滝川金山沢・曲沢下降(奥秩父)

date 1982/7/16-18 曇のち霧雨、雨のちガス、曇 
コース 川又〜岩鏡橋先下降点〜滝川本流〜金山沢〜上部トラバース道(川又道)〜曲沢下降〜滝川下降〜高滝下吊橋〜山薊橋先下降点〜川又〜秩父湖(二瀬ダム)
実働 第一日:4h06m、第二日:11h20m、第三日:6h15m、計:21h41m。
メンバー すうじい、O君
概要 和名倉山目指したが、キイチゴの藪に時間が掛かり、登頂断念。
行程 =:バス・鉄道、→:山道、:溯行、\\:藪漕ぎまたは詰め
【7月16日】 曇のち霧雨
池袋6:00=7:52西武秩父→お花畑8:08=8:32三峰口8:50=9:18秩父湖9:40=川又9:58→
岩鏡橋先下降点10:53\\11:30豆焼沢出合下12:00沢小屋沢出合12:30曲沢出合13:00
13:14金山沢出合13:2014:40滝川右岸山道・小屋跡BP(泊)

【7月17日】 雨のちガス
滝川右岸山道・小屋跡BP 5:15(1:3)枝沢7:138:30休8:40\\右手小尾根取付9:40\\
上部トラバース道(川又道)10:20→\\→曲沢源頭11:15\\(2:3)二俣14:3517:00
滝川右岸山道上・小屋(泊)

【7月18日】 曇
滝川右岸山道上・小屋6:458:40曲沢出合9:0010:45吊橋12:00→13:10川又13:30→
不動滝遊歩道入口14:00→14:30秩父湖西大吊橋14:50→15:15二瀬ダム(秩父湖)15:37=
16:10三峰口16:40=17:00西武秩父17:39=池袋
記録  偉大なるバカ山。奥秩父の山々の中にあって、主脈縦走路から外れるが故に、登山者の姿が稀である山がある。西の小川山・東の和名倉山がそうである。わけても、その巨大なる図体で、眠そうにデンと坐っている和名倉山は、ごく一部の篤志家(いや、むしろモノズキと言うべきか)のみが足を踏み入れるに過ぎない。

 雲取山から、雁坂峠から、「気になる存在」としての重みを、増し続けて来た我が愛すべき山。しかし、良いことばかりではない。上部の伐採による藪は猛烈で、山道の荒廃を招いている。そのことが、ますます一般登山者を寄せ付けない山にしている、と言えよう。

 今回の計画は、金山沢〜和名倉山〜曲沢下降〜水晶谷〜雁坂峠の予定であったが、主として曲沢上部のキイチゴの激藪に行く手を阻まれ、和名倉山ピークハントと水晶谷溯行を断念せざるを得なかった。だが、これでより一層、和名倉山を巡る沢と尾根に目が向いてしまう心境へと、追い込まれよう。

【7月16日】 曇のち霧雨
 池袋6:00発で入山、川又に10:00頃到着。今回は、山薊橋先の下降点がよく判らず、次の岩鏡橋先の小尾根の、悪い踏跡を伝って下る。30分ほど苦労して、高滝と豆焼沢出合との中間に降り立つ。(高滝が、コブ付きザイルを頼って、人工:腕力で登らねばならない状況を考えると、これは却って正解だったのかも知れぬ。)

 豆焼沢を見送って、流れを溯る。沢小屋沢、曲沢を見送れば、間もなく金山沢出合に至る。13:20、「ゴルジュ帯を抜けて、幕営適地まで行けるかしらん?」と心配しつつ、金山沢溯行開始。ゴルジュの中の、トヨ状10mくの字滝は、左岸を高巻く。出口付近の、釜を持つ4mCSは、右側をヘツリ、捲き気味に登る。

 これを過ぎると、藪のゴーロがしばらく続く。右岸に細流を見送ると、流木と土砂で出来た堰堤4mがある。これを騙し騙し越えて、2条4mの次の4m滝は、左クラックを登る。4x15m滑のミニゴルジュは、右岸を捲くが、水量がさほど多くなければ、濡れを覚悟で、水流通しを行くのが楽しそうだ。7mスダレ状は右側を捲き、続く5m滝も、右壁を捲き気味に登る。

 しばらく小滑床が連続し、ゴーロ状となって、石滝が続く傾斜のある流れとなる。階段状4mを越すと、山道が横切っている。滝川右岸山道であろう。霧雨が降っていて、沢筋は暗い。あまりにも快適そうなサイトが見付かったために、軟弱すうじいは、14:40、行動打切りを決定する。

【7月17日】 雨のちガス
 昨日は早めに行動を打ち切ったので、今朝は5:15出発。雨が降っているので、沢筋はまだ暗いが、ゴーロ状をビンビン飛ばす。沢が左へ曲がる辺りから、滑が連続する。ナメ状5mCS、5x10m、4m逆くの字下部トヨ。以下、滑滝・滑床は、左に枝沢を分け、流れが右へ大きく曲がってからも続く。

 しばらくすると、右岸に廃屋が見え、薄い踏跡もあるようだ。なおも行くと、(1:3)に分かれ、右へ進む。次の(3:2)の二俣では、左へ入って、しばらく行くと、大滝14mに出くわす。下からは8mくらいにしか見えないが、その上にナメ状が6m程続く。右壁の草付のバンドから取り付いて、草付を騙し騙し登って捲く。

 その次の(2:1)の二俣を左へ進んで行くと、キイチゴ・アザミの藪が酷くなったので、右手の小尾根に逃げ、藪漕ぎ40分で、和名倉山上部のトラバース道(川又道と思われる)に出る。時刻は10:20で、和名倉山頂ピークハントは断念して、曲沢上部へのトラバースを開始する。途中、二ヶ所の尾根を越す度に、伐採跡で踏跡を見失い、苦労する。約1時間の山道歩きで、曲沢上部の水流に到達する。

 いよいよ、曲沢下降開始。下りはちょっとした小滝でも、高度感があって、慎重になってしまう。すぐに流れは伏流となり、筆舌尽くし難いキイチゴの激藪となる。ややあって、水流が復活した後も、キイチゴ藪は両岸から流れを覆い、我々を拒み続ける。

 トヨ6m、トヨ3m、2段5m階段状、この辺りの滝で、O君が滑り落ちる。(2:3)の二俣まで、約3時間の下降。これからは、かなり水量が増える。少し下るとゴーロ状になり、大岩や積み石滝が多くなる。左岸に大岩が現れ、この上に立って見下ろすと、傾斜の強いゴーロが、ずっと続いているのが見える。

 2段4mを過ぎ、左岸に大岩のある7m階段状を下ってなおも行くと、右岸から(1:3)の枝沢が出合う。2段8m滝と6m滝は、左岸の踏跡を利用して捲く。踏跡は、右岸に渡って、沢から離れて行く。沢に戻って、3mトヨを下り、ビバーク地を探すが、適地が無い。

 更に下ると、しっかりした山道が、流れに橋を架けている。金山沢での幕営地の山道へと続いているらしい。右岸に、山道から離れて登る踏跡を辿ると、立派な作業小屋があったので、ここに泊まることにする。17:00着。

 雨がパラついたりしているので、ラッキーであった。この時点で、計画の行動基準「17日夕方までに、槇ノ沢出合まで行けなければ、川又方面へ下山」に引っ掛かってしまったので、諦めてゆっくりする。

【7月18日】 曇
 朝起きてみると、曇ってはいるものの、遠くの尾根もハッキリ見える。6:45出発。この辺から下部は、釣師がよく入っているらしく、「釣師の道」が踏まれている。釣り竿が1本、落ちていた。

 2段5m小ゴルジュ状を下ると、インゼル状になっていて、4m+5mのY字滝。左岸の大岩を、トラバース気味に下る。更に行くと、5m滝、小滝があり、更に下ると、3段10mS字滝となる。上段6mトヨは、左岸(右壁)をクライムダウンし水流を渡って、中段下段各2m一緒に右岸を下る。

 左岸から3段15m滝を懸ける(4:1)の枝沢を合わせ、出合付近のゴルジュ帯となる。2段4+4mは左岸沿いに下り、ゴルジュ帯も左岸の「釣師の道」を利用する。出合の3m滝を下り、8:40川原にて休憩する。

 滝川本流を下降するが、溯行時よりもルート判断が難しく、変な高捲きでちょっと苦労する。高滝は、コブ付きザイルに頼り切って、腕力で下り、吊橋下の川原で大タルミする。

 吊橋を渡って、山薊橋先の例のしっかりした山道で、車道に出る。川又では、10分前にバスが出たばかりで、ガックリして、二瀬ダムまで歩く。日曜日の秩父湖は、驚くほど人が出ていた。

溯行図1(金山沢)

溯行図2(曲沢)

概念図

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