大洞和名倉沢中・上流部(奥秩父)

date 2004/5/29 曇時々晴
コース 大洞林道分岐〜左岸大高巻き800M山道〜山ノ神〜連瀑帯上入渓点〜大滝〜笹ッ場〜1350Mトラバース道〜機械残骸尾根〜二重山稜〜1100Mトラバース踏跡〜山ノ神尾根〜山ノ神〜左岸大高巻き800M山道〜大洞林道分岐
実働 9h40m(アプローチ:1h15m、溯行:5h25m、下山:3h)
概要 入下山に左岸800M山道を利用、連瀑帯上から入渓、中・上流部日帰り溯行。
メンバー すうじい(単独)
行程 →:山道・踏跡、:溯行、\\:藪漕ぎ・不明瞭な踏跡、=:車
【5月29日】 曇時々晴
さいたま3:00=5:23大洞林道分岐5:45→6:30石津窪6:35→7:05連瀑帯上入渓点7:15
7:35通ラズ入口7:508:00大滝下8:358:50舟小屋窪出合9:109:30 20m滝9:40
11:05 1270M小滝深釜11:2511:40 7x10mトヨ上11:5011:55 12m上トヨ下ハネ階段状
12:0013:25 20m滝13:3013:37滝上13:471670M二俣14:001785M奥二俣14:28
14:40苔涸棚14:45\\14:55笹ッ場15:05→1684M笹藪廊下入口15:35\\16:05水場16:10
→1350Mトラバース道機械残骸尾根下降点16:25→\\二重山稜16:38→山ノ神尾根下降点
16:47\\→山ノ神先分岐17:04→17:08山ノ神17:18→小屋掛17:37→18:20大洞林道分岐
18:45=21:20さいたま
使用装備 渓流シューズ「水無」、ヘルメット、アイスハンマー、ステッキ、E-1、11-22mmF2.8-3.5、三脚
不用装備 テレコンEC-14
記録  昨年8月の大洞和名倉沢の偵察、今年4月の大洞和名倉沢左岸踏跡調査・大滝見物で、和名倉沢中流部へのアプローチ・エスケープ、1350Mトラバース山道からの下降路にメドがついたので、いよいよ日帰りアタックに出掛けた。大滝・舟小屋窪滝の撮影に時間を食ったことと、溯行メモと滝写真、重荷もあって、笹ッ場の登山道に抜けたのは、午後3時前で、山頂往復は断念せざるを得なかった。毎度ながら、mina○さんの記録も、参考にさせて頂いた。

【5月29日】 曇時々晴
 例によって、影森のコンビニで食糧を調達後、雨の降り始めたR140を暗い気持ちで走り、「道の駅」大滝温泉に寄る。トイレ近くにツバメの巣が多く、沢山のツバメが飛び交っている。三峰道路・大洞林道分岐近くまで来ると、和名倉沢下降点付近に、2台の車が停めてある。分岐の広いスペースに駐車して、身支度をする。天気は、回復基調のようだ。

 吊橋から見下ろせば、大洞本流には二瀬ダムのバックウォーターが満ちている。山道を辿って、和名倉沢の木橋を渡り、杉林の中を登って行く。小屋掛の先で、1052独標尾根へ向かうと思われる踏跡を右に見送り、左岸大高巻き800Mトラバース山道に入る。

 石津窪の水量は多いようだが、横断地点では、やはり伏流している。連瀑帯近くまで来ると、踏跡は崩壊している場所が多くなる。連瀑帯上で沢に降り、溯行準備する。数回の徒渉を交え、20分ほどで、通ラズ入口に至る。滝を目の前にすると、やはり三脚を立ててしまった。

 右岸の巻道を辿り、大滝前衛2段6m滝下に立つ。ここでも三脚を立てる。前衛滝の右壁を登って、大滝の前に立てば、やはりその見事さに、あちこちに三脚を立てる。左岸のルンゼを登り、目印のある所から、左手に取り付いて少し登ると、比較的安全なバンドに乗れ、左へとトラバース気味に登って行く。

 小尾根に乗ってから、これを少し登ると、古い踏跡に出るので、これを左に辿って、舟小屋窪出合上流で、沢に降りる。舟小屋窪の出合滝を見に行けば、やはり三脚を立ててしまう。右岸側の岩壁下斜面にも登って、ハネている所を撮影する。結局、舟小屋窪出合を発ったのは、9時過ぎとなってしまった。

 右岸に例の幕営適地を見て、しばらく平凡な流れを進めば、小滝を幾つか連続する。これを過ぎると、流れは左に屈曲し、薄暗い中に、20m滝が落ちている。ここでも、三脚を立て、アニメ用の連写をする。少し戻り気味に、右岸の良く踏まれた踏跡を辿って高巻くと、続く4x6mトヨナメの上に降り立つ。

 しばらく滑床が続き、インゼル状になっている場所もある。滑滝の続くミニゴルジュは、左側を進む。小滑滝を幾つか越して、左岸から枝沢が滑滝を懸けると、2段7m滝で、左から巻く。続く2段4mは、右から越える。左岸側からガレが数ヶ所押し出し、4m滑滝は釜が深いので、最後のガレの右手を登って、バンドをトラバースし、高巻く。ちょっとイヤらしい。

 この先は、滑床が続く。再び左岸からガレが押し出し、4m滝は釜の左をヘツる。小滝連続を越えると、正面から枝沢を迎え、本流は左へ折れ、小滑滝となっている。3mくの字トヨを右壁から越えると、小ナメ、4m上ナメ滝、少し左へ折れて、4x7mトヨナメ、小滑滝、4x7m滑滝と続く。小滑滝、4mV字滝、2段4m幅広を越えると、左岸から枝沢が出合う。

 この先が、問題のゴルジュである。入口の深い釜を持つ小滝は、左壁から越えて、ゴルジュに入る。続くトヨナメは、右岸をヘツって進む。出口の7x10mトヨは、ツルツルの側壁に挟まれた、深いトヨ釜を持ち、左壁にハーケン2枚が打ち込まれ、怪しいシュリンゲが懸かっている。うーむ、巻くとなると、時間が掛かりそうだ。

 時間が押しているので、カメラやベストをザックに仕舞い、ザックカバーを被せる。意を決して、シュリンゲにぶら下がり、流れを跨いで、右壁のスタンスに右足を乗せる。水流の中に、左足のスタンスを探り、冷たい水流をモロに浴びながら、ジリッ、ジリッとズリ上がる。1,2m登れば、あとは楽で、無事難所を抜けることが出来た。思い返せば、このゴルジュの写真を撮るのを、すっかり忘れていた。残念。

 緊張と寒さで、しばらく震えが止まらない。ザックを下ろして、休憩しよう。川原状を少し行くと、12m滝上トヨ下ハネ階段状が現れる。右岸から巻いて、ガレルンゼを登り、越える。正面から(1:3)の1320M右岸枝沢が、小滝を懸けて出合い、流れは右に屈曲する。

 4m倒木滝を右から越え、左岸にガレルンゼを見て、6m滑滝を二つ左壁から越える。その先で、右岸から(1:2)の水量比で、15m階段滝を懸ける1380M枝沢が出合う。4m滝を過ぎ、ミニゴルジュの右岸沿いに進むと、S字トヨナメ滝を越える。4mトヨナメを過ぎると、沢は緩やかに左へと曲がる。

 ゴーロ状を進むと、4m末広滝があり、さらにゴーロが続く。左岸からザレ押し出し、4m滝、再び左岸から、1470M枝沢と思われるガレが押し出す。しばらくゴーロは続くが、やがて飽きる頃、二段に見える顕著な滝に出くわす。6m滝の左壁に取り付き、落口へと斜上して越え、続く12m滝は、右手のガリー状から巻く。

 左岸から1565M枝沢が出合い、最後の大物、2段20m滝が行く手を阻む。左岸枝沢を少し登って、高巻く。さすがに疲れたので、荷物を降ろして小休する。この後は、難しいところは無い。6m階段スダレ、5m滝を越え、右岸から(1:5)の水量比で、7m滝を懸ける1630M枝沢が出合う。2段6m滑滝、苔滝階段状を越えると、1670M二俣となる。

 右俣へ入り、10分ほどで、(3:1)の1730M左岸枝沢が出合う。次第に傾斜がきつくなるゴーロを登って行くと、右岸から顕著なガレが押し出し、やがて(2:1)の1810M奥二俣となる。地形図からは、右沢に入れば笹ッ場近くの1960Mコルに出ることが出来そうだが、岩溝を流下する急な滑という感じで、行き詰まりそうな予感がして敬遠する。

 左沢に入って、急なゴーロをさらに登る。10分ほどで、苔生した涸棚に至る。高度計では、1855M付近であろうか。ここで水を補給し、右手の斜面に取り付いて、北側へトラバース気味に登って行き、先程の右沢源流と思しき広い窪状に入って登って行くと、やがて笹ッ場の真下に出た。

 笹ッ場の登山道に出て、ザックを下ろす。先ずは一安心、と言いたいところだが、ここからの下山には、まだ3時間は掛かる。午後3時少し前なので、山頂往復は断念せざるを得ない。ソールをフェルトからラバーに貼り替え、パンをかじって、水を飲む。10分の休憩で、重い腰を上げる。

 さて、トラバースから尾根沿いに下降し、1684Mから20分間の笹藪廊下に突入し、作業小屋跡裏の水場まで、丁度1時間で小休する。この辺りは、携帯メールが十分届く。作業小屋跡から、1350Mトラバース道に入り、15分ほどで、前回の偵察で目印を付けた、「機械残骸尾根」下降点に至る。

 ここからトラバース道を離れ、笹藪の中の踏跡を下るうち、次第に笹が薄くなり、やがて機械の残骸が転がる場所に出る。この先は、踏跡不明になるが、前回同様、尾根に忠実に下って行く。1125M付近で、「二重山稜」に至り、横断する踏跡が現れる。これを北へ辿って、1100Mトラバース踏跡に入る。

 10分ほどのトラバースで、1075M付近の「山ノ神尾根」に乗り、広い尾根の中を下って行く。950M付近で、踏跡は尾根から右へ離れてゆく。標高差100M程下降して、左岸大高巻き800M山道に合流する。5分ほどで、山ノ神に至る。ここまで、笹ッ場から実働2時間だ。午後5時を過ぎてしまったが、さすがに、脚がガクガクなので、ちょっと休憩。ここでも携帯メールは、十分に届く。

 あとは、通い慣れた左岸大高巻き800M山道を、辿るだけである。小屋掛から、下りがまた始まる。大洞本流の吊橋を渡ってから、車道までの登り返しのキツかったこと。大汗をかいて、車に戻る。土曜日の割には、渋滞に巻き込まれることなく、帰宅出来た。

概念図

溯行図

アルバム

滝見亭・南関東の滝」に滝写真集「大洞和名倉沢'04-05」があります

通ラズ入口7m滑滝
前衛滝下から大滝
正面から大滝
左岸斜面より大滝
舟小屋窪の滝
中流の20m滝
2段7m滝
2段4m幅広滝
12m滝上トヨ下階段
4m末広滝
6m滝
6m滝上の12m滝
上流の2段20m滝
最後の苔涸棚下から
右へトラバース気味に登ると
狙い通り笹ッ場の真下に出た

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