八幡平・秋田駒ヶ岳スキー縦走(奥羽山脈)

date 1985/3/21-25 
コース 八幡平スキー場(御在所温泉)〜茶臼岳〜八幡平〜大深岳〜曲崎山〜大白森〜乳頭山〜湯森山〜八合目小屋〜秋田駒(女目岳)〜八合目小屋〜田沢湖高原スキー場
実働 hm、hm、hm、hm、hm、計hm
メンバー すうじい、Fs君
概要 快晴の大縦走、岩手山・秋田駒の遠望が印象的。
行程 →:ツボ足、:シール、**:アイゼン、:スキー、=:乗物

【3月21日】 曇
大更=8:50八幡平観光ホテル=大黒森10:0010:05 1415コル10:15茶臼山荘11:0511:15茶臼岳11:25茶臼山荘11:3011:40黒谷地11:5512:25 1550M 12:3513:15陵雲荘13:2013:30八幡平山頂13:4513:50陵雲荘(泊)

【3月22日】 快晴
陵雲荘6:00畚岳肩7:057:15畚岳7:207:25畚岳肩7:307:45 ・1452先コル7:558:25諸桧岳8:358:45 1435コル 8:509:10 ・1481P 9:259:40 1350コル 9:5510:40 ・1418先P 10:50大深山荘11:1011:15 1450M 11:2011:45大深岳11:5512:40 1360コル13:0013:10 ・1384P 13:2013:50 ・1233P 14:0514:50関東森直下の谷15:05・1168P 15:30八瀬森中腹(泊)

【3月23日】 快晴
八瀬森中腹6:557:15八瀬森7:257:55 ・1114コル8:108:30 1220M 8:409:05 1280M 9:209:35曲崎山9:5510:25 1080コル10:5511:20大沢森11:3512:05 950コル12:30大白森山荘12:5514:00大白森14:1514:25 1090コル:(泊)

【3月24日】 快晴
1090コル6:106:35小白森山南峰6:456:55 1040コル7:058:05蟹湯分岐8:159:10 1200湿原(田代平西端)9:40田代平山荘10:1511:00乳頭山11:2011:40 1355池コル11:5012:45 1480P 12:5513:15笊森山13:5014:05 1380コル14:1015:05湯森山15:2515:45 ・1360コル15:5016:30八合目小屋(泊)

【3月25日】 晴
八合目小屋6:407:25 1490M 7:35→7:40女目岳東のコル8:05→8:25女目岳8:509:30八合目小屋10:3010:50田沢湖高原スキー場リフト終点11:0511:25田沢湖高原15:30=16:15田沢湖駅=盛岡
記録  奥羽山脈北部の秋田・岩手県境に連なる、八幡平〜大深岳から秋田駒の山域は、大深岳〜岩手山の裏岩手連峰の山々を併せて、「山スキーの黄金三角」を形成している。

 大黒森〜大深岳は針葉樹アオモリトドマツのべちゃんこアスピーデ、八瀬森から小白森山はブナの森続く山深い玄人向きの縦走、乳頭山から秋田駒は立木も少ないアルパインスキーのゲレンデと、変化もある連日晴天のスキー大縦走を楽しんだ。

 東北の山の中でも私好みの岩手山は、山行中ずっと我々を見守って立派な姿を見せてくれていた。だが、その岩手山以上に魅力的だったのが秋田駒だ。八瀬森付近から眺めると、ややペチャパイながらその女性的なラインが私を引き付ける乳頭山を従えて、純白の秋田駒の峰々が我々を招く。

 容易には山頂を踏ませようとしなかった個性的な曲崎山、あまりに広い平頂の大雪原の大白森など、我々の心に深く刻まれた山々も多い。田沢湖高原の駒草荘の大浴場から駒ヶ岳を見上げながら、またいつか、秋田駒で春スキーと温泉を楽しめたらいいな、と思うのであった。

【3月21日】 曇
 急行八甲田を盛岡で下車し、花輪線の始発を待つ。大更でバスに乗るが、これが満員で、トランクにスキーとザックを積み込み、バスの出発を遅らせる。動き出したリフトを2本乗り継いで、大黒森に立つ。あいにく、岩手山は頭を雲に隠しているが、視界は良好だ。

 1415コルまで滑降し、シールを貼る。大黒森のリフト終点から茶臼山荘までは、八幡平スキー場の雪上車がコースを整備しているらしく、ゲレンデ化されている。

 恵比須森を越え、茶臼山荘に荷をデポして、茶臼岳に登る。山頂でシールを外し、慎重に滑降後、山荘で荷を背負って、黒谷地への長い滑走に入る。ここは、直滑降の世界だ。

 シールを貼って源太森を目指すうち、夜行の疲れが出て来て、1550M付近の尾根上でタルむ。相変わらず、岩手山の頭が姿を見せないのが惜しまれる。源太森の脇を通り、緩やかに八幡沼の畔の大雪原へと下って行けば、陵雲荘に辿り着く。

 付近には、何人かスキーをしている姿がある。長閑だ。3年前の風雪の八幡平の記憶が、ふと脳裡を掠める。とりあえずザックを置いて、八幡平山頂に行ってみよう。

 南の空には雲が垂れ、時折その切れ間より射す陽光が、畚岳の白いオブジェを妖しく照らす光景は、何かこの世のものとも思われぬ。どこが山頂だか良く判らない、八幡平の三角点付近に至る。

 西の方、焼山の奥には、秋田の誇る名山、森吉山が、その秀麗なる姿を見せる。その右手には、憧れの白神山地らしきものも見える。さて、シールを外してルンルンスキー、快適な滑りで陵雲荘へ。その後、明日のルート偵察を兼ねて、見返峠まで出掛ける。

 陵雲荘では、合宿最終日らしいDAWV(防衛大)ほかのパーティと、一緒の夜を過ごす。

【3月22日】 快晴
 快晴だ。朝のクラスト雪のトラバースはやや難色だが、1Pのシール行で、畚岳肩に至る。荷をデポして、畚岳サブ。ちょっとイヤラシイので、Fsは途中でシーデポ。すうじいは、最後は階段登高にて乗り切る。下りも緊張する。

 荷を背負い、諸桧岳とのコルまで滑降する。アオモリトドマツの間を縫って登れば、やがて諸桧岳の平頂の一角に出、さらに進んで、独標付近にてシールを外す。

 広大な大深岳が、全山に針葉樹を帯びて横たわり、足元の尾根は、幾つかの起伏を連ねて、それに続いている。樹林の間のルートファインディングに気を配りつつ、1435コルまで下り、・1481Pまで登り返しだ。

 ここから東側が切れて、雪庇に注意せねばならない。嶮岨森手前の1350コルへの滑降は、急だし、東の雪庇から飛び出しそうだし、大深岳方面からの登山者というギャラリーもいるしで、ちょっと緊張する。

 コルから先は、大深岳までずっとシールで行く。嶮岨森は、西面をトラバース気味に越える。頭を出したハイマツを踏んづけたりしながら、クリアする。・1418の先の東へ出張ったピョコタンでタルミ。

 大深山荘を横目で見て、「今日は何とか八瀬森まで」と念じながら、風の無い樹林帯を登って行く。風の強い大深岳頂上から、岩手山を間近に望む。葛根田川を挟んで、女性的な乳頭山、その奥に、ああ、あれが秋田駒か。

 シールを外し、小畚山〜三ツ石山と続く裏岩手連峰を左手に見送って、1360コルまで、一気に滑降しよう。途中、・1420付近の湿原マークは、幕営に適した気分の良い所だ。コルから・1384へは、僅かではあるが、シールで登る。

 RSSAのガイドブックによれば、・1684から真西の尾根を下れとあるが、我々は・1283経由で下ることにする。アオモリトドマツの合間を縫って、緩く広い尾根を滑降して行くと、・1283の雪原に出る。

 正面には、思わず寄り道したくなるような、1270の大白森が横たわり、その奥に優しい乳頭山が招く。ここで右に折れて、だだっ広い疎林の斜面を、ルートファインディングに気を配りつつ、・1233を目指す。

 尾根がハッキリ細くなってくる頃、疲れが出てくる。関東森は右手の沢へトラバースして一旦下り、ショートカットする。沢底でシールを着け、・1168を越えて、湿原マークに出るが、八瀬森山荘は倒壊したらしく、発見できない。八瀬森の中腹でツェルトを張り、長かった今日の行動を打切る。

【3月23日】 快晴
 昨日の長丁場の疲れから、少々寝坊してしまう。樹々の合間から見える秋田駒を振り返りながら、八瀬森山頂に至る。シールを外し、なるべく遠くまで滑降しようと、トラバースを交えながら、・1114コルまで下る。

 この辺りで植生は、アオモリトドマツ中心から、ブナ中心へと、大きく変化する。ブナ林を登って行くと、無立木の急な尾根になり、南側も北側も雪壁となっている。1220M付近で休憩して気合を入れ、南側の雪壁を斜登高するが、滑落の恐怖が付き纏う。途中、Fsは板を外して担ぎ、すうじいは踵を固定して乗り切る。

 傾斜の緩くなる1280M付近で、再び休憩する。あとは僅かな登りで、曲崎山山頂だ。ここは、良い展望台だ。曲崎山からの下りは、急な大斜面がある。平均28度だが、上から見ると、絶壁みたいに思われる。所々にある立木のそばで、キックターンをしつつ斜滑降で下っていたが、やがて大胆に下れるようになる。

 1080Mコルまで来れば、今日の難所はクリアしたとばかり、大休止する。暑くなって来た。大沢森まで登り返し、南へ下る。効率良くトラバースをして、・999を右に、960Pを左に見て、950コルに至る。大白森の登りにかかる。途中、大白森山荘があり、しっかりした造りだ。やがて、広々した雪原に飛び出す。

 大白森の山頂湿原は、緩やかに北へ傾き、雪面はウインドクラストして、あたかもスケートリンクみたいだ。それにしても広い。なかなか最高点に到達しないが、左手に並ぶ裏岩手連峰〜岩手山、乳頭山〜秋田駒の美しい山並みを楽しみながら進もう。

 平頂の南端にて、シールを外し、1090コルまで、滑降する。ザラメで快適だ。カモシカの足跡も、見られる。まだ日は高く、すうじいは小白森山も越えるつもりであったが、Fsの主張により、ここを今宵の泊りとする。

【3月24日】 快晴
 小白森山の独標のある北峰を過ぎ、南峰にてシールを外す。続く2つのピークを左右に見つつ、トラバースして1040コルまで滑降する。少し行くと、ブナの木にペンキが塗ってある。どうやら、林道予定線らしい。自枯れたブナの幹に、猿の腰掛を発見した。

 幾つかの小ピークを登降して、蟹湯分岐まで来ると、トレースがある。これで、渋い秘境の縦走は終わり、ポピュラーな山域に入ったのだ。しばらく緩い登りが続いた後、急斜面が立ちはだかる。左の方へと、斜登高するのだが、靴擦れをおこしたFsは苦しんでいる。高度差60Mほどの急登をクリアし、1200M付近の湿原マークへと出る。

 ここは、田代平の北西端だ。大汗をかいたので、大休止する。今日も暑くなって来た。次のピッチは、田代平山荘を横目に、乳頭山までロングピッチだ。これはキツかった。岩と氷雪の乳頭山頂まで、シールで強引に登る。南東側は絶壁だ。遠方より見たイメージとは、随分違うものだ。さすがに日曜日だけあって、結構人と遭う。

 下りは、一旦北面を滑降してから、東側の雪庇に注意しつつ、下降点を捜す。雪庇の下は、快適なザラメ滑降が楽しめる。1355池のコルで、シールを貼る。笊森山への約200Mの登高も苦しい。途中、1480Pでピッチを切る。ザラメ雪面のフィルム氷を、口に入れる。笊森山頂上直下は、滑落の恐怖も少しあるが、シュカブラを利用して乗り切った。

 山頂で、大休止する。来し方の八幡平、裏岩手〜岩手山、曲崎山・大白森を振り返り、随分来たものだと思う。春スキーヤーのパーティに「どちらから?」と尋ねられ、「八幡平から」と答えると、驚かれてしまう。

 曲がり難いモナカ雪を、1380Mコルまで頑張って滑る。途中、幾度転倒したことか。湯森山まで登れば、風が冷たい。目指す八合目小屋が、ハッキリ見えるので気楽だ。笹森山の東側には、大雪庇が張り出している。

 1360コルへと、クラストしたシュカブラモナカ雪に難渋しつつ下り、そこから八合目小屋目指して、消耗なトラバースに入る。凍り付いた小屋の窓を、苦労して刷毛て、無事中へ入ることが出来た。

【3月25日】 晴
 最終日の天気も、何とか持ちそうだ。だが、明らかに下り坂なので、早いとこ秋田駒をサブしてしまおう。冬ルートは、小屋のある尾根を忠実に詰めているらしい。我々も、このルートを採用する。もっとも、春のルートは、左手の沢に途中から入っているようだ。帰りには、こちらの沢ルートを採ることにしよう。

 1490Mで尾根の雪が消え、ツボ足で1520Pを越えて、女目岳(男女岳)東のコル・湿原マークの北端に至る。ここで気合を入れて、女目岳東面をツボ足で登る。平均28度の斜面だ。ついに、秋田駒の最高峰:女目岳頂上に到達する。

 東面の滑降は、左手の谷に落ちそうで恐ろしい。まだ雪が十分には軟化しておらず、快適とは言い難い。上部では斜滑降・キックターン、中ほどからはパラレルで、湿原マークに滑り降りる。1520Pの南側から、赤倉沢右俣源頭へ快適に滑り込む。振子状の沢は、実に気分良い。1430付近から、左岸の小屋の尾根に乗る。

 八合目小屋に戻り、パッキングをする。小屋の西側にある女目岳から続く急な雪壁に、何本もの美しいシュプールが描かれているのには舌を巻く。世の中には、エキスパートがいるものだ。さて、林道沿いに、田沢湖高原スキー場へと滑降しよう。これは、予想外に快適な下りだった。

 20分ほどで、リフト終点に至る。950M付近だろうか。小休止後、ピステを滑降する。山の中と比べれば、嘘のように楽にターン出来る。Fsは、大いに自信を付けたようだ。バス停の前に下り着く。

 国民宿舎駒草荘の温泉で、汗を洗い落とそう。大浴場の窓からは、立派な秋田駒の男岳と女目岳が望まれるのであった。秋田駒もまた、アルパイン春スキーの好ゲレンデだ。温泉と併せて、またいつの日か訪れたいものだ。

 田沢湖駅を経て、盛岡に出た我々は、復路も急行八甲田で帰京した。

概念図

スキー高低図

スキールート図


御在所温泉〜大黒森〜茶臼岳〜八幡平〜畚岳〜諸桧岳


諸桧岳〜嶮岨森〜大深岳〜八瀬森


八瀬森〜曲崎山〜大白森〜田代平


田代平〜乳頭山〜秋田駒〜田沢湖高原

アルバム

朝日を浴びる畚岳かな
畚岳山頂か
畚岳山頂を振り返る
岩手山
裏岩手連峰
秋田駒ヶ岳方面
曲崎山東の急登から、岩手山方面を振り返る
大白森の平頂から
女目岳山頂にて
女目岳山頂から
女目岳から阿弥陀池小屋・横岳方面
女目岳から男岳
八合目小屋目指して滑降する
田沢湖高原スキー場から秋田駒

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