奥白根山スキー登山(日光)

date 1983/2/5-6 
コース 湯元〜湯場見平〜中ツ曽根〜五色山〜五色沼〜白根避難小屋〜奥白根山〜2385P〜前白根山〜天狗平〜白根沢滑降〜湯元スキー場〜湯元
実働 第1日:5h10m、第2日:6h15m、計:11h25m。
メンバー Yk君、すうじい
概要 山頂〜東南東平坦コルへの深雪滑降、天狗平から白根沢急滑降。
行程 →:ツボ足、:シール、:滑降、**:アイゼン、=:交通機関

【2月4日】
浅草19:18=22:09東武日光駅→国鉄日光駅(駅寝)

【2月5日】 快晴のち晴
東武日光6:20=7:30湯元7:45→8:10中ツ曽根取付8:20→9:20湯場見平9:5011:00小休11:1012:30小休12:5013:10五色山13:2514:00五色沼南岸14:1014:30白根避難小屋(泊)

【2月6日】 ガスのち雪のち晴
白根避難小屋6:408:40夏道露出8:55**祠9:20**奥白根山9:25**9:30祠9:45**9:55スキー装着10:1010:35コル状雪原10:5011:25 2325P 11:3512:00前白根手前コル12:10→12:25前白根の下り12:30天狗平12:50白根沢に入る12:5513:35小休13:45湯元スキー場上部14:1514:30湯元(温泉入浴)16:45=17:45東武日光17:50=19:44北千住
装備 革登山靴、山スキー、シール、ストック、ピッケル、アイゼン、ヤッケ上下、オーバーミトン、ツェルト幕営用具一式
記録  今シーズン3本目のスキー山行は、2月の日光白根となった。パートナーのYk君とは、3本連続のコンビだし、今回の山行コースは、昨年11月にバッチリ偵察してあるので、やる気に燃えて出掛けた。尤も、地形図による計算から、滑降予定の白根沢が、平均斜度(標高差200m当たり)が最高38度であると判っていたので、偵察時には下降しておいたとは言え、雪のある状態がどんなであるか、一抹の不安が無かったわけではない。手軽な冬山と言われる日光白根を、スキーで登ったらどうなのか・・・僕らの場合は、こうだっ!

【2月4日】
 金曜夕方の北千住からでは、通勤ラッシュが大変なので、始発の浅草まで行く。快速の日光行ではなくて、準急新栃木行で乗り継ぐ。何とか座ることが出来て、助かった。東武日光駅を閉め出され、国鉄日光駅の団体待合所で寝る。屋根と二方の壁はあるものの、原則的に外気に曝されているわけで、寒さはグングンと迫って来る。冬季用シュラフで眠れぬほど、冷え込む。

【2月5日】 快晴のち晴
 湯元行の始発バスに乗り込んだのは、我々の他に、二人組の山屋、やはり中ツ曽根から奥白根だそうな。彼らは、大きな荷物だ。

 湯元からは、偵察コースに従って、スキー場を通らずに中ツ曽根に取り付く。取付から湯場見平までの急登が、スキーを担いでのラッセルで苦しい。湯場見平まで来れば、シールの世界だ。尾根が細くなる所や、2050〜2100付近の登りは、シールではかなり苦しい。尾根が細く、樹林が濃いと、まさに腕力登高だ。

 国境分岐付近まで来ると、頗る展望が良い。ここからしばらく国境稜線沿いにラッセルし、2303Pの北面をトラバースして、夏道に合流し、次のピークからは、ほぼ稜線通しで、五色山へ至る。奥白根が立派である。

 シールを外して、尾根上を少し西へ下り、そこから五色沼へ急な沢状を南下する。初めは広い斜面を斜滑降・キックターン・ジャンプターンで下っていたが、やがて勘を取り戻して来る頃に、濃いブッシュ帯に入る。藪漕ぎにルートファインディングの総力を集中するうち、傾斜がやや緩くなり、樹林を縫っての滑降となって、五色沼に降り立つ。

 ここも、白く開けた別天地だ。南岸でシールを張り、避難小屋目指して登り始める。初日にアタックの夢は、とうに破れ、小屋に到着したのは、14:30であった。

 昨夜の経験を踏まえ、今夜は小屋の中にツェルトを張ろう。スポンジマットも転がっているので、利用させて頂こう。夕方、小屋の中の温度計は、−6℃を指していた。

【2月6日】 ガスのち雪のち晴
 昨日の夕方小屋に着いた、バスで一緒だった二人組は、全く出発するそぶりを見せないのを尻目に、我々は6:40出発。少し雪原を南西に進んでから、奥白根へ向けて登り始める。スキーで靴ぐらいは潜るラッセルだ。次第に傾斜がきつくなり、樹林を縫っての斜登高となる。

 樹林帯を抜けると、岩々が幾つか目立ち、それを避けて、広い雪の斜面を斜登高。雪崩への心配が脳裡を掠める。大きくジグザグを切りながら、白い斜面を登って行くと、雪が飛ばされて砂利の出た夏道にぶち当たる。やたっ!アイゼンに換えて、板を担ぐ。所々ズボッと埋まりながら登って、道標のある所に至る。

 ここから少し下って、石を並べて文字を書いてある平坦地の横を通り、祠のある所まで登る。荷物をデポして、山頂をハントする。ガスで、全く展望が無いのが口惜しい。デポ地点に戻り、行動食を腹に詰め込む。再び平坦地の横を通って、道標から下ること少しで、スキーを着ける。

 コンパスを振り、慎重に方向を定めて、広大なスロープを下る。例の岩々を巻いて、樹林帯に入る。単独の山屋が、黙々とラッセルして登っているのと、擦れ違う。適度な傾斜を持つ新雪深雪の斜面を、疎林を縫いながら、快適に滑降するのは、本当に楽しい。25分の滑りで、コル状の雪原に降り着く。

 シールを張って、2385Pに登る尾根に取り付く。濃いブッシュやクラストした斜面に悩まされつつ、2385Pに登り着くと、スキーが使えそうだ。前白根へ続く稜線は、東面は雪が深く、トラバース気味に、効率良く前白根手前コルに出ることが出来た。

 ツボ足で前白根を登り、下りの途中で板を履き、次のピークは巻いて行く。ドンピシャ、トレースに出る。そのまま、トラバース気味に、天狗平まで斜滑降し、白根沢に入るまで、快適な大回転で下る。天狗平付近で擦れ違った山スキーの二人パーティーは、「白根沢は、ブッシュと急傾斜で、とても滑れそうもないですよ」と言っていた。

 白根沢に入る所では、先ず右岸の樹林帯の藪漕ぎをして、沢床へ降りる。まだこの辺の傾斜は、30度前後であろう。ターンで転倒すると、一回転して立ち直らないと、頭を下にしてズルズル滑落して行く。沢は狭くなると同時に、平均斜度38度の世界になる。ブッシュが両岸から迫り、やむなく横滑りで下って行く。

 左岸からの顕著枝沢出合手前に滝があり、左岸のブッシュの中でタルむ。ここからターザンで、ブッシュにぶら下がりながら、左岸枝沢に下降するのは、筆舌に尽くしがたいほどの苦労であった。偵察時も苦労した所を、スキー板を履いたまま下るのだから・・・。

 左岸枝沢出合から下は、沢がやや広くなって、滑降しやすくなる。大倒木ダムを、右岸のトレースに従って巻けば、スキー場上部まで、あと少しの沢滑降だ。白根沢にスキーのシュプールは無かったが、大倒木ダムより下には、シュプールがあった。

 リフト降り場裏に出て、ピステ最上部に立つ。こんな真っ平らなスキー場のどこが面白いのかは、理解に苦しむところだが、日曜日だけあって、満員盛況だ。山屋スタイルで滑降するのは、場違いで恥ずかしく感じる。急いでピステを降りきって、湯元の「共同浴場」まで滑走する。だが、冬場は営業していないらしく、バス停付近の民宿まで戻って、念願の温泉に入った。

 湯につかりながら、緊張感と充実感に恵まれた、今回のスキー山行を振り返る。早くも、3月末のスキー山行のプランニングを交えつつ、バスから東武電車に乗り継いで帰京する。

スキールート図

アルバム

青空の下シール登高
樹林の尾根を行く
五色山付近から奥白根山
五色沼から
下ってきた谷を振り返る
五色沼と奥白根
五色沼南岸から奥白根
奥白根からの下りにて
避難小屋の谷越しに男体山方面
避難小屋南西の平坦地
白根沢へと滑り込む
湯場見平が見えている

MR150_ 奥白根山偵察(日光)'82-11

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