魚野川万太郎谷本谷・谷川岳(谷川)

MR100 魚野川万太郎谷本谷・谷川岳(谷川)

date 1981/9/6 
コース 土樽駅〜吾策新道〜万太郎谷本谷〜トマの耳〜西黒尾根〜土合駅
実働 12h21m。
メンバー すうじい、カニ
概要 日帰りで出掛けた万太郎谷本谷、三ノ滝に手こずり、真っ暗な西黒尾根を下る。
行程 =:バス・鉄道、→:山道、:溯行、\\:藪漕ぎまたは詰め
【9月6日】 曇のちガス
土樽駅→3:54発電所(仮眠)5:20→6:15花崗岩2段4mナメ6:338:17深トロ4m滝下小滝8:30一ノ滝9:5010:03一ノ滝上巨岩ゴーロ10:2011:03三ノ滝下11:4014:40三ノ滝上14:5015:53水涸れ16:00\\稜線16:40→16:54トマの耳17:11→20:00土合駅
記録  20回目の沢登り。カニと出掛けた谷川岳北面の沢、万太郎谷本谷。三ノ滝に手こずる。カニの記録を基に、山行記録を書いてみよう。

【9月6日】 曇のちガス
 暗いうちに、ヘッドランプをつけ、土樽駅から橋を渡り、上越線の下を潜る。舗装道を行き、右に懸かった橋を渡る。やがて、関越道の下を潜る。工事の飯場か、プレハブの並ぶ所を通り過ぎる。夜中なので、道が判りにくい。発電所の横で仮眠をとる。

 明るくなりかけて、再び出発。何パーティかに抜かれる。吾策新道から左に入り、砂防ダムの上に出て、いよいよ溯行開始。広々とした川原を、じゃぶじゃぶと歩く。時折、花崗岩の美しい滑滝が現れ、釜に深々と緑の水を湛えている。何故こうも美しい緑色をしているのだろう、と思っていると、突然左岸の上の方に、飯場出現した。関越トンネルの排気坑の工事だろうと勝手に推測する。

 やがて、ゴルジュの中に広々とした釜が現れ、その向こうに5m滝。ここは、泳いで左壁に取り付けば登れそうだ。しかし、寒いので、左岸のチムニーから巻く。落口に出るのは、簡単だった。

 川棚沢を左に見て進む。両側が次第に迫ってきて、昼なお暗いゴルジュ帯。これはすごいなと思いつつ進むと、これがオキドウキョ沢出合のトロであった。泳がねば突破は無理と思われる。左岸に巻き道が付いているが、ドロドロのヌルヌルと笹藪で、非常に悪い。沢筋は、しかし相変わらずの美しさである。深そうな釜の緑の(むしろ碧い)水。水流に洗われた滑らかな花崗岩。「晴天なら水着も楽しい」という、ガイドブックの言葉も頷ける。

 イドゴヤ沢が右から注いだ後、しばらく行くと、前のパーティが、滝の左岸を巻いている。滝は2m足らずで、大したことは無いが、その上が、またもや泳がねば突破できぬようなトロだった。よって、我々も左岸を巻く。すると、斜めに水が落ちる、面白い6m滝に出た。その後も、ナメ、トロ、滝が次々に現れ、全く退屈を感じさせない。

 一ノ滝は、ガイドブック通り、登れそうだったが、時間節約のため、左岸を高巻く。ここも、笹・低木が繁茂していて、「いかにも上越らしい」薮であった。その後、一休みの後、白ペンキ印が現れた。恐らく、谷川新道の名残なのだろう。このペンキに沿って歩いたら、イシクラ沢の方へ誘導された。ガイドブックに拠れば、三ノ滝を巻いているのだという。

 いよいよ、三ノ滝である。この近くには、巻けそうな場所は全くない。ここで、ザイルを出し、すうじいトップで登る。まず、傾斜の強い下段10mは、ホールドが豊富で、簡単に越える。問題の上段20mは、水流の中に右へ斜上するバンドがあり、釜から4m程上方に、残置ハーケンがある。そのハーケンの直下は、ツルツルの急なナメである。一番安全で早いのは、水線左から取り付いて、水流をモロに浴びながら、バンドを斜上して、トヨ状30m滝下部の残置ハーケンに至るルートであろう。そこからは、左岸のトヨ状30m滝沿いの巻きルートが使える。

 我々は、水流モロ浴びを敬遠して、左岸の草付を登り、テラスからの左岸のトヨ状30m滝へのトラバースを目論む。しかし、テラスの二本並んだ残置ハーケンから、左岸の逆層気味のフェースのトラバースができない。沢中には、ガスが立ちこめ始め、日は陰り、不安な雰囲気を盛り上げる。試行錯誤の末、トラバースを断念する。効いている方のハーケンにカラビナ一個残置して、左下方へアプザイレンして、トヨ状30m滝下部の残置ハーケンに至る。ここからもザイルを用いて、この滝の水流右の草付を慎重に登る。倒木を伝って、トヨ状の水流を渡り、三ノ滝上段左岸のブッシュの中に入り、少し安心して、落口へと至る。結局、三ノ滝の通過に、3時間も費やしたことになる。

 一休みして、腹に食い物を入れる。その後は、「詰めで一本沢を間違えたら、オメエラじゃ登れねえ様なスラブに出るからな」という警告を念頭に、慎重にコースを選択する。やがて、奥の二俣を過ぎ、水流が細るので、水を汲む。更に登ると、どこが沢だか不明瞭な、笹とブッシュの斜面となる。踏跡らしきものは、殆ど見当たらない。ガスの中、登っても登っても、稜線には届かない。時折、トリカブトの花が咲いている。

 急な斜面は、40分歩いて、やっと終わった。肩ノ小屋南西直下に出て、トマの耳まで登り、登攀具をしまう。それから、西黒尾根を下り始める。途中で、日が暮れる。久々のヘッドランプ山行だ。カニは、かなり眠いらしく、大転倒したり、休憩で居眠りしたりしていた。土合駅には20:00着。

 無事、帰れたものの、三ノ滝のルートファインディングミスで、3時間も費やしたのは、猛省すべきことであった。

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