クワウンナイ川・トムラウシ山・石狩岳(大雪)

MR243 クワウンナイ川・トムラウシ山・石狩岳(大雪)

date 1985/08/23-26 
コース 天人峡〜クワウンナイ川〜ヒサゴ沼避難小屋〜トムラウシ山〜ヒサゴ沼避難小屋〜化雲岳〜沼ノ原〜石狩岳〜十石峠〜十勝三股
実働 第一日:4h45m、第二日:6h30m、第三日:7h55m、第四日:8h33m、計:27h38m。
メンバー すうじい(単独)
概要 滝ノ瀬十三丁楽しい、トムラウシ最高、沼ノ原からJPへの藪漕ぎ。
行程 =:バス・鉄道、→:山道、:溯行、\\:藪漕ぎまたは詰め
【8月23日】 曇のち晴
旭川8:45=10:05天人峡10:10→15:55 920M付近BP(泊)

【8月24日】 晴のちガス
920M付近BP 7:5010:25魚止滝11:0012:00 10mOH滝手前12:151360M二俣12:40→13:30テントサイト跡13:40→14:25縦走路14:30→15:25ヒサゴ沼避難小屋(泊)

【8月25日】 晴のち曇
ヒサゴ沼避難小屋5:15→6:50トムラウシ山7:05→8:20ヒサゴ沼避難小屋9:15→<10分休>→10:50五色岳11:00→<10分休>→<10分休>→13:10沼ノ原13:30→<10分休>→15:30 1289コルBP(泊)

【8月26日】 雨
1289コルBP 6:20→8:00ジャンクションピーク8:15→石狩岳9:25→9:45シュナイダー分岐9:55→音更岳10:40→11:30ブヨ沢のテン場11:40→十石峠12:15→13:30林道13:40→15:22十勝三股15:27=幌加温泉入口15:34→15:50幌加温泉(泊)
記録  日高・利尻をFs君と共に連戦した私は、かなり疲労が溜まっていた。江別の親戚の家に暫く逗留し、体力の回復を待ってから、憧れの「クワウンナイ川〜トムラウシ山」へと向かった。

 クワウンナイ川には、まだまだオショロコマが多く、滝の瀬十三丁と合わせ、沢登りの楽しさに事欠かない。トムラウシ山、沼の原、それぞれに素晴らしい所だ。雨の東大雪縦走のあと、ひなぴた幌加温泉に泊ったのは、大正解だった。ニペソツに登れなかったのは、少し惜しい気もするが、また何時かのんびり訪れたいと思う。

【8月23日】 曇のち晴
 旭川で駅寝して、天人峡行きのバスに乗る。ポンクワウンナイ川へ続く林道を辿り、ポンクワウンナイ川出合から川に降りる。クワウンナイ川は大体が川原歩きだし、少し深そうな所では巻道がある。しかし長い。単調な川原歩きに、うんぎりする。

 それでも、80OM付近からは、やや両岸が迫り、木蔭が沢を覆って、岩魚の居そうな渓相となる。蝶や蛾を餌にして、18cm・23cmの2尾をキープ。15cm以下の放流サイズばかり掛かるので困る。化雲ノ沢出合手前の920M付近をサイトにする。サイトの前で28cmを釣り上げる。焚火じゃ、飯じゃ、岩魚汁、塩焼き食って、さあ寝るべ。天の川が美しい。

【8月24日】 晴のちガス
 この川も、オショロコマは小物ばかり多くて、キープ用のを釣るのに骨が折れるが、朝出発前に18cm、途中で20cmを上げる。早速この2尾は塩漬けにする。オショロコマの宝庫と言われる化雲ノ沢の出合を、後ろ髪を引かれる思いで見送って、先を急ぐ。初めて出会う滝らしい滝:魚止10mスダレ状の大釜で竿を出すが、だれもが同じことを考えるらしく、釣れるのは10cmにも満たないチビばかり。諦めて納竿し、左岸の巻道を辿る。

 10mスダレ状の滑滝をもう一つ越すと、うわっ、これが噂の滝の瀬十三丁か。川幅いっぱいのナメを滑り降りてくる流れ。溯るにつれて両岸から広がってきた藻が、いつの間にか滑床を覆い尽して流れに揺れている。蜿蜒続く滑床は、微妙に緩急深浅を交え、ひとり私は、流れの中にルートを探す。

 滝ノ瀬十三丁半ば、(5:1)の水量比で、左岸から15mスラブ滝が落ち合う。その奥には、5mスラブ滝ともう一つの滝が見えている。まだまだ滑床は続く。小一時間のヒタヒタ歩きで、出口の15x30m巾広2条を越える。

 10mオーバーハング滝を右岸から巻けば、間も無く、(3:1)の二俣に至る。右俣は5mオーバーハング滝で落合い、その上に何段かの滝がゴルジュを成している。左俣は10mスダレ滝、20m滝と続けて懸ける。中間尾根に巻道を辿る。このあと流れは緩くなり、屈曲を見せるが、やがて滑滝連続となって高度を上げ、水量も減る。

 草の禿げたサイト跡まで来ると、雲行きが怪しくなり、ガスと風がひどくなる。ここから稜線までは、まだまだ長い。踏跡を辿ってカール状地を抜け、濃霧の中で途切れがちな踏跡を拾って、やっとのことで縦走路に飛び出す。 ひとまず岩蔭に身を寄せて、行動食を頬張る。天候悪化の予感に、トムラウシをパスして、一路ヒサゴ沼の避難小屋を目指す。

 小屋は既に混んでいたが、二階の入口に陣取る。気象通報の終る頃から、横殴りの雨が降り出した。トムラウシのパスは正解だったわけだ。塩漬けの岩魚を1尾塩抜きして、岩魚汁にする。

【8月25日】 晴のち曇
 早朝、晴れたので、空身でトムラウシ山のサブに出掛ける。天沼の北の台地の、横光線に輝く岩塔群は、なかなか見事だ。北沼のあたりから振り返れば、大雪山の峰々が招く。トムラウシの項に、ひとり立つ。四年ぶりのトムラウシは、またも好天に恵まれた。花の時期には少し遅いが、やはりトムラウシは最高だよ。往路を引返す。

 小屋で荷を背負い、化雲のヘソを巻いて化雲平へ向かう。トムラウシ山の城塞のような姿が美しい。五色岳への道は、背を越す這松帯で、うっとうしいブヨの煙に巻かれる。五色ヶ原の広々としたお花畑の中を、唄いながら下ってゆく。五色の水場を過ぎ、暫く行くと急に開けて、沼の原の木道に出る。

 美しい、静かな所である。あちこちにちりばめられた池塘群は、あるものは紅葉を浮かべ、あるものは水鳥が漂い、またあるものは東大雪の影を映す。これらの鏡をひとつひとつ覗き込みながら、真新しい木道を大沼へと進む。 大沼は干上がりかけていて、良いテント場になっている。何とか今日中に、東大雪の取付き:・1289コルまで行っておかねば、明日が辛くなる。それで、この美味しそうなサイトを後にする。

 石狩川方面へ下る明瞭な道を見送ると、縦走路は急にヤブっぽくなる。ヌプントムラウシ温泉へ分岐するコースは、ルートファインディングが相当難しそうだ。縦走路も、・1309コルの手前から、猛烈なネマガリ竹のヤブコギとなる。途中、単独の兄ちゃんと擦れ違う。・1289コルの手前で一度、踏跡を見失って狼狽する。何とか踏跡に戻り着いて、事無きを得るが、危ない危ない。

 ・1289コルには2ヶ所ほどサイトがあり、水場もヌプントムラウシ側に下り5分だ。先人の残した薪で、虫除け・熊除けの焚火をする。今夜は、最後の1尾で、塩抜き不足の岩魚汁だ。ラジオをつけっ放しで横になる。

【8月26日】 雨
 夜半に降り出した雨は、止みそうもない。今日は最終日じやないか、と自分に言い聞かせて撤収する。滴をたっぷり含んだ笹を漕いで、直ぐにズブ濡れになる。寒いので一気にJ.P.まで登ってしまう。雨が一時止み、ニペソツの印象的な姿が望まれた。石狩岳に向かう途中、再び雨風が始まる。

 シュナイダ一分岐で小休し、視界の悪い中、音更岳を越える。音更岳山頂付近は極めて迷いやすいので、ガスの時など要注意。幸い的確なルーファイで下降路を見つけ、ブヨ沢のテント場へと急ぐ。十石峠近くの縦走路は、這松がしっかり枝を張って、向うずねをいやと言うほど苛められた。

 峠から十勝三股側へ、大急ぎで下る。音更川沿いの林道に出てからが、また長い。終バスぎりぎりに、十勝三股に至る。 幌加温泉入口で下車して、国民宿舎ホロカ温泉に泊る。ひなびた温泉宿だ。冷え切った身体を湯に沈めて、この夏最後の充実した山旅を、振り返ってみるとしよう。

アルバム(ブログにLINK)
その1:クワウンナイ川〜ヒサゴ沼
その2:ヒサゴ沼からトムラウシ山往復
その3:五色ヶ原〜沼ノ原〜石狩岳

MR241_ コイボクシュシビチャリ川・カムイエクウチカウシ山・札内川9の沢下降(日高)'85-08

MR242_ 利尻山(利尻)'85-08

渓流の部屋
の表紙へ
本館トップページへ