仙波尾根から和名倉山・ナシ尾根周回(奥秩父)

【注意!】ナシ尾根・仙波尾根は、迷い易い箇所・藪が多く、川又道・仁田小屋道ほど踏まれていません。
      ごく一部の踏跡を除けば、鹿道拾いと藪漕ぎに終始します。

date 2012/4/28-29 快晴のち晴、快晴のち曇
コース 鮫沢橋ゲート〜松葉沢下降点〜仙波尾根取付〜東仙波〜和名倉山〜市ノ沢ノ頭〜尻無ノ頭〜大洞ダム〜鮫沢橋ゲート
実働 第一日:10h10m、第二日:6h35m、計:16h45m。
概要 鮫沢橋基点、1975M平坦地で幕営、藪尾根周回。
メンバー すうじい(単独)
行程 →:山道・踏跡、:徒渉・溯行、##:笹藪帯、\\:藪漕ぎ・不明瞭な踏跡、=:車

【4月28日】 快晴のち晴
自宅3:10=6:10鮫沢橋7:10→大洞橋8:10→仁田小屋沢8:35→松葉沢下降点8:50→9:10堰堤下徒渉点9:209:30惣小屋谷出合仙波尾根取付10:00\\1100M岩峰11:20\\11:40鹿の楽園12:00\\12:15 1219西コル12:20\\13:05出逢いの広場13:15\\##14:15白樺広場14:25##14:45鹿の十字路14:50##→15:35桜岩15:55→\\17:30東仙波17:35→18:20 ・1965 18:30→1930M平坦地(八百平)18:50→\\19:30 1975M平坦地(幕営)

【4月29日】 快晴のち曇
1975M平坦地5:20\\5:45 1905M千代蔵沢出合(水場)5:55\\6:18 1975M平坦地(撤収・朝食)7:40→8:10和名倉山8:20\\8:50市ノ沢ノ頭8:55\\1810M索道中継点跡9:20\\9:35 ・1758 9:55\\1750M笹藪上10:00##10:55 ・1550二重山稜11:05##11:45尻無ノ頭12:00##12:45 1350M笹藪下13:00\\13:38 1070M炭焼窯跡13:53\\→15:15大洞ダム15:25→15:55鮫沢橋16:40=17:35小鹿野18:15=20:50自宅
使用装備 登山靴、ヘルメット、ゴアライト、ガスコンロ、コッヘル、シュラフ、シュラフカバー、GPS、μ-725SW、水2L、飲料1L、ヘッドライト
不用装備
記録  和名倉山の主要な尾根のうち、未踏であった仙波尾根とナシ尾根(尻無尾根)を周回してみた。全般的には、ほぼ予想した通りの状態であった。しかし、大洞井戸沢偵察'03-06で通行した仙波尾根・1124岩峰北面トラバースは、桟道が落ち廃道化しているようであり、今回は安全を期して稜線を忠実に辿った。

【4月28日】 快晴のち晴
 関越道を花園ICで降り、二瀬ダムから大洞林道を進むと、鮫沢橋でゲートが閉鎖されていた。数台の車が停めてある。この林道、鮫沢橋から先が荒れがちなので、ここでの閉鎖は良くあることである。準備をして歩き出す。

 落石や土砂の間をすり抜けると、やがて大洞ダム下降点のモノレールが現れる。帰りは、この場所に出る予定なのだ。さらに大洞林道を歩いていると、ヘルメットを下げた単独男性に追い付く。聞けば、荒沢谷を溯行するそうだ。荒沢橋まで、同行する(この男性とは翌日鮫沢橋で再会した)。この間、林道は意外に荒れておらず、この分では、今シーズンの荒沢橋までの開通は早そうだ。

 男性と別れると、すぐに大洞橋手前ゲートとなる。鮫沢橋から、丁度1時間であった。大洞橋を渡ると林道は荒れまくりとなり、四駆でも通行困難であろう。日向の道は陽射しが暑く、重荷と相俟って、大汗をかかされる。見晴らしの良い場所からは、仙波尾根とカバヤノ頭らしきピークが望まれる。

 右手の斜面に、見覚えのある「ふれあいの森林」という看板が現れると、仁田小屋道取付が近いことを知る。仁田小屋沢左岸斜面に、戻るように取り付く踏跡が、仁田小屋道取付だ。さらに15分の林道歩きで、松葉沢への道形が左へ分岐する。

 この道形を辿ると、すぐに細い踏跡となるが、やがて小尾根沿いに下り、堰堤下で松葉沢右岸へと渡る。そのまま踏跡を下降すると、大洞の堰堤下に出る。早速登山靴を脱いで、徒渉用の運動靴に履き替える。大洞の水量はやや多目で、林道歩きで拾った杖が、大いに役立つ。右岸に渡り、堰堤を左から越える。

 すぐに惣小屋谷出合であり、今度は井戸沢を徒渉する。水は冷たく、足が冷え切る。濡れた運動靴を脱ぎ、登山靴に履き替えよう。休憩の後、仙波尾根取付を偵察する。この辺り、大洞井戸沢偵察'03-06時とは、様子がすっかり変わっており、少々困惑する。

 出合から惣小屋谷右岸沿いに、ゴーロを数十メートル進むと、斜上する踏跡がある。その先も続いているようなので、荷物を取りに戻る。ここが、仙波尾根道取付である。薄い踏跡を辿り、落葉樹林帯・針葉樹林帯を登って行く。

 傾斜が急になり、岩壁が近付くと、右手へトラバース気味に踏跡が付けられているのだが、道形や桟道が崩落しているらしく、「通行危険」を報せるテープが現れる。やむなく、一段登って・1124北壁と思しき岩根に接近する。ルートは、岩根沿いを右手へ倒木と土砂を踏み越えて斜上するか、岩根沿いに左上方の尾根を目指すか、の二者択一となる。

 稜線に忠実の方が安全性が高いと考え、左上方の尾根を目指し、左手の岩根沿いの斜面を登る。こちらは、特に危険は無い。尾根に乗ると、少々藪っぽい岩稜となるが、慎重に進めば問題は無い。・1124と思しき岩峰を過ぎ、慎重に1095Mコルへと下降する。

 ここへ、トラバースしてきた踏跡が合流する。踏跡の桟道は、朽ちているようだ。1100M岩峰への登りには、ロープが付いている。1100M岩峰から、右手へと斜めに下降すると、幅広の窪状へと入って行く。見覚えのある地形は、「鹿の楽園」だ。時刻は既に正午近く、気温は予報通り上昇し、芽吹いていない落葉樹林帯は、陽射しが暑くて堪らない。太い幹の木陰で、荷を下ろす。兎に角、水分補給だ。

 休憩後、浅い窪状に沿って、1219西コルを目指す。コルからは、やや不安定な幅広尾根斜面を登る。傾斜の緩んだ肩状が、1360M「出逢いの広場」である。小休後、再び尾根状に取り付き、次第に右手の浅窪状へと入って登って行くと、横に広い1520M笹藪下平坦地形となる。

 この先は、尾根がハッキリせず、笹藪の斜面となっている。ここで、完全に踏跡を見失ってしまい、中央の薄い鹿道を頼りに登り始めるが、すぐに笹藪バリケードに阻まれる。やむなく、適当に方向を定めて、藪の薄い箇所を強行突破して行く。

 次第に左手へと向きを変え、それらしき鹿道を辿ると、地面の出た広場に至る。南側は禿げた斜面となり、展望も良い。どうやら、ここが1580M白樺広場のようだ。この先は、本格的な笹藪トンネルとなるので、しっかりと休憩しておこう。

 さて、覚悟を決め、笹藪トンネルへと突入する。少し身を屈めて、ザックに引っ掛かる笹を少しずつ避けながら、前進する。この作業は、大いに疲れる。ひたすら我慢の連続だ。途中、何箇所か鹿道の交叉点がある。まさしく、迷路である。なるべく踏まれた道を、方向と傾斜とを頭に入れつつ、進んで行く。笹藪トンネルの鹿道なりに、進む以外にない。白樺広場から20分ほどで、「鹿の十字路」の看板のある交叉点に出る。どうやら、正解ルートにいるようだ。取り敢えず、ザックを下ろしてへたり込む。

 「鹿の十字路」から少し進むと、顕著な1680M切り開きに出る。ここで左手へ直角に折れて、笹藪トンネルは続く。やがて尾根が次第にハッキリしてきて、笹藪の丈も低くなって来る。「鹿の十字路」から45分で、展望の良い岩に至る。「桜岩」という看板がある。水分と食べ物を補給しよう。

 桜岩からは、藪は大したことはないが、笹藪漕ぎで消耗した身体には、辛い登りが続く。幾筋もの鹿道が、判断を迷わせる。どれが正解と言う訳でもなく、少しでも楽そうな所を進む。黒木の繁るカバヤノ頭の最後の登りは避け、左手に見えた岩壁の下をトラバースする。

 そのまま水平にトラバースして、西側の肩に乗る。東仙波は、目前である。休むことなくのろのろと進み、東仙波への最後の登りにかかる。午後5時半、東仙波の縦走路に出る。最後の展望を楽しみ、水分を補給する。日没まで、さほど余裕は無い。本日の幕営予定は、二瀬分岐直下の1975M平坦地である。

 踏まれて凍結した残雪を避けながら、北へと縦走を開始する。気持ちは逸るが、脚は捗らない。午後6時半、・1965西で小休し、ヘッドライトを装着する。目を皿にして、踏まれた所を探し、踏跡を辿る。1930M平坦地(八百平)まで来ると、幕営している二人を見付ける。二瀬道を登って来たらしい。サイトとしては、魅力的だったが、水場のことを考えて、先へ進む。

 やがて、いつの間にか川又分岐を過ぎ、暗闇の中、踏跡を外しながらも、1975M平坦地へと至る。すぐに設営する。水はまだ1L以上あったので、水汲みは翌朝とした。カップ麺とパンの夕食を摂り、お茶を飲む。どうやら、鹿のヌタ場横だったようで、夜通し訪問者が絶えず、度々起こされた。

【4月29日】 快晴のち曇
 朝、明るくなってから、水汲みに出掛ける。惣小屋谷の1850M右岸枝沢源頭を下降するが、おそらく本流近くまで降りないと、水が出ないようだった。途中で方針を変え、左手へとトラバースし、1905M千代蔵沢出合を目指す。千代蔵沢出合で水を汲み、ほぼ水平に戻る。平坦地付近まで登り返すと、水平方向にマーキングがあり、たぶん東へ水平に千代蔵沢を目指すのが、正解水汲みルートのようだ。

 テントを撤収してから、カップ麺の朝食を食べ、たっぷりお茶を飲む。食事中も鹿ちゃんたちが、見物に来る。さて、今日も行程は長いぞ。二瀬分岐を過ぎ、千代蔵ノ休場で富士山を遠望する。今日も良く晴れている。和名倉山山頂には、仁田小屋道を示す道標まである。

 さて、ここから再び藪漕ぎだ。尤も、倒木に踏まれた跡が付いており、あまり迷う要素は無い。9年前に仁田小屋道を往復した際の記憶を辿りながら、黒木の密林帯を抜け、明るい疎林の尾根沿いを市ノ沢ノ頭へと向かう。

 ナシ尾根分岐となっている市ノ沢ノ頭で小休止し、少しだけ気合いを入れる。ここからのナシ尾根は、左手が黒木の林、右手が落葉樹の疎林となっている。歩き易い所を、適当に下る。1810M付近まで下ると、索道中継点であろうか、ケーブルや滑車が残る広場に出る。

 更に下って行くと、次第に籔っぽくなってきて、・1758北面を巻く踏跡の広場状で小休止する。陽射しが強く、既に結構暑くなっている。再び踏跡を歩き出すと、1750Mの開けた鞍部状になり、周囲に笹籔が目立つようになる。ここから本格的な笹籔廊下が始まる。

 なるべく尾根に忠実な、良く踏まれた踏跡を選んで進む。次第に丈が高くなる笹籔の廊下は、時折馬酔木を交え、結構手こずる。尾根左手は傾斜が急ではあるが、樹林帯で笹は薄いので、状況に応じ適宜利用する。1720-1700M付近の緩傾斜地形は、鹿道が錯綜するので、方向感覚が重要だ。

 次第に尾根がハッキリすると、やがて顕著な二重山稜地形となって、・1550の木陰で休憩する。この先、尾根上の笹籔にめげて、北斜面の鹿道を辿ると、尾根北側に疎林平坦地形が現れ、しばらく北斜面を辿る。適当な場所で尾根に復帰するが、籔の急斜面登り返しがキツイ。

 籔の中の踏跡を辿り、あまり展望の得られない、尻無ノ頭三角点に至る。休憩の後、再び笹籔トンネルを下る。一旦開けた斜面に出るが、その後は幾通りもの笹籔トンネルが、合流分散を繰り返しながら尾根を下っている。正解トンネルを選択するのは難しく、ついつい尾根の左側に寄り過ぎて、尾根に復帰するのに激藪漕ぎで苦労したりする。

 1330M付近で開けた荒地に出て、笹籔漕ぎは終了だ。直下の杉林の中で、休憩する。傾斜が緩み、尾根が明瞭になると、馬酔木と落葉樹の疎林となり、歩き易い。1200M付近から尾根が不明瞭となり、傾斜も急になる。GPSで現在位置を確認し、微妙に方向を修正しながら、下って行く。

 1070M付近で、炭焼釜跡に出くわす。この辺り、尾根がハッキリせず、踏跡も不明瞭だ。900M付近からは、次第に南へと方向を変え、正解尾根を外さぬよう慎重に下降する。810M付近で、不安定な急傾斜の杉林に入ってしまい、眼下に市ノ沢の流れを見る。

 ちと下り過ぎたとは思ったが、急斜面の下をトラバースする薄い踏跡を辿ることにする。何箇所かの急なザレルンゼを慎重に横断し、トラバースを続けて、小尾根の仕事道に合流する。あとは、ジグザグに急降下すれば、大洞ダム湖畔に出る。

 ダムの上で、ザックを下ろして休憩だ。もう危険箇所は無い。ぬるくなった水を飲み、最後の登り返しに備える。ゆっくりとした歩みで、大洞林道の高みを目指し、登り始める。やがて昨朝歩いた林道に出て、鮫沢橋まで最後の頑張りだ。

 車に着いて、荷物整理をしていたら、昨日の単独男性が戻って来た。聞けば、荒沢谷から雲取山まで登って来たそうだ。帰り道は、秩父の芝桜渋滞を避け、両神・吉田経由でR254に入り、鶴ヶ島ICで関越道に乗った。

GPS軌跡

アルバム

大洞ダム下降点
大洞橋ゲート
仙波尾根・カバヤノ頭
ふれあいの森林
松葉沢下降点
松葉沢徒渉
大洞本流堰堤下
大洞本流徒渉点
惣小屋谷出合
仙波尾根取付
斜面を斜上する
・1124岩峰北壁下右
・1124岩峰北壁下左
・1124岩峰付近
・1124岩峰付近
・1124岩峰付近北側
1095Mコル
1095Mコル
1100M岩峰付近
鹿の楽園
1580M白樺広場
1580M白樺広場
南東側平坦地
再び笹藪へ
1665M鹿の十字路
1680M切り開き
1740Mからカバヤノ頭
桜岩からカバヤノ頭
桜岩から雲取
1830M付近から
1830M付近にて
1840M付近から
1930西肩より東仙波
西肩よりカバヤノ頭
鞍部より東仙波
鞍部よりカバヤノ頭
東仙波よりリンノ峰
東仙波より将監峠
東仙波よりカバヤノ頭
朝の訪問者
朝の訪問者
二瀬分岐
千代蔵ノ休場
富士遠望
山頂入口
和名倉山頂
市ノ沢ノ頭のナシ尾根分岐
ナシ尾根1870M付近
1860M付近
1810M索道中継点跡
1810M索道中継点跡
1750M笹藪上
1750M笹藪上
1550二重山稜
尻無ノ頭西北平坦地
尻無ノ頭三角点
尻無ノ頭から
尻無ノ頭南面
1350M笹藪下
1320M付近
1320M付近
1070M炭焼窯跡
横断したザレルンゼ
大洞ダム湖
大洞ダム下流
大洞ダム

MR498_ 和名倉山仁田小屋尾根'03-12

MR475_ 大洞井戸沢偵察'03-06

MR474_ 大洞惣小屋沢焼小屋沢・和名倉山・惣小屋沢下降'03-06

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