尾ノ内沢井戸沢・西岳新道・尾ノ内沢道下降(両神)

date 2008/5/23 晴のち曇
コース 尾ノ内渓谷駐車場〜井戸沢〜1074P〜西岳新道〜西岳〜竜頭神社奥社〜尾ノ内沢道下降〜尾ノ内渓谷駐車場
実働 西岳まで登り:5h05m、西岳から下り:2h55m、計:8h。
概要 暑い日、革登山靴・撮影道具担いで井戸沢溯行、西岳新道・尾ノ内沢道充実周回。
メンバー すうじい(単独)
使用装備 革登山靴、渓流靴、ヘルメット、三脚、E-1、11-22mmF2.8-3.5、μ725SW
不用装備 アイスハンマー、細引
行程 →:山道、:溯行、\\:藪漕ぎ、車:=。
【5月23日】 晴のち曇
自宅3:40=5:50尾ノ内渓谷駐車場6:15→井戸沢出合6:306:55大滝下7:15\\7:25大滝上7:407:55 750M二俣8:10\\9:10稜線9:25→9:30 1074P 9:35→9:45夢見台9:50→10:30 1266P 10:35→11:45 1489P 11:55→舟ヶババ12:13→12:50西岳13:05→13:20竜頭神社奥社13:35→キンササゲ13:50→14:30ヒンマワシ水場14:40→14:45シメハリ場14:50→\\15:10油滝15:40\\→キギノ沢16:05→スズノ沢16:30→17:00尾ノ内渓谷駐車場17:25=19:40自宅
記録  '02年の4月に、西岳新道・剣ヶ峰・尾ノ内沢道の周回をしたことがある。その時は、尾ノ内から橋詰経由で西岳新道に取り付いた。今回は、井戸沢を溯行し、大滝見物をした上で、西岳新道に取り付こうという計画である。当初は、天理岳まで脚を伸ばす予定であったが、井戸沢溯行と西岳新道登りに体力と時間を消耗し、尾ノ内沢道をエスケープとして使う羽目となった。

【5月23日】 晴のち曇
 例によって、小鹿野バイパスのコンビニで食糧を調達し、竜頭神社下で、R299から尾ノ内沢沿いの林道に入る。中ノ沢方面へと入る林道から分かれた、尾ノ内渓谷入口には、尾ノ内自然ふれあい館なるログハウスが建つ。早朝から、二子山のクライミング集団であろうか、中高年の男女が朝食を摂っている最中であった。

 その奥の、渓谷駐車場に車を停める。少し戻った、ふれあい館駐車場から、いつものように、両神核心部を望む。足周りは渓流靴で、ザイル・ハーネスは省略。だが、アイスハンマー、革登山靴、三脚・デジ一、飲料水2Lも、ズッシリと重い。「台風のため、吊橋から先の遊歩道は通行不能」と掲示してあったが、一般観光客向けであろうと解釈して、先へ進む。

 吊橋では、新緑の中に、一番滝・二番滝が美しい。三脚を立ててスローで撮影したいところだが、先が長いのでコンデジでお茶を濁す。その先の遊歩道では、各徒渉点で水量が多目なので、靴を濡らさずには、渡れないことが多い。15分ほどで、井戸沢出合に至る。

 ここから先は、遊歩道から離れ、沢登りとなる。出合から10分ほど進むと、3m石滝の奥に、5mCS滝が見えてくる。石滝を右から巻いて、5mCS滝の下に立つ。この5mCS滝も、右から簡単に巻く。5mCSを越えると、左手にルンゼを見て、正面にはガレ窪、そして右手から大滝が落下する。見えている下段は、12m程で、水量は少な目のスダレ状滝である。

 三脚を立て撮影後、左手のガレ窪から巻いて行く。落口上にトラバースして、上段3mトヨを俯瞰できる。大滝上には、さらに8m滝が待ち構えている。これも撮影後、今度は右から巻いて越える。

 8m滝を越えると、ゴーロ沢となり、水量が減ってくる。750M二俣では、左俣は明るい涸れゴーロ、右俣は少し暗い感じとなる。右俣から水音が聞こえたため、こちらに入ってしまう。少し行くと水流が復活し、トヨ状小滝連続となる。

 水量と沢床の低さを目安に、どんどん登って行くと、次第に濡れた涸棚状となり、傾斜が強くなる。やがて、不安定なザレ窪となるので、左手の小尾根状へと逃げる。左へ左へとトラバース気味に登って行くと、750M二俣からの中間尾根に乗る。

 中間尾根を頑張って登り、少し傾斜が緩んだ所で、少し左へとトラバース気味に登れば、1035M付近で西岳新道に出る。750M二俣を左に入って、830M二俣を右に、900M二俣を右に入れば、もっと楽に、1040M付近に突き上げたであろう。

 1074Pを経て、左手にロボット雨量計の建物跡を見る。この辺り、尾根が痩せてきて、尾根の北西側を進み、開けた所が夢見台だ。ここも、索道鉄塔跡なのだろう。なだらかな1266Pの奥に、これから辿る1490MPと西岳が聳え、その左手に、竜頭山、東岳、大キギが並んでいる。

 夢見台から一旦鞍部に下って登り返す。尾根上に、索道鉄塔跡があり、正面の岩の右手から再び尾根に乗り、急登が始まる。1220M岩峰の左手を登ると、平坦地形に入る。正面は、1266Pへ続く斜面である。この辺り、踏跡は不明瞭なので、地形図上の現在位置を把握しながら、適当に登る。

 1266Pは、鬱蒼とした林に覆われており、展望は無い。尾根がハッキリしないので、下降時は要注意である。真北へと下降すれば、良いのだが。1490MPへ続く尾根は、南西側へと下っている。少し南西側へ尾根を下ると、木々の合間から、次のピークである1490MPが望まれる。

 1266Pから尾根は南西へと一旦下り、再び高度を上げて行く。次第に、樹林帯の急登となる。時折、針葉樹の生えた岩峰がある。1390M付近で、1490MPの北側大岩壁末端に出くわす。ここから、岩根の右下沿いに、登って行くことになる。

 しばらく登ってから、右手の倒木の詰まった窪状を横切り、顕著な小尾根(1490MP北稜)に取り付く。北稜は、木の根や幹を頼りの急登である。先程横切った浅窪は、上部ではフェース状岩壁となっている。北稜を少し登ると、傾斜の緩い草地状に出る。フェース状岩壁と北側大岩壁は、連続し一体となっているようだ。

 草地状を抜けると、北稜は再び痩せて傾斜が増し、岩場が現れる。大岩の右手の凹角を登る。ホールドは十分にある。振り返ると、眺めが良い。岩場を越えて、樹林帯を急登した1490MPは、針葉樹林のピークであり、何の変哲もない。だが、針葉樹林から垣間見える東岳は、やはり鋭い。

 1490MPでは、樹林に邪魔されていたが、舟ヶババへの下りでは、目の前が開ける。左に大キギ、東岳、金山沢中間尾根ノ頭、そして正面の西岳へは、鬱蒼とした樹林帯を急登せねばならない。舟ヶババへの急な下りの最後は、鎖場となる。鎖で降り立つ場所が、引っ掛かった倒木の上である。バランスで無事コルへ乗る。

 舟ヶババから西岳へは、ひたすらシャクナゲの痩せ尾根の急登が続く。やっと登り着いた西岳では、東岳方面を望みながら、休憩を入れる。

 西岳山頂から、15分ほどで、風穴キレットを越え、竜頭山(竜頭神社奥社)に至る。ここからの尾ノ内沢道が、とんでもない急降下であることを、十分知っているので、荷を降ろし、水分と糖分とをたっぷり補給する。何度かのトライの後、ドコモの携帯メール送信に成功する。

 さて、尾ノ内沢道を下降開始だ。気合を入れて、鎖の連続に取り付こう。第一の下降小尾根は、1530Mの竜頭神社奥社から、金ササゲのトラバース開始点1400M付近まで、高度差約130Mを途切れることなく、鎖が連続しているのだ。滑り止め付作業用手袋が、必携なのである。

 竜頭神社奥社から、第一の下降小尾根の連続鎖にぶら下がって、15分ほどの急降下の後、左手へ金ササゲのトラバースが始まる。この先も、ほぼ鎖が続くが、鎖が無くなっている箇所もある。一番ヤバイ崩壊箇所を、鎖頼りに横切ると、風穴キレットから落ちているルンゼに至る。

 1400M付近で、風穴キレットルンゼを横断し、さらにやや下り気味にトラバースを続けると、1350M付近で、第二下降小尾根に乗る。この小尾根には、鎖は付いておらず、太い針金が所々に見られる。一ヶ所にだけ、アズマシャクナゲが咲いていた。この小尾根は、竜頭山北東稜(第一下降小尾根)ほどの傾斜は無いが、鎖が付いておらず、踏跡も不明瞭な箇所もあり、油断は出来ない。

 1250M付近で、第二下降小尾根から左手の小沢へと下る。この小沢が、ヒンマワシの水場である。脱水気味になっていたので、空になったペットボトルに冷たい水を補給する。ここからは、高度を保ちつつ、さらにトラバースを続ける。ザレ窪を下り気味に横切ると、シメハリ場の岩場が見えてくる。1200M付近であろうか。

 シメハリ場は、尾ノ内沢道の重要な遙拝所である。葉が繁るこの季節では、ちと邪魔されるが、この眺めは、他では拝めないものがある。シメハリ場から油滝までの踏跡は、ガレたジグザグ下りが多く、かなり不明瞭となる。マーキングも多いので、見落とさず下りたい。中間地点に、地獄穴という岩屋がある。

 地獄穴から、再びガレた樹林帯をジグザグに下る。眼下に油滝を見て、ザレ窪を強引に渡り、油滝左岸に下る。注連縄が張ってあるので、これを避けて撮影する。そう言えば、'02-04の西岳新道・両神山・尾ノ内沢道では、油滝撮影中に、銀塩写真のカメラの裏蓋が開いてしまい、フィルムがパーになってしまったことがあったっけ。竜神様の怒りを招かぬうちに、そろそろ引き揚げることにしよう。

 油滝から、尾ノ内沢沿いの道を下降する。数回の徒渉を経て、キギノ滝右岸の鎖場を通過する。いつになく水量の多いキギノ滝2段8mを振り返れば、後ろ髪を引かれる思いであったが、我慢して先を急ぐ。今朝方、溯行した井戸沢出合を過ぎ、吊橋まで戻る。吊橋では、一合滝・二番滝の水量も多いことを確認し、そのまま駐車場へと向かう。17時丁度、車に戻った。

尾ノ内沢遡行概念図

アルバム

尾ノ内自然ふれあい館駐車場から
八丁尾根核心部を見上げる
吊橋を渡る
吊橋から見た尾ノ内沢一番滝(奥)と二番滝
尾ノ内沢井戸沢 石滝3mと奥の5mCS
尾ノ内沢井戸沢 5mCS
尾ノ内沢井戸沢 大滝2段15mの下段12m
大滝は左手のガレ窪を登って巻く
巻き終えると
大滝上段3mトヨが俯瞰できる
尾ノ内沢井戸沢 大滝上の8m滝
西岳新道1035M付近
夢見台から八丁尾根核心部
1220M岩峰付近の平坦地
・1266P付近から1490MP
1490MPの大岩壁は
岩根沿いに右上する。
1490M北稜から大岩壁を俯瞰
1490M北稜上部の岩場
舟ヶババへの下り途中から
東岳・大キギ
竜頭神社奥社
金ササゲトラバース開始点
風穴キレットルンゼ
一ヶ所だけ咲いていた
アズマシャクナゲ
シメハリ場の岩峰
シメハリ場からの大キギ・東岳・竜頭山
尾ノ内沢 油滝
  尾ノ内沢 油滝

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