辺見岳「会所尾根」・「腰越尾根」下降(両神)

date 2007/5/20 晴
コース 日向大谷〜会所〜「会所尾根」〜辺見岳〜「腰越尾根」〜腰越ノ滝〜日向大谷
実働 登り:3h13m、下り:2h30m、計:5h43m。
概要 「会所尾根」は、1089独標先ギャップからルンゼ下降、絶壁岩峰の東面を下巻く。
メンバー ecosさん、すうじい
使用装備 登山靴、アイスハンマー、ヘルメット、8mm x30mザイル、μ725SW、飲料2L
不用装備
行程 →:山道・踏跡、\\:藪漕ぎ・踏跡無し、車:=。
【5月20日】 晴
さいたま3:00=5:25小鹿野コンビニ5:35=6:00日向大谷下6:20→6:53会所7:10\\7:40 880MP
7:50\\8:15 1089P 8:25\\尾根上9:20\\9:30休9:45\\10:05倉沢ノ頭10:10\\10:30辺見岳北峰
11:05\\倉沢ノ頭11:25\\1130M岩峰手前11:55\\12:25 1010M肩12:35\\900M肩12:50\\13:15
725P 13:25\\→13:40腰越ノ滝14:00→14:15日向大谷下14:20=西武秩父15:15=17:40さいたま
記録  GWに登った「腰越尾根」を下降に使い、辺見岳「会所尾根」にチャレンジしてきた。

【5月20日】 晴
 心配された混雑も、GW時ほどではなく、6時に到着したら、第二駐車場に入ることが出来た。バス停横の第一駐車場には、団体客のバスが停まっていて、20人ほどの登山者が、準備体操をしていた。日向大谷の登山ポストに、計画書を投函する。この辺りから、本日の目標、辺見岳北峰・1280M倉沢ノ頭・下降予定の「腰越尾根」が望まれる。

 日向大谷から、会所までの登山道では、登山者が連なっており、先程の団体さんを追い抜く。会所のベンチで、小休・準備していたら、その団体さんに囲まれる。

 清滝沢・七滝沢出合へと下降し、本流を濡れずに渡る。本流清滝沢右岸の、「会所尾根」末端は、岩峰状になっているので、20mほど進んでから、斜上するバンド状泥付斜面に取り付く。さほど苦労せずに、尾根に乗ることが出来た。

 「会所尾根」に乗ると、痩せ尾根ながら、快適な尾根歩きとなる。ほぼ真南に向かって尾根を辿れば、やがて尾根は広がり、どこが尾根筋だかハッキリしなくなる。下りでは、要注意である。会所から30分で、880MPに至る。

 880Pからは、尾根は南西方向へと続く。概ね、快適な登りである。25分で、1089Pへと至る。密林の僅かな合間から、目指すピークが望まれる。1089Pでの小休を終え、コル状へ向け下り始める。密林のため、その先の尾根の様子は見えない。

 コル状近くまで下ると、木々の合間から、突然、切れ落ちたギャップと、正面に聳え立つ、ブッシュ混じりのフェース状大岩壁が目に入る。葉の繁った木々に覆われてはいるが、我々の実力では、到底歯が立たない、見上げるような大岩壁。正面突破は、先ず無理である。地形図から判断すると、右手キワダ平ノ沢側から下巻くのは、無理そうだ。倉沢側もかなりの傾斜で、ルンゼが落ちている。

 この岩壁を擁する岩峰を、果たして下巻くことが出来るか。兎に角、倉沢側のルンゼを、倉沢本流まで下降できれば、再び尾根に乗ることが出来るのは、薄川倉沢・辺見岳・三笠山'01-12の経験で判っている。尤も、このルンゼ、倉沢本流まで無事下降できる保証も無いのだが。

 この大岩壁を下巻けなかったら、1089Pへと登り返して、会所へと引き返すことにしよう。意を決して、倉沢側ルンゼを下降する。1ピッチ目は、フリーで、崩れ易い急な泥付ルンゼを下降する。2ピッチ目は、立木を支点にして、ザイルを使用する。降り立ったルンゼは、少し傾斜が緩む。

 更に下ると、ルンゼは急激に落ち込むようなので、右手(上流側)の岩稜に取り付く。ところが、その先は更に急峻なルンゼとなっており、トラバースが出来ない。やむなく、木の根頼りに岩稜を登り、一段登った所から、岩根に沿って、左上へと斜上を試みる。

 更に、岩根に沿って落ち葉の積もったところを斜上して行くと、岩根に岩穴があったりする。次第に傾斜が緩み、疎林の斜面を登るようになる。上方に尾根が見えてくるが、落ち葉の積もった斜面は、滑り易くてシンドイ。尾根まで登ってみると、末端側は落葉樹の密林で、この藪尾根の先に、あの恐怖の大岩壁とギャップがあるとは想像出来ない。

 さすがにもう、あんな難所は無いだろう。倉沢ノ頭を目指して、頑張ろう。最後に少し藪っぽい岩場となるが、正面やや左手を巻き気味に登る獣道を辿れば、たやすく1280M倉沢ノ頭の岩峰に立つ。岩峰には、檜の類が、しがみついて生えている。岩峰の檜の類の横から、聳え立つ辺見岳北峰を見上げる。2週間前には見られたアカヤシオや山桜は散り、黒木混じりの密林に覆われ、厳しい登りが待っている。

 途中、二ヶ所の岩峰を、木の根頼りに右手から巻き気味に登り、倉沢ノ頭から20分の頑張りで、辺見岳北峰に立つ。両神主脈も、緑が大分濃くなったようだ。2週間ぶりの北峰では、アカヤシオの枝には、花が終わって、代わりに若葉が着いていた。ここで、30分以上の大休止をする。今回は、南峰往復を省略する。

 さて、そろそろ下降開始だ。倉沢ノ頭まで、往路を戻るのだが、藪も濃く、二ヶ所の岩峰の巻き下りや、ルートファインディングが必要で、登りと同様20分を要する。

 1280M倉沢ノ頭から、北東側へと痩せ尾根を下る。「腰越尾根」下降開始だ。1240M付近で、東側へ平坦な幅広尾根が派生するので、引き込まれないよう注意が必要だ。これを見送って、北東へと幅広の斜面状尾根を下降すると、見覚えある岩壁の1180M岩峰に突き当たる。前回は、この岩壁最後の2mを、飛び降りたのであった。ここをよじ登るのは、結構大変そうだ。

 南東側斜面は、傾斜が緩いので、何とかこちらから下巻くことが出来そうだ。岩根を左に見ながら、南東側へと下降して行く。岩稜へは、取り付くのが難しそうだったが、岩根沿いに、1180岩峰東端へとトラバースすることが出来た。1180M岩峰は、やはり、こちらの岩根南東側を下巻くのが正解だ。前回の登りでは、岩根北側沿いに進み、北側のブッシュ混じりの岩場を強引に登ったのであった。

 1180M岩峰東端から、尾根沿いを東進すれば、すぐに1130M岩峰に突き当たる。西面倉沢側は、断崖絶壁である。ここは、前回同様、南面の岩根に沿って、トラバースして行く。岩峰の挟間である、1130M岩峰東稜のギャップに乗り、さらに北東面岩根バンド状を、下り気味にトラバースする。

 再び尾根に乗って、下って行くが、1050M付近で東へ派生する枝尾根に誘い込まれる。突然足元が切れ落ちて、ミスルートに気付く。幸い20m程の登り返しで、ロスは少なく済んだ。尾根に戻って少し下れば、樹林が切れて1010M肩に出る。ここには、風か雷に痛められたような大木が立っている。「腰越尾根」の数少ない展望台の一つだ。展望を楽しみながら、小休止しよう。

 15分ほど下って行くと、900M肩に至る。なだらかな尾根を下り、810M付近の東へ向かう枝尾根に注意して、北東へと下ると、800M付近でフェース状岩場の上に出る。ここは、左右どちらからでも、簡単に巻き下れる。尾根が細く東西方向に延び、起伏が少なくなると、725独標となる。

 さらに、尾根筋を忠実に下って行くと、最後は崩れ易い斜面となり、斜面を横切る林道跡に降り立つ。この林道跡を、右手の滝ノ沢側へと辿ると、下ノ滝横で滝ノ沢左岸杣道に出る。杣道を下って、滝ノ沢出合に降り立つ。

 折角なので、薄川本流の腰越ノ滝を見に行こう。涼しげな滝の前で、荷を降ろして最後の休憩だ。充実した藪尾根周回を達成した、心地よい満足感に浸る。日向大谷まで登り返し、第二駐車場へと向かう。午後2時過ぎという、早い時間に、無事下山することが出来た。

ルート概念図

アルバム

日向大谷から辺見岳と「腰越尾根」
会所の本流清滝沢・七滝沢出合
「会所尾根」末端岩峰
1089Pから
倉沢ノ頭と辺見岳北峰を見上げる
1089Pの密林
ギャップからキワダ平ノ沢側ルンゼ
ギャップから倉沢側ルンゼ
大岩壁
1089先ギャップの下降
大岩壁岩根沿いに斜上する
大岩壁下巻きを終えて
尾根上から北側を望む
同じく南側に続く尾根
1280M倉沢ノ頭から辺見岳北峰を望む
辺見岳北峰から両神主脈
辺見岳北峰から三芳岩方面
1280M倉沢ノ頭の藪岩峰
1180M岩峰西端
右手滝ノ沢側から下巻く
1180M岩峰東端にて
前回の登りでは
右手倉沢側から岩根沿いに進んだ
1180M岩峰東端にて
今回は岩根の左手
滝ノ沢側を巻いて来た
1130M岩峰東稜ギャップから
北東面岩根バンド状を下る
1010M肩の特徴的な針葉樹
1010M肩から天理尾根を望む
800M付近のフェース状岩場
左右どちら側からでも簡単に巻ける
尾根に忠実に下れば
下ノ滝から続く林道跡に出る
滝ノ沢下ノ滝からは
左岸沿いの杣道を下る
薄川本流の腰越ノ滝
充実した藪尾根周回を終え
涼しげな場所で最後の一休み

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