岩手山〜焼切沢スキーツアー(岩手山)

MR122 岩手山〜焼切沢スキーツアー(岩手山)

date 1982/3/3-4 
コース 網張スキー場〜黒倉山コル〜御花畑〜不動平〜岩手山頂火口〜不動平〜御花畑〜大地獄谷東側斜面〜焼切沢〜登山道〜県民の森〜東八幡平バスセンター
実働 第一日:5h50m、第二日:11h30m、計:17h20m
メンバー すうじい(単独)
概要 強風ガスで、火口縁まで行くも山頂踏めず、埋没不動平小屋でビバーク、焼切沢滑降。
行程 →:ツボ足、:シール、**:アイゼン、:スキー
【3月3日】 快晴のち強風ガス
網張スキー場リフト終点9:5011:55黒倉山コル12:0512:28→12:35休12:4512:55休13:0513:35御花畑13:4516:20不動平(BP)

【3月4日】 強風ガスのち風雪のち小雪
不動平6:20**火口6:50**7:20不動平7:35**コル8:00御花畑9:159:3512:00二俣付近の通過13:00七滝分岐14:4017:45休18:05→18:25東八幡平バスセンター
記録  '82の東北スキーツアーシリーズの第二弾は、三月上旬の岩手山だ。

【3月3日】 快晴のち強風ガス
 上野発の夜行列車で、盛岡へ向かう。大慌てで乗り換えて、雫石からバスに乗り、網張温泉スキー場へ。リフト終点で、登山者名簿に記入する。

 犬倉山と姥倉山の間は、雪が深く、ラッセルに汗を流す。赤布・ビニール紐が、時折、ルートを示す。樹林帯は、「モンスター崩れ」で風が無く、暑い。

 黒倉山と鬼ヶ城のコルまで来ると、いよいよ大地獄谷の方へ下るのだが、傾斜がきつく、雪崩れそうだ。一度下り過ぎ、ツボ足で、大地獄谷左岸の台地状まで、登り返す。しばらく左岸を進み、右岸に取り付いて、1480Pの中腹を、トラバース気味に登る。とにかく、雪崩を最大限警戒した。

 やがて、御花畑の雪原に出、樹林帯の登りは、次第に急になって行く。深雪ラッセルの急登で、ハアハア言いながら進む。時間も遅くなったので、雪洞に適した吹き溜まりを物色しながら登るが、うまい場所が無い。次第に、モンスターが本格的になり、風が強くなってくる。いよいよ不動平が近いことを感じつつ、赤布を辿る。

 もう既に、白一色の氷雪の世界で、小屋まで行くしか無さそうだ。赤布は、岩手山を巻くようにして、山頂へ向かっているようなので、これから離れ、ガスの彼方にうっすらと浮かぶ、小屋らしきものを目指して、下り始める。強風ガスの中、ガリガリデコボコに凍り付いた不動平を、シールで行くのは大変だ。

 二棟ある不動小屋は、片方は崩壊、他方は殆ど埋まっている。ガスの中、東の方に、大きめの小屋が時折姿を見せるが(これは八合目小屋で、大きくて立派な小屋だと、後で聞いた)、少しでも山頂に近い所で、ビバークしようと考えた。埋没小屋脇に、雪洞を掘ろうと近付くと、ラッキーなことに、小屋の窓が壊れていて、中に入り込めた。畳一枚分ほどのスペースを確保して、ゴアツェルトを吊す。風の強い所なので、本当に助かった。

【3月4日】 強風ガスのち風雪のち小雪
 朝、明るくなって外を窺うと、全くのホワイトアウトだ。視界5-10mで、強風がビシビシ吹き付ける。

 空身にアイゼン・ピッケルで、北を目指して登って行く。風がいよいよ強くなったな、と思うと、火口縁の稜線であった。ここからグルリと一周すれば、自動的に山頂を踏めるのだが・・・、現在位置:下降点の目印が無い。「山頂は踏みたいけど、遭難はしたくないし・・・赤布でも、持ってくれば良かったなあ」と、すうじい悩む。視界5m程しか無いので、やむなく、目を皿にして、今登って来た自分のアイゼン跡を、一つ一つ辿って下ることにする。これが大変で、不動小屋のBPに、やっとこさ戻れてホッとする。

 スキーを持って、アイゼンで出発。不動のコル付近で、スキーを履く。トラバース気味に下って行くが、現在位置の見当がつきにくい。適当な所まで下り、あとはひたすら西へ!と滑降する。樹林帯を、かなり下った所で、昨日の他パーティのものと思しきトレースを見つけ、喜んで辿る。

 御花畑から、1482Pの南西をトラバースして、大地獄谷のガケ記号の上方を通過しようと目論むが、視界が悪くて、ガケ記号の上端付近に出てしまう。ブサブサ腐れ雪の急斜面で、これ以上斜滑降でのトラバースが危険なため、スキーを脱ぎ、ツボ足で10m程上に逃げる。傾斜が若干緩んだので、樹林を目指して、斜滑降する。滑落と雪崩の恐怖に耐え、懸命に冷静さを保つ。

 その後も、散々ルートファインディングに苦労して、左俣沢出合付近で、またまたスノーブリッジ通過や、沢沿いの雪壁登りを繰り返す。まだまだ、ルートファインディングのコツが、解ってないらしい。

 960の顕著な細尾根で、やっと正確な位置に自信を持てた。これを乗越すと、気分の良い雑木林の、軽雪滑降となり、やがて夏道と思しき切り開きが続く。七滝への道が分岐するあたりまで来ると、傾斜も緩く、雪も重くなって、スキーはあまり滑らない。いよいよ滑りが悪くなると、踵解放で、クロカン・ストローク走法風に滑る。

 県民の森から先は、除雪車道脇の雪を拾って行くが、480の三叉路付近で、板を外す。東八幡平バスセンターに到着したとき、八幡平スキー場行の最終バスが出たところだった。

 今夜は、暖かい所で寝ることにして、大更駅に出、盛岡駅の待合室で駅カンする。差入れの伊予柑を食べていたら、仙台の某山岳会の人が、声を掛けてきた。明日から、八幡平〜三ツ石山の縦走をやるそうだ。同行を誘われたが、計画変更は拙いと言って、辞退する。尤も、八幡平スキー場から陵雲荘までは、一緒になるだろう。彼とその仲間達は、夜のうちに大更駅に向かった。すうじいは、濡れ物を拡げ、乾かすことを試みつつ寝た。

スキールート図

MR121_ '82東北スキーツアーシリーズT:磐梯山・猫魔ヶ岳・雄国沼スキーツアー(磐梯)'82-02

MR123_ '82東北スキーツアーシリーズV:八幡平〜山毛森スキーツアー(八幡平)'82-03

の表紙へ
本館トップページへ