黒川表参道から有明山(北ア前衛)

date 2010/5/3 晴
コース 黒川橋〜黒川表参道〜稜線(落合)〜有明山〜有明荘
実働 登り:8h05m、下り:2h05m、計:10h10m。
概要 黒川表参道、稜線ラッセル、有明荘へ下る。
メンバー すうじい(単独)
行程 →:ツボ足、**:アイゼン、=:車。
【5月3日】 晴
安曇野パストラルYH5:05=5:35黒川橋6:20→登山口6:30→・1249二俣7:45→8:15 1350M左岸枝沢出合滝8:20→8:35妙見滝8:40→9:30白河滝9:45→11:15 1750M岩壁鎖場下11:25→12:40稜線(落合)13:10**展望岩場14:30**15:30有明山15:40**16:00迷う16:25**16:30トレース再発見16:40→18:20有明荘19:09=taxi=19:35黒川橋19:40=19:45宿(泊)
使用装備 革登山靴、ピッケル、アイゼン、ストック、μ-725SW、GPS、テルモス
不用装備
記録  立山室堂のみくりが池温泉に3泊して、残雪の立山を楽しんだ後、扇沢に戻って安曇野に泊まり、黒川表参道から有明山に登った。予想されたことではあったが、谷筋には残雪が多く、雪渓、雪壁、ルートファインディングに時間を食った。さらに稜線に出てからは、雪壁・雪稜・岩場も多く、ラッセル、ルートファインディングに、ますます時間を要した。

 下山は、有明荘へとエスケープしたが、・2283P南面トラバース開始付近でルートを見失い、25分ほど徘徊した。幸い、ルートに合流出来て、ヘッドライトのお世話にならず、有明荘に到着できた。

【5月3日】 晴
 早朝、ユースホステルを出て、コンビニで食料を調達する。駐車場からは、「安曇富士」と呼ばれる有明山が望まれる。勾配がきつく、見るからに険しそうだ。

 中房川沿いの道を登って行くと、黒川沿いに分岐する林道がある。今回は、手前側に林道分岐のある、黒川橋を渡ったスペースに駐車した。ザックを担いで、黒川左岸沿いの林道を歩く。林道を10分ほど歩くと、黒川表参道の登山口がある。

 登山道に入ってすぐに、木橋を渡り、黒川の右岸側へ移る。右岸沿いの登山道は、さほど明瞭というわけではないが、迷うほどでもない。所々に、カモシカのものと思われる糞が、大量に落ちている。

 ・1249二俣では、右岸側から左俣を渡り、さらに本流である右俣の右岸沿いに進む。1350M左岸枝沢が、15mほどの滝を懸けて出合う場所で小休する。1350m左岸枝沢出合のすぐ先で、左岸側へと渡る。

 やがて右岸枝沢に、妙見滝2段25mが懸かる。水量は少ないが、なかなか立派な滝である。妙見滝前から、左岸の梯子に取り付く。梯子を登った所から振り返ると、また少し滝の印象が変わる。妙見滝上部の水流も、また味がある。

 笹藪帯をトラバースし、すぐに沢へと戻ると巨岩帯だ。左岸側に鎖場がある。傾斜のある雪渓は、硬いので滑り易い。これを越えると、沢沿いのコースは、次第に雪に埋まりがちになり、雪渓や雪壁の処理が必要になってくる。

 雪渓を横断し、乾いた藪っぽい開けた川原状を登ると、白河滝の前に出る。ザックを下ろして、休憩しよう。白河滝は、落差20m程の滝で、ぽっこりしたお腹を連想させる。滝前は、開けた川原になっているので、携帯の電波が届くようだ。

 白河滝から先は、左岸笹藪斜面に取り付き、小尾根に乗って登って行くことになる。笹藪斜面には、朽ちかけた階段と鎖が見える。これを登って行くと、白河滝上部も少し見えてくる。やがて藪っぽい登りとなって、小尾根に取り付く。

 小尾根に取り付いて、急登を続ける。尾根上の道には、次第に、凍結した雪が出てきて、滑り易い。やがて、石門と呼ばれる、岩の隙間を抜ける。さらに登ると、少し尾根が緩み、岩壁の下に出る。岩壁には、トラバースの鎖場が見えるので、ここで小休しておこう。

 左へのトラバースは、笹藪帯や雪壁を、イヤと言うほど横断して行く。雪に埋まったコースは、非常に判り難い。それでも、少ない目印を頼りに、何とかルートを見付け出して、雪に埋まった黒川源流の窪状に到達する。あとは、この窪状を詰めれば、稜線に出ることが出来そうだ。

 少しホッとして、浅い窪状をラッセルしながら登る。次第に、稜線が近付いて来る。そしてついに、稜線へと到達する。ここは、落合と呼ばれる、松川側と有明側を結ぶ峠である。

 休憩の後、アイゼンを装着し、有明山へ向けて稜線の縦走を始める。次第に、雪が深くなる。尾根は痩せていて、傾斜もあるので、油断が出来ない。40分ほど進むと、稜線に祠がある。雪岩藪ミックス、雪壁、雪稜と格闘し、落合から1時間10分ほど進むと、岩場の上に出て、展望が得られる。

 展望岩場からは、清水岳〜東餓鬼岳〜剣ズリ〜餓鬼岳の稜線が割と近くに見え、後立山の鹿島槍などが展望できる。正面の有明山はと言えば、雪壁に埋まる黒木の急な樹林帯が、待ち構えている。

 ここから再び急な登りが始まり、尾根の岩場を避け、右手の急な樹林帯を、ラッセル登りする。展望岩場から、さらに1時間で、最後の雪壁を乗越すと、北峰の金属製の鳥居前に出る。有明山北峰には、松川の有明山社奥社がある。

 既に午後3時半、半分遭難の時間帯だ。最短コースと思しき、有明荘へのエスケープを決める。餓鬼岳方面の展望の良さは抜群で、思わず撮影するが、大天井岳や燕岳などもデジカメに収め、早々に下山開始する。期待していた真新しいトレースも皆無で、結構ヤバイ状況だ。

 ・2283P南面トラバース開始付近でルートを見失い、25分ほど徘徊した。一時は、本気でビバークを意識させられる。地形を見極めて、ここしかないだろうというルートを辿ると、古いトレースを発見する。アイゼンを外し、ツボ足で急ぎ下る。

 幸いヘッドライトのお世話にはならずに済んだが、有明荘に到着した頃には、薄暗くなっていた。タクシーを呼び、黒川橋袂の車に戻る。そこから今宵の宿までは、すぐであった。

GPS軌跡

アルバム

安曇富士:有明山
黒川林道入口
黒川表参道登山口
黒川を渡る木橋
カモシカの糞
1350M左岸枝沢の滝
1350M左岸枝沢出合の先で、左岸へ渡る徒渉点
妙見滝
妙見滝
左岸梯子
妙見滝
妙見滝
巨岩帯左岸鎖場
雪渓を振り返る
白河滝
左岸笹藪斜面取付
白河滝
左岸笹藪斜面
白河滝
石門
1750M岩壁鎖場下
残雪の黒川源頭
稜線間近
落合の道標
稜線を辿る
餓鬼岳・鹿島槍
東餓鬼岳・剣ズリ
岩稜・樹林・雪壁
山頂鳥居と餓鬼岳
有明山社奥社
有明山頂から大天井岳
有明山頂から燕岳
有明山頂から燕岳、右手前の黒木の山は・2283P

MR644_ 真砂岳大走り1550M敗退(北ア)'10-04

MR645_ 奥大日岳(北ア)'10-05

MR646_ 雄山・御山谷滑降(北ア)'10-05

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