滝川右岸道・金山沢・曲沢下降(奥秩父)

date 2008/6/7 曇時々晴
コース 山薊橋先下降点〜滝川右岸道〜金山沢2段11m滝下流〜金山沢溯行〜川又道〜曲沢下降〜滝川右岸道〜山薊橋先下降点
実働 登り:7h50m、下り:3h52m、計:11h42m。
概要 滝川右岸道を利用し、金山沢を溯行、曲沢を下降。大幅に時間を食う。
メンバー すうじい(単独)
行程 →:山道・踏跡、:溯行、\\:藪漕ぎ・不明瞭な踏跡、=:車
【6月7日】 曇時々晴
自宅3:05=5:40山薊橋先下降点6:00→7:25曲沢横断点7:30→曲沢970M左岸枝沢横断点7:43→\\8:45境界標のある小尾根8:50\\9:25金山沢4x15mミニゴルジュ上9:459:55 2段11m滝10:05金山沢横断点10:501240M右岸枝沢11:5512:10 5m階段状12:2013:10 1410M左岸枝沢13:1513:50大滝14:0514:15大滝上14:2014:40 1720M右岸枝沢14:5015:00 1790M左岸枝沢15:05\\15:20川又道15:30→15:50曲沢下降点15:5516:30 1590M奥二俣16:3517:20 1270M左岸枝沢17:25右岸道曲沢横断点18:00→山薊橋先下降点19:37=自宅
使用装備 ジョグシュー、渓流靴、ヘルメット、アイスハンマー、シュリンゲ、E-1、14-54mmF2.8-3.5、μ-725SW、ヘッドランプ
不用装備
記録  26年前と4年前に訪れたことのある、金山沢溯行・曲沢下降。26年前には、伐採跡の棘のある藪に苦しめられ、4年前には、雨に泣かされた。今回はと言えば、寝不足な上に、右岸道の金山沢直前通過に時間が掛かり過ぎて、帰路に真っ暗な滝川右岸道を辿る羽目になった。

【6月7日】 曇時々晴
 R140山薊橋先の下降点から、軌道跡の水平林道を経て、吊橋へと下る。4年前の時は、床板が腐って、ちと怖かったが、今回は金属製に整備されていた。対岸の登り返しでも、金属製の階段が設置されていた。

 痩せた小尾根を登り、傾斜が緩くなると、右手へ登り気味にトラバースを始める。やがて左から来る古そうな水平踏跡と合流するが、この付近が、ちと判り難い。そのすぐ先が、最初の崩壊地点で、小さく上を巻く。その先も、沢の横断地点は常に崩壊が著しく、また踏跡も不明瞭になりがちで、要注意である。沢小屋沢は、3本連続する沢を横断するようなかたちなので、特に要注意である。

 曲沢までは、右岸道も比較的良く踏まれている。曲沢を下降に使う人がいるためかも知れない。釣師向けの看板が、大きな沢の横断点に立てられていて、良い目印になる。曲沢の970M左岸枝沢直前では、藪が酷くて踏跡を失いがちになるが、高度を保って直進すれば良い。この枝沢を渡り、尾根を回り込んで金山沢右岸斜面に入る。

 金山沢950M右岸枝沢を横断した後、しばらく行って、傾斜のあるガレ窪を横切る。その先は、崩れかけの岩稜状となっていて、踏跡は完全に崩壊してしまっている。4年前には、ガレ窪を岩稜沿いに20m程登り、鹿道を利用して岩稜に乗り、岩稜を少し下り、更に急な斜面を、慎重にトラバース気味に下降して、金山沢に降り立ったのだった。今回は、ガレ窪を岩稜沿いに20m程下降し、岩根を下巻いて危なっかしいバンドをトラバースする。危険箇所を過ぎた辺りで、踏跡っぽいモノを発見し、これを辿って登ると、顕著な小尾根に出る。

 この小尾根には、林班境界標らしき黄色のプラスティック板が刺してある。小尾根上は、獣道かも知れぬが少し踏まれた感じだった。トラバースの踏跡らしきものは、見出せず、上へ登るか下るか少し迷ったが、次の境界標まで下降する。その下は傾斜が急になりそうだったので、再びトラバース開始。次の小尾根に乗ったら、その先のルンゼが深くて、やむなくこの小尾根を下降し、最後は右手の浅窪を下降して金山沢に降り立つ。

 降り立ったのは、9:25、上流側に2段11m滝が見える場所であった。これは、かなり下流に出たなと感じた。下流側を見遣ると、4x15mナメのミニゴルジュある。26年前の溯行図から、現在位置を確信する。やれやれ、いくつかの滝とゴーロを、余計に歩かねばならない。

 金山沢溯行を開始すると、10分ほどで、2段11m滝下に至る。下段は6mスダレ状、上段は5m。この滝は、深田光男氏の「奥秩父の滝」では、「金山沢の滝」として紹介されている。右壁を登って小さく巻く。次に現れるのは、3x5mトヨナメである。その上に、3m程のナメ滝が二段続く。左岸から枝沢が出合い、ゴーロを行くと、石滝4m。ゴーロをさらに進めば、5m逆くの字階段状となる。

 5m逆くの字階段状を越えると、1100Mの滝川右岸道横断点となる。右岸下流側の斜面から、斜めに下ってくる踏跡がある。ここにも、秩父漁協の「釣り人のみなさんへ」という看板が立ててあって、どこをどうやって運んで来たのか、ちと驚く。左岸の上流側には、小屋跡の平坦地があり、その裏手の斜面に、槇ノ沢へ向かうジグザグの踏跡らしきものが見える。

 1100M滝川右岸道横断点から、ゴーロを30分ほど歩くと、5mCS滝が現れ、連瀑帯となる。5mCSを越え、沢が左へ曲がると、5x10mほどのトヨナメ状となる。続いて、2段の小ナメ滝を越える。次は、個性的な形状の4mV字2条滝を越える。連瀑帯最後に、5m逆くの字滝下部トヨがある。これを左岸から小さく巻いて越えると、今度は黒ナメ連続帯が始まる。

 黒ナメ連続帯に入り、ナメ滝を幾つか越えて行くと、1240M右岸枝沢出合で、沢は右へ屈曲する。右へ屈曲した後、滑床が連続するようになる。右岸から枝沢が二本出合い、右岸側に、歩き易い段丘状地が現れる。前回同様、時間短縮のため、これを利用する。黒滑床の沢を、右手に見下ろしつつ進む。

 右岸段丘状に笹が出て来て、やがて沢に降りると、丁度、釜を持つ5m階段状滝に出る。ここで、三脚を立て、小休する。ここで既に、正午を過ぎてしまった。寝不足のためか、思うように行程が捗らない。次は、4m2条滝で、左側に細いトヨ状の水流を伴っている。

 右岸からガリー状の1300M枝沢が出合い、小滝、3x5mトヨを越すと、左に流木が掛かる4m滝となる。その後も、所々滑床が現れる。左岸から枝沢が出合い、6mナメスダレ幅広を越すと、右岸から枝沢、ガレが出合い、やがて(1:3)の1410M二俣となる。この二俣では、立木に赤ペンキでマーキングしてある。

 1410M二俣を右に進み、水流二分の中央を歩いて行くと、右手に1470M左岸枝沢と思しき大ガレが見え、大量の土石と倒木が押し出している。その先で、左岸から1500M枝沢が出合い、さらに左岸から二本ほど枝沢が出合う。

 左前方にガレが見えてくると、右前方には大滝が懸かる。1600M付近と思われる。右岸ガレをトラバースし、立木の根元から、大滝2段16mを撮影する。下段は8mスダレ状、上段は8x16mナメである。苔生した脆い右壁に取り付いて下段を越え、木の根頼りに上段のナメに近付いて登る。

 大滝を越えた所で小休し、間もなく水量比(4:1)ほどの1630M左岸枝沢を見送る。最後の滝である、2段4mと小滝二つを快適に越せば、あとはひたすら急なゴーロ登りが続く。1710M二俣は、左が顕著な明るいガレ窪であり、僅かな水流がある。右の方が少し沢床が低く、こちらも水流がある。予定通り、右沢に入る。川又道まで、あと高度差200Mほどであろう。

 金山沢のツメで最後の分岐になるのが、1790M二俣。右は水流があるが、やや沢床が高い。左は伏流となっている。やや沢床の低い左へと入る。あと標高差100M程度の頑張りだ。ガレ沢は、次第にザレた草付浅窪状となり、不安定で踏ん張りが効かない。途中から、左手の小尾根に逃げる。僅かな獣道風の踏まれ跡を繋ぎながら、やはりこちらの方が歩き易いなと思う。

 1790M二俣から15分ほどの頑張りで、川又道のマーキングテープが目に入る。踏跡に出たら、ザックを下ろして先ずは休憩だ。さて、既に午後3時半、かなりヤバイ状態だ。急ぎ曲沢源頭へと移動しよう。

 20分ほどで1830M曲沢下降点に至る。ここは、曲沢源流の一つで、1590Mを右に入った沢である。川又道沿いの立木に、赤ペンキでマーキングしてある。時刻は、既に15:50。このまま川又道を辿れば、3時間ほどで川又まで下れるであろう。最後は暗くなるであろうが、沢を下るよりは、安全である。

 曲沢は、4年前にも下っている。2時間ほどで、右岸道に出るであろう。さらに右岸道を1時間強で、山薊橋の車だが、右岸道の途中で暗くなるだろう。ちと判断に躊躇したが、今朝辿った右岸道に賭けることにする。

 しばらくは、平凡なゴーロ沢を下る。時折、滝があるが、さほど問題なく下れる。1590M出合のミニゴルジュには、上部に倒木が詰まっていて、少し手こずったが、小滝の右壁とCSとにシュリンゲを掛け、A0にして下降する。その後は、ひたすら我慢の下降である。急ぐと転倒しそうなので、慎重に下る。

 1270M二俣には、17:20到着。この左俣には、結構滝がありそうだ。まだまだ我慢の下降は続く。1120M右岸枝沢出合まで来れば、あと少しである。1080M右岸道には、18:00丁度に着いた。休む間もなく、右岸道を辿る。沢小屋沢の徒渉点で、道を見失う。かなり焦る。5-10分ほど捜して、復帰する。

 最後の崩壊地点を上巻いた後、今度は踏跡がどんどん薄くなる。流石に、19時を過ぎれば、辺りは真っ暗だ。先ずは、ヘッドランプを装着しよう。ここは、朝来た時、やや下側からトラバース気味に登って来て、水平な踏跡と合流した記憶があったので、少し引き返してから正解ルートを見出す。

 やがて、吊橋への下降尾根を辿り、吊橋を渡る。最後の力を振り絞って、登り返す。車に戻ったのは、19:30を過ぎていた。

溯行図


滝川金山沢溯行図


滝川曲沢溯行図

アルバム

荒川に懸かる吊橋
床板は金属板だ
滝川金山沢 4x15mナメのミニゴルジュ
滝川金山沢 2段11m滝
滝川金山沢 3x5mトヨナメ
滝川金山沢 5m逆くの字階段状
金山沢1100M横断点
滝川金山沢 5mCS
滝川金山沢 2段小ナメ滝
滝川金山沢 4mV字2条滝
滝川金山沢 5m逆くの字下部トヨ
滝川金山沢 1240M右岸枝沢手前の黒ナメ滝
滝川金山沢 5m階段状
滝川金山沢 4m2条左トヨ
滝川金山沢 4m左流木
滝川金山沢 6mナメスダレ幅広
滝川金山沢 大滝2段16m
1790M二俣は左に入る
川又道の踏跡に出た
曲沢下降点
滝川曲沢 1590M出合のミニゴルジュ
滝川曲沢 1270M二俣の左俣

MR511_ 滝川金山沢・曲沢下降'04-06

MR137_ 滝川金山沢・曲沢下降'82-07

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