前山・妙高山・三田原山スキーツアー(頸城)

MR71 前山・妙高山・三田原山スキーツアー(頸城)

date 1981/4/18-19 
コース 赤倉温泉〜前山〜大谷ヒュッテ〜妙高山〜大正池〜三田原山〜池ノ峰の西〜妙高国際スキー場〜杉野沢
実働 第一日:4h49m、第二日:7h45m、計:12h34m
メンバー Yk君、Ad君、すうじい
概要 大谷ヒュッテ泊、大正池から三田原山への雪壁登りが大変。
行程 →:ツボ足、:シール、**:アイゼン、:スキー

【4月18日】 雨のちガスのち晴
妙高高原=赤倉温泉スキー場7:18→8:00チャンピオン京王赤倉ヒュッテ8:10→9:07休9:20→リフト終点9:30→9:55休10:05→11:30休11:45→12:1512:25前山12:3512:55→13:00休13:1013:15大谷ヒュッテ(泊)

【4月19日】 高曇のち小雨
 大谷ヒュッテ5:10**6:00休6:05**6:45岩稜下(デポ)6:55**7:35妙高山7:55**9:15岩稜下9:309:50大正池10:00**11:30休11:40**12:05三田原山12:3013:05休13:15林道14:00妙高国際スキー場上14:5015:15スキー場下15:20→杉野沢15:25=15:40妙高高原
記録  ワンゲルOBのYkとAdに連れられて、四月の妙高に出掛けた。大正池から外輪山三田原山への雪壁登攀が、最も緊張する場所だった。

【4月18日】 雨のちガスのち晴
 上野から急行で妙高高原駅へ行き、シュラフを出して駅カンする。朝になっても、雨がしっかり降っているので、タクシーで出発する気にもなれず、6:20発赤倉行始発バスに乗る。営業しているスキー場は、関温泉だけだということで、今回もリフト利用は出来ない。

 雨の中、トボトボと、ピステを登る。赤倉スキー場は、良い雰囲気である。2ピッチちょっとで、リフト終点に至る。雨は上がったが、ガスで視界がきかず、樹林を抜けて、雪斜面に出ると、雪崩の不安がある。雪崩に良く遭う男:Adがいるので、「イヤだなァ」と言いながら、疲れた脚に鞭打って、イヤな斜面をロングピッチで一気に抜ける。急にガスが切れ始め、妙高本峰が、ドーンとその威圧的な姿を見せる。前山の少し手前で、ラッセルを嫌って、シールを着ける。

 前山山頂からスキーで滑るが、稜線通しは無理なので、南面をトラバースする。上部はかなりの急斜面で、トップのAdのスキーの下から、表層が流れて行く。AdとYkは、慣れたスキー捌きで下って行くが、すうじいは、斜滑降も今一つ安定しない。かなり下ってから、仰ぎ見ると、前山の連なりの南面には、地形図には表れていない岩肌が見えている。大谷ヒュッテまで滑降して、本日の行程を終える。

 ヒュッテの中を調べると、なんとか使えそうだ。かなり荒れて、羽目板が無かったりしたが、奥の部屋の二階(カイコダナの上)に、寝場所を決める。外では、空はすっかり晴れ上がり、妙高本峰の偉大な迫力、赤倉山の急傾斜と、南地獄谷の噴煙。暖かな陽光は、まさに春山のものだ。濡れたシールやスパッツを干す。Ykは、羽目板の剥がれた小屋のアバラで、クライミングの練習をし、Adが飯を炊く。すうじいは、あたりの景色に目を奪われていた。

【4月19日】 高曇のち小雨
 重い。スキー板を着けた荷は、肩に食い込む。Adの体調が、若干良くないようだ。アイゼン歩行2Pで、岩稜下の岳樺の疎林に、荷と板とをデポする。本峰へは、岩稜を忠実に登る。右手の雪壁に、夏道は埋まっているのだ。岩稜は全く問題ないが、Adは、岩々が苦手ということで、少々手こずる。1Pで、妙高山頂に達する。

 高曇りであるが、山頂からの展望は、さすがである。南方の黒姫・飯縄・高妻方面、西方の火打・焼山・天狗原山・北ア方面が良く見える。眺望を楽しんだ後、下降に移る。下りは、夏道通しで、途中から、急な雪壁を下る。岳樺を利用して、ザイル3ピッチ。1ピッチ目で、トップのAdがズリ落ちかける。3ピッチ目のトラバースは、イヤラシかった。

 デポ地点でスキーを履く。ここから、本峰南面をトラバースして、大正池まで、長い長い斜滑降。大正池で板を外し、担ぐ。三田原山東面の、急な尾根状に取り付く。わりとザラメ状に腐っていて、厄介な登りだ。

 雪壁に出くわして、Ykトップでザイル1ピッチ。すうじいが、セカンドで登る。ステップを手でまさぐり、腐った雪を崩さぬよう、ジワジワ登るのは、脚の筋肉と精神の緊張・疲労が大きい。Ykは、心持ち傾斜が緩くなった雪壁でバケツを掘り、確保してくれていた。Adもラストで登ってくる。この1ピッチが、今回の山行の最も充実した「とき」であったことは、間違いない。外輪山の内壁というものは、概ね急なものだ。最後の稜線直下で、もう1ピッチ、ザイルを出す。心配された雪庇は、幸運にも、そこには付いていなかった。

 三田原山付近の稜線で、ホッと一息入れる。小雨が降り出す中、南へ向けて、池ノ峰方面目指し、蜿蜒たるトラバース滑降開始。重く腐った雪は、ターンが困難で、脚がガクガクになりつつ下る。途中の位置確認が難しく、結局、池ノ峰には辿り着けず、少し西の笹ヶ峰牧場寄りの林道に出た。

 しばらく林道を登る。池ノ峰付近から、ようやく下りになり、林道をスケーティングで滑走する。林道の雪が無くなる頃、妙高国際スキー場のピステに入る。ブルドーザーのトレースを滑降して行くと、メチャンコにスピードが出て、すうじいは、二回大転倒をやらかす。AdとYkの待つ所へやっと追いついて、ピステを滑降する。

 スキー場下で、近所のオバチャンにバス停を尋ねると、「すぐ下で、もうすぐバスが来るよ」と教えてくれた。慌てて板を持って、バス停へ急ぐ。再び雨が激しくなり、バスに乗り込み、妙高高原駅に出た。

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