第1日:3h50m、第2日:2h40m、計:6h30m。
メンバー すうじい、Ko君
概要 例年になく雪の少ない鳥海山で、山スキー。千蛇谷左岸のトラバースで緊張。
行程 →:ツボ足、:シール、**:アイゼン、:スキー、\\:藪漕ぎ

【5月21日】 晴のちガス
 吹浦9:17=10:00鉾立10:15→11:25 1520分岐11:40→御浜神社12:20→12:25 1692コル12:55→13:45 1900M付近14:00→14:40大物忌神社14:50→15:05新山15:10→15:20大物忌神社(泊)

【5月22日】 雨のちガス
 大物忌神社11:55→12:05新山直下12:1512:30 1810Mトラバース開始点12:35→12:45 1800Mトラバース終了点12:5013:10南ノコマイ右岸13:2513:55鳥海湖南分岐14:00→\\14:35 1650M「白糸の滝」沢源頭14:4014:55 1390M夏道15:10→鉾立15:35=16:20吹浦
記録  東北スキーツアーも、今年で三年目だ。'83東北春山スキーツアーシリーズは、八甲田、岩木山に続いて、鳥海山に出掛けることになった。例年に比べ、今年はどこも雪が少なく、鳥海山もその例外ではなかった。今回は、ワンゲルOBのAd君の友人の、同じくワンゲルOBのKo君が、パートナーとして参加してくれた。

【5月21日】 晴のちガス
 急行津軽は、主として月山春スキーの人々で混んでいる。2両増結で、自由席5両だ。運良く、床に横になれる。新庄、酒田で乗り換え、羽越本線の遊佐のあたりで、意外に残雪の少ない鳥海山を、目の当たりに見て、不安を感じる。「鶴岡・酒田ミニ周遊券」の端である吹浦で下車、酒田発鉾立行のバスを待つ。テルモスに紅茶を入れ、バスに乗る。鳥海ブルーラインを、標高1150Mの鉾立まで登ってくれる。

 象潟から国鉄バスで来た人々は、もう登り始めている。1P目は、いつも調子が出ないが、今日は結構暑くて参る。奈曽川左岸の断崖沿いの道から、白糸の滝が見事だ。1390M付近から、「白糸の滝」沢の雪渓上を歩く。1520M分岐でタルんだ後、賽ノ河原付近から沢をトラバースして、御浜神社を目指す。途中から雪が切れ、夏道を歩く。

 神社から見る鳥海湖は、まだ雪で覆われており、鳶の類の鳥が遊んでいる。扇子森を越え、雪の斜面を下って、1692コルでタルむ。雪解け際の草地では、小さな芽が見られるが、名は知らない。

 1810M付近の千蛇谷へのトラバースは、傾斜がきつく、雪がやや軟らかいので、神経を使う。やっと千蛇谷に降りると、左岸の断崖からの落石が、谷底に転がり、右岸寄りを早足で登る。1900M付近まで登って、一服する。この辺りから、右岸の枝雪渓を登って、夏道に合流する。ガスが次第に濃くなり、雪の斜面をトラバース気味に登って行くと、右手に大物忌神社の建物群が浮かぶ。

 やっと着いたぜ。もう、祓川方面に下る元気はなく、今夜はここに泊まることにしよう。空身になって、岩々伝いに、新山をサブする。山頂にて、ガスの切れ目から見える祓川方面には、殆ど雪がない!

 神社の開放小屋に戻ると、賽ノ河原付近でスキーをしていた単独の人が到着していた。さらにもう一人、スキーヤーが来る。夜になると、雨風が強くなり、小屋泊まりの正解さを噛みしめる。シュラフカバーのみでは寒く、小屋備え付けの発泡スチロールマットとゴザを利用する。

【5月22日】 雨のちガス
 朝になっても、雨風は止まない。朝食のウドンを食べ、身体が暖まったところで、もう一度寝る。大分雨が弱まってきて、正午まで待っても止まなかったら、出発することにする。

 11:55小屋発。ウソのように雨は止み、裏の雪の斜面を登り、新山直下の、雪の限界まで達して、板を付ける。いったん七高山とのコル状の雪の上まで滑り、そこから千蛇谷に入って、左岸側の火口壁からの落石を避け、右岸寄りを滑降する。ガスが濃いためルート判断が難しい。

 谷が狭まると、散乱する落石が多くなり、スピードを殺して、避けねばならない。二、三度、谷が広くなったり、狭くなったりして、Ko君の後を追いつつ下る。右岸側の露出した尾根の形状は、昨日良く記憶しておいたので、火口壁トラバース地点の入口は、ドンピシャリと見付かる。板をザックに固定して、イヤラシイ雪壁のトラバースを無事終える。

 再びスキーを履き、気持ち良さそうな、南ノコマイ源頭部に、ついつい下ってしまったのが大敗着。小沢状を滑って行くと、滝の上に懸かるスノーブリッジを、下らなくてはならなくなった。Ko君が先に、横滑りで慎重に下る。ジャージャーという流水の音が、不気味だ。無事に、本流らしき谷に下る。

 広々とした振り子状の谷を少し滑降し、右岸に乗ってタルむ。左岸には、段丘状の広い雪原が広がっている。ここから、鳥海湖南岸を目指して、大トラバース。ガスで視界が効かず、現在位置や標高が判らない。やがて、ブッシュ(ハイマツ)の出た尾根にぶつかり、これに沿って少し下ると、鳥海湖南岸の夏道分岐に出る。

 ここから、雪に埋もれた鳥海湖を右手に見ながら、尾根伝いに北西へと進むと、やがて登りになる。兼用靴のビブラムが剥がれかかっているすうじいは、板を履いたまま、階段登高する。次第に傾斜がきつくなって苦労する。雪のない稜線に出る。「白糸の滝」沢源頭を滑降すべく、北西方向へ、笹とハイマツのブッシュを漕ぐ。この間、すうじいとKo君は、バラバラになってしまう。大いに苦労して、やっと雪のある所へ出た。

 スキーを履いて、「白糸の滝」沢源頭から、賽ノ河原を経て、「白糸の沢」左岸寄りを滑降し、夏道の現れる1390M付近で板を外す。鉾立を目指して、終バスに間に合えとばかり、急ぎ下る。

 15:35、発車しかかった酒田行の終バスを、停めて飛び乗る。バスの中で、濡れた服を脱いで着替えていたら、我々二人のために、運転手が暖房を入れてくれた。往きと同じく、吹浦で降りて、国鉄線に乗り換える。駅員?の私服のネエチャンが可愛くて、得した気分になった。夜行待ちの酒田で、市街見物と食事をするが、駅にNHKのパネル展示がある以外には、「おしん」関連の観光的なものが全く無くて、少々意外な印象を抱いた。

スキールート概念図とアルバムブログ
その1:スキールート概念図
その2:アルバム

MR164_ '83東北スキーツアーシリーズT:八甲田連峰スキー縦走(八甲田)'03-04

MR165_ '83東北スキーツアーシリーズU:岩木山大黒沢(弥生コース)滑降(岩木山)'03-04

の表紙へ
本館トップページへ