滝川右岸道・八百尾根から和名倉山・ナシ尾根下降(奥秩父)

【注意!】滝川右岸道・八百尾根・ナシ尾根は、迷い易い箇所・藪が多く、川又道・仁田小屋道ほど踏まれていません。
      ごく一部の踏跡を除けば、鹿道拾いと藪漕ぎに終始します。ナシ尾根末端は、特に危険です。

date 2014/11/29-30 雨のち曇のち晴、快晴のち曇
コース 山薊橋先下降点〜高滝下吊橋〜滝川右岸道〜八百尾根〜八百平〜千代蔵沢水場〜和名倉山〜市ノ沢ノ頭〜尻無ノ頭〜大洞ダム〜鮫沢橋ゲート
実働 第一日:7h50m、第二日:9h、計:16h50m。
概要 滝川右岸道・八百尾根からナシ尾根下降で和名倉山藪尾根横断。
メンバー すうじい、Tn君、Hn君、Km君
行程 →:山道・踏跡、##:笹藪帯、\\:藪漕ぎ・不明瞭な踏跡、=:車

【11月29日】 雨のち曇のち晴
自宅19:40=22:20道の駅大滝温泉6:00=鮫沢橋=7:50山薊橋先下降点8:10→滝川右岸道9:00→9:55曲沢右岸尾根10:10→\\12:40金山沢13:10\\14:30八百尾根1300M肩14:40\\##15:55 1600M付近16:05\\17:05 1800M肩(幕営)

【11月30日】 快晴のち曇
1800M肩6:20\\八百平6:55→\\7:25千代蔵沢(水場)7:40\\→和名倉山8:10\\8:40市ノ沢ノ頭8:50\\9:20 1810M索道中継点跡9:25\\1750M笹藪上9:50##11:00 ・1550二重山稜11:30##尻無ノ頭11:50##12:30 1350M笹藪下12:35\\13:40 GPS紛失13:55\\15:00偵察15:20\\15:45偵察16:15\\→16:50大洞ダム16:55→17:35鮫沢橋18:00=18:50山薊橋先下降点19:00=21:30自宅
個人装備 軽登山靴、ヘルメット、シュラフ、シュラフカバー、コンデジTG620、ヘッドライト、ストック(杖)、行動食
共同装備 テント2張、マット、細引10m、スリング、アイスハンマー、ガスコンロ、コッヘル、GPS、食糧
記録  某山岳部の学生さん三人と、和名倉山横断に出掛けた。山行中、他の登山者には全く出遭わなかった。

【11月29日】 雨のち曇のち晴
 前夜のうちに、道の駅大滝温泉の駐車場に到着し、仮眠する。夜中に、学生諸君の車も合流。

 朝6時に出発し、鮫沢橋に向かうが、旧道の崖崩れの迂回路に迷い、遠回りをする。雨が降り出し、気分は滅入る。鮫沢橋のゲートは開いていたが、その先はどうせ荒れているだろうと、橋の手前に一台デポ。引返して、R140の山薊橋先下降点付近のスペースに一台デポ。

 下降点から落葉の積った踏跡を下って行くと、軌道跡の水平道に出る。少し上流側へ進み、再び下降する踏跡を辿る。高滝下吊橋の金属板は、雨に濡れて滑り易い。吊橋から急登して、右岸道に合流する。この合流点(分岐)は、暗くなると気付かず通過することがある(MR605)。

 右岸道に入り、そのうち小降りになるだろうと期待していた雨は、次第に本降りになる。とても休憩どころではない。それでも、曲沢右岸尾根付近で小降りになって、すかさず休憩する。曲沢を過ぎると、右岸道は益々荒れて来る。

 前回右岸道往復で苦労した大倒木帯は、倒木が急斜面を滑り落ちたためか、踏跡が判り易くなっていた。問題の金山沢手前岩稜斜上バンドは、相変わらずイヤラシイ箇所がある。固定された3本のロープを利用して、ギャップを跨ぎ通過する。岩稜を乗っ越してトラバースし、最後はガレ急斜面を騙して下り、金山沢に降り立つ。いつの間にか、雨も小降りになっていた。

 予定より、かなり遅くなってしまった。本日最後の水場となりそうなので、たっぷり給水する。休憩後左岸斜面に取付くが、踏跡は崩れ、急ガレ斜面の苦しい登りとなる。小尾根を回り込み、二つ目の小尾根に取付いて登るが、この岩稜はやがて岩壁に吸収される。

 結局、急な斜面を騙して下り気味にトラバースし、三つめの小尾根に乗ると、見覚えのある大岩下に出た。前回、偵察した大岩だと確信し、右上方へと登る。最後は、浅窪状に入り、不安定な斜面を登って、作業小屋群跡のある1300M肩に出る。

 1300M肩の落葉樹林帯で、休憩する。いつの間にか雨は止み、薄日も射して来た。この辺り、舟窪状地形も多く、尾根筋が複雑だ。枯れかけた笹薮やブッシュを避けつつ、登り易い所を辿る。しばらくは尾根も広く、藪も薄いので、斜面を適当に登って行く。

 次第に枯れ笹薮が煩くなり、やがて馬酔木混じりとなる。1550Mを過ぎると傾斜が増し、疲れた脚にはこたえる。1600M付近で、休憩を入れる。午後4時なので、ヘッドライトを装着しておこう。鹿道をうまく繋いで、枯れ笹薮を避けつつ登る。薄暗くなった樹林帯を黙々と登り、やがて傾斜が緩む。

 午後5時過ぎ、1800M付近の肩状平坦地に幕営地を見出す。夜中に鹿が鳴いて、少々騒がしかったが、快適なサイトだった。

【11月30日】 快晴のち曇
 テントを撤収し、針葉樹林の尾根沿いを登る。間もなく、倒木帯に突入する。暗闇での倒木跨ぎは難儀だから、昨日のサイト決定は正解だった。その後も、藪漕ぎは殆ど無く、やがて八百平付近の縦走路に出る。

 八百平の開けた平坦地で、朝日を浴びる。縦走路を辿り、川又分岐を経て、1950M付近から右手へトラバースする踏跡に入る。やがて、1970M平坦地からトラバースしてくる踏跡に合流し、千代蔵沢水場に至る。ここで、行動中の水を補給する。

 左岸側の幅広尾根状を適当に登って、千代蔵ノ休場からの登山道に合流する。登山道に合流すれば、程なく和名倉山に到着する。黒木に囲まれた山頂で記念写真だけ撮影し、東へ向かう。初めは倒木跨ぎが続くが、すぐに歩き易くなる。快適な稜線樹林歩きが続き、山頂から30分ほどで、市ノ沢ノ頭に至る。

 二瀬尾根を右に見送り、ナシ尾根を下降する。尾根の市ノ沢側斜面の明るい落葉樹疎林を、鹿道利用で下る。30分ほどで、1810M索道中継点跡に至る。更に下って行くと、次第に枯れ笹薮が煩くなって来る。

 やがて、1750Mの開けた鞍部状になり、周囲に笹籔が目立つようになる。振り返れば、市ノ沢ノ頭から仁田小屋尾根方面のスカイライインが望まれる。ここから本格的な笹籔廊下が始まる。枯れ笹薮の廊下は、尾根沿いが困難な所は、北側斜面の鹿道を適宜利用する。

 1720-1700M付近の緩傾斜地形は、背丈を没する笹薮帯だ。鹿道は錯綜する上、一旦鹿道を外すと、身動き出来ない程の激密笹薮なので、方向感覚が重要だ。なんとかメインルートに復帰して、枯れ笹薮の踏跡を下れば、次第に尾根がハッキリして来る。やがて顕著な二重山稜地形となって、・1550で休憩する。

 さらに続く笹薮廊下の尾根道を進み、最後のピークである尻無ノ頭に至る。今回は、尾根北側斜面の平坦地を利用しなかった。尻無ノ頭から南東へ、再び笹籔トンネルを下る。一旦開けた斜面に出るが、その後は幾通りもの笹籔トンネルが、合流分散を繰り返しながら尾根を下っている。

 一番踏まれていそうな鹿道を選択して、下って行くと、前回とは少し様子が違う。1450M付近から、枯れ笹薮が倒れている箇所が多くなる。ルートの見通しが、格段に良くなっている。1400M付近から下は、枯れ笹薮は全て倒れ、どこでも踏んで歩くことが出来た。

 1350M笹薮下で小休止後、落葉の積った尾根を下る。1200M肩状から南南東へ急降下し、1070M炭焼窯跡を通過する。1000M付近で転倒した際、GPSを紛失したらしい。気付いて戻り、皆で捜索したが、分厚い落葉に阻まれ、断念する。この辺り、尾根筋がハッキリせず、現在位置が判り難い。

 仕方なく、偶にある目印を頼りに東へ下る。一つあった赤テープの目印を信頼して、急な小尾根を下って行くと、大崩壊斜面の左岸に小尾根は消える。登り返す余裕も無く、左の尾根に移る。この尾根を偵察したところ、踏まれた跡があるので、これを下って行く。

 やがて、この尾根も右手の大崩壊ガレ沢に落ち込む。眼下に大洞ダムが見えている。しまった、正解尾根は、大崩壊ガレ沢の右岸尾根だ。再び、三人を残し、大崩壊ガレ沢に降りて、右岸尾根に取付けるか偵察する。

 幸い、ガレ沢が縊れた箇所から右岸尾根に取付いて、残置ワイヤー沿いに登ることが出来た。さらに、トラバースの踏跡が続くので、危険箇所に細引きを固定する。その先も踏跡が続くことを確認し、戻る。

 午後4時過ぎ、右岸尾根に全員で取付き、トラバース開始。ダム上方の落石防止フェンスに至り、正解踏跡に復帰する。ヘッドライトを点灯し、真っ暗な大洞ダムへ無事到着。最後の力を振り絞り、林道へと登り返す。あとは、油断してまた足首を捻挫しないよう気を付けながら、鮫沢橋まで歩く。

 鮫沢橋のゲートは閉まっていたので、車のデポ位置は正解だったようだ。全員で車に乗り込み、山薊橋先下降点へと移動する。ここで三人と別れ、雁坂トンネル経由で勝沼ICへと向かう。

マップ

アルバム

山薊橋先下降点付近
高滝下吊橋へ下降する
高滝下吊橋を渡る
右岸道合流点付近
右岸道合流点付近を振り返る
大倒木帯跡
斜上バンドを登る
金山沢を渡る
これから登る金山沢左岸斜面
下って来た金山沢右岸斜面を振り返る
八百尾根1300M肩
八百尾根1380M付近を登る
翌朝、八百平付近縦走路に出る
朝の八百平
千代蔵沢水場
市ノ沢ノ頭
1810M索道中継点跡
1750M笹藪上から、市ノ沢ノ頭方面を振り返る
尻無ノ頭三角点
1350M笹藪下
1350M笹藪下
1200M肩状付近から急降下する
真っ暗になった大洞ダムを渡る

MR683_ 仙波尾根から和名倉山・ナシ尾根周回'12-04

MR650_ 滝川右岸道往復'10-06

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