中津川から西吾妻山(吾妻)

date 2005/8/19-21 曇のち雨、曇のち晴のち雨、晴
コース 1003M林道分岐〜中津川取水堰上〜観音滝〜神楽滝〜熊落滝〜三筋滝〜朱滝〜ヤケノママ〜大凹〜梵天岩〜西吾妻小屋〜西吾妻山〜西大巓〜グランデコスキー場ゴンドラ山頂駅
実働 第一日:7h30m、第二日:7h30m、第三日:2h05m、計:19h05m。
概要 取水堰から入渓、水量少な目で溯行は楽、深く長い谷を満喫、不忘滝40mは見られず。
メンバー 渡辺さん・鳶八さん・すうじい
行程 →:山道・踏跡、:溯行・下降、\\:藪漕ぎ、=:車

【8月19日】 曇のち雨
さいたま0:35=4:25グランデコ駐車場5:30=5:50 1003M林道分岐6:00→6:20取水堰上6:25
6:45小滝大釜7:007:20 5m滑滝7:308:00観音滝8:159:15大岩ゴーロ9:3010:35権現滝
10:4511:00神楽滝11:25\\12:00高巻下降点12:10\\12:25夫婦滝12:50静滝13:00
13:20熊落滝13:50\\14:55激藪トラバース開始15:05\\15:50熊落滝尾根上16:05\\16:30沢
16:35三筋滝下流BP(泊)

【8月20日】 曇のち晴のち雨
三筋滝下流BP 7:057:20三筋滝7:408:10三筋滝上8:209:10朱滝9:359:45大高巻取付
9:55\\台地10:30\\10:50下降点11:00\\沢11:1011:45ヤケノママ12:1513:00 1596M二俣
13:1514:05休14:1514:45休14:55\\大凹15:45→16:50西吾妻小屋(泊)

【8月21日】 晴
西吾妻小屋5:40→西吾妻山5:50→5:55小屋前6:00→6:15水場6:25→6:40西大巓7:20→8:40
グランデコ・ゴンドラ山頂駅9:10=9:30グランデコ駐車場10:40=14:30さいたま
使用装備 渓流靴、E-1、14-54mmF2.8-3.5、三脚、ステッキ、ヘルメット、アイスハンマー、8mmx30mザイル、ハーネス、細引、テント
不用装備 11-22mmF2.8-3.5、8環
記録  今回は、滝写真撮影が目的なので、名所である白滑八丁を省略し、取水堰堤上から入渓するという、ズルをした。それでも、三筋滝下流で1泊目、西吾妻小屋で2泊目となり、結局2泊3日であった。

【8月19日】 曇のち雨
 早朝、グランデコスキー場ゴンドラ乗り場近くの駐車場に集合した我々三人は、先ず作戦会議。安全第一、沢中時間を減らすため、取水堰堤上から入渓という、奥の手を使うことにする。鳶八さんの車に乗り、車道を少し下った所から分岐する林道に入る。

 車は、1003M林道分岐まで走行可能であった。ここから取水堰堤まで、ほぼ水平な林道を20分歩く。取水堰堤上のゴーロで、溯行準備する。

 しばらくゴーロ状を進むと、右岸に枝沢の滝を懸け、巨大な釜を持つ小滝が現れる。これが銚子口だろうか。右岸からヘツって越えるが、重荷のため一箇所どうしても越えられず、お助け紐のお世話になる。幾つかの、大釜を持つ滝を越えると、観音滝前衛の瀞に至る。

 左岸の草付ルンゼを登って、小尾根上に乗ると、観音滝が目に入る。この小尾根を下ると、観音滝15m直瀑上ナメの滝壺正面だ。しばし、撮影タイム。

 観音滝の巻きは、先程の小尾根上についた踏跡を登る。軌道跡まで登って、水平に辿ると、落口へと下る踏跡があり、その先の水平軌道跡は、殆ど踏まれていない。ブッシュを掴んで、さっさと沢へ下降する。

 観音滝を越えて、少し行くと、沢は平凡になる。それでも、両岸から出合う枝沢は、それぞれ立派な滝を懸けている。所々に、ビバーク適地が散見される。沢の中の流木の枝に、ザックが引っ掛かっているのを、二度目撃する。増水にやられた人の持ち物であろうか・・・。

 大岩と呼ばれる場所は、左から越える。両岸が切り立った瀞淵が、ちと深そうだったので、左岸の草付を登って巻こうとしたが、まともな踏跡も無く、不安定な急斜面で根曲りの藪があまりに酷く、沢に戻って、少しでも浅そうな所を中央突破する。水量が少な目で、腰までの水没で済んだ。

 やがて、左岸からやや水量の多い、立派な滝が落ちており、権現滝だと確信する。鳶八さんは、さっさと神楽滝へと向かう。渡辺さんとすうじいは、権現沢の大岩帯を登り、権現滝20mの撮影に向かう。

 出合に戻り、中間尾根末端の岩壁を回り込むと、神楽滝40mが目に入る。左岸をヘツって、神楽滝の滝壺手前の大岩帯へと向かおう。

 神楽滝の大高巻きは、権現沢との中間尾根に取り付き、これを登る。途中、ネット情報でも見た、持ち主不在のツェルトが残置されている。これも、不気味だ。急登を続けて行くと、やがて少し傾斜が緩み、大木の所から、踏跡は左手斜面へと下り始める。

 根曲り帯を下降して行くと、夫婦滝の滝壺正面に降り立つ。一目見て、それが夫婦滝と判る、10m2条滝である。撮影と小休をするうち、鳶八さんがアメマスらしき渓流魚を釣り上げる。夫婦滝は、左壁の出っ張り手前に取り付くが、鎖も下がっていて、さほど困難無く越えられる。

 続いて、大釜を持つ12m静滝。個性的な滝が多い中津川にあっては、平凡な印象の斜瀑である。左壁直登も出来るようだが、左岸の草付ガレ沢から取り付いて、これを巻く。

 静滝を越えて進むと、やがて前方に、何やら物騒な岩壁が見えてくる。こいつが噂の、熊落滝ゴルジュの大側壁か。先ずは、左岸から滝壺に接近して、撮影する。

 さて、大高巻きのルートだが、一般的には、少し戻った左岸の枝沢付近の踏跡を辿るようだ。我々は、左岸大岩壁下の草付斜面の、左手上流側のガレ小沢沿いに登り、大岩壁の岩根に沿って、草付斜面を右へ不安定なトラバース。

 苦労して枝沢右岸小尾根までトラバースすると、踏跡が現れる。これを辿って、小尾根をひたすら登る。傾斜が緩くなるあたりで、踏跡が突然消失する。ここから、根曲りミックスの激藪を、北へ向けてトラバース開始する。生憎、雨が降り始めた。

 しばらく、激藪と格闘していると、苔生した涸れゴーロ小沢を横切るので、これを下降して、大岩壁上の小沢落口近くまで偵察に行く。遙か下方に、2条滑小滝に見える、熊落滝と思しき滝と、それを取り囲む大岩壁が目に入る。どうやら、最初に取り付いたガレ小沢上部にいるようだ。

 ゴーロ小沢を登り返し、薄い踏跡を辿って、熊落滝落口尾根上に乗る。さらに踏跡を辿って下降して行くと、小沢状を下り、側壁滝上に出そうなので、右手へとトラバースを開始する。顕著な小尾根までトラバースして、これを下降すると、懸垂無しで、不忘滝40m上流の5m滝上へと降りることが出来た。

 少し上流へと進んだ滑滝大釜脇に、サイトを見付けて、今日の行動を打ち切る。石ころが背中に当たって、ちと快適とは言い難いが、増水時には何とか脱出出来そうな場所である。次第に雨が強くなるが、夜中には上がって、月まで出ていた。

【8月20日】 曇のち晴のち雨
 ゴルジュ内のサイトで、背中の凸凹に落ち着かない一夜が明ける。昨日鳶八さんが釣り上げたアメマスを、味噌汁にする。寒いので、身体が暖まる。

 濡れたテントを撤収し、少し進むと、右岸大岩壁に左手と正面から2本の枝沢の滝を懸け、本流は右手から20m滝が懸かる、三筋滝に至る。

 一瞬、ホントに登れるんかいな?と思ってしまうが、高巻くのも時間が掛かりそうなので、先ずは鳶八さんが空身で偵察する。行けそうだと言うことで、フリーでサッサと登ってしまった。ザイルを上から垂らして貰い、あとを追う。

 三筋滝の上には、大釜を持った7mトヨナメ滝があり、泳ぎ必至だが、朝からズブ濡れを嫌い、左岸から巻く。この後、ミニゴルジュを左岸から巻いたりしながら行くと、沢は明るく開けて、「赤滑八丁」とでも呼びたくなる場所を通る。さらに、明るいゴーロを行くと、三筋滝から小一時間で、朱滝60mが現れる。

 朱滝60mが見えてきたら、左岸大岩壁から崩れ落ちて来た岩屑斜面をトラバースして、滝壺近くまで接近しよう。滝壺からでは、滝がデカ過ぎて、画角に入らないので、左岸草付斜面に乗る。飛沫と瀑風を浴びながら、撮影に取り組む。

 朱滝の撮影を終え、少し戻った沢の屈曲点から、左岸大高巻きを開始する。右岸から巻いた方が楽、との情報もあったが、一般的な左岸巻きを選択。ここは、スラブ滝を懸ける右岸枝沢出合で、左岸には、小沢が出合っている。

 この左岸小沢に取り付くが、少し登るとガレや倒木や藪で鬱陶しいので、右手の小尾根に逃げる。小尾根には、薄い踏跡が続くが、やがて倒木のあたりから、怪しくなる。強引に倒木を越え、小尾根を直登して行くが、やがて小尾根は壁に吸収され、草付と木の根を騙して登るようになる。

 何とか難所を越え、再び右手から来る小尾根に乗ると、明瞭な踏跡が付いている。どうやら正解ルートは、もっと下流側から取り付いているようだ。根曲りの小尾根を急登すると、大木に赤ペンキマークのある、平坦地に至る。

 なるべく藪の薄そうな所を、水平にトラバース開始する。時折、道標と思しき金属プレートや赤ペンキマークが、大木に付けてある。ヤケノママに続く、昔の登山道跡のようだ。出来るだけこの踏跡に忠実に進むが、すぐに見失いがちだ。大高巻きを開始して、小一時間。藪漕ぎにも疲れ、小休する。

 朱滝のものと思しき滝音も過ぎたので、適当な涸れ小沢状に沿って下降することにする。10分ほどで、沢に降りてみると、朱滝の少し上流で、小滝と釜の連続する、気持ちの良い場所であった。ヘツリ気味にしばらく進むと、やがて開けたゴーロ状になる。

 沢に戻って約30分、開けた川原を歩くうち、ヤケノママの剥げた斜面が見えた。陽射しが強く、暑い。テン場で大休止する。正午近くなので、今日中の下山は無理そうだ。西吾妻小屋泊を、念頭に置く。

 炎天下の平凡な川原を、ひたすら歩く。1596M二俣では、藪っぽい右を見送って、左の本流へと進む。途中の急流帯では、小滝・石滝が続き、増水したらズブ濡れの溯行を強いられそうだ。藪っぽい流れになると、ザックが引っ掛かって、難色だ。午後3時頃から、この日も雨が降り出した。

 最後の最後まで、水が涸れることはなく、やがて笹藪に覆われた、平流となる。水量の多い流れを辿って、湿原に出る。大凹方面を目指して、やや右前方へと湿原を繋いで進むと、登山道へと出た。

 そのまま左へ、梵天岩へと向かう。すぐに大凹の水場というのがあったが、ここで水を補給し忘れ、あとで情けないことになろうとは・・・。縦走路を約1時間掛かって、午後5時前に、西吾妻小屋に辿り着く。雨の中、この小屋は有り難い。でも、水汲みに出掛ける気力も無く、水不足の一夜を過ごしたのであった。

【8月21日】 晴
 雨は、夜半に上がり、月も出ていたようだ。朝、小屋前の分岐から、空身で西吾妻山を往復する。西吾妻山は、安達太良山からスキー縦走して登って以来、24年ぶりである。山頂は針葉樹で覆われ、展望は得られない。

 湿原を繋ぐ、木道の整備された道を、西大巓へと向かう。緩やかに下って行くと、15分で水場に至る。昨夜は水不足で、喉が乾いている。早速、水汲みをして、冷たい水を飲む。生き返るぜ。

 晴れ上がった陽射しの下、西大巓への登りは暑い。山頂は、頗る展望が良い。最後のピークだし、急いでもゴンドラが未だ動いていないので、ここで大休止しよう。

 西大巓からグランデコへの下りは、泥んこで滑り易い道だった。イヤになる頃、ピステに入る。満開のヨツバヒヨドリ(フジバカマに似ている)に、アサギマダラが舞う。1時間強で、ゴンドラ山頂駅に到着する。

 あとで調べたところ、グランデコスキー場は、ヨツバヒヨドリの大群落があり、その蜜を求めて、アサギマダラが大挙して集まるそうだ。アサギマダラは、長い距離を移動するとのこと。

 30分ほど、始発待ちをして、ゴンドラで下山する。鳶八さんの車を取りに行く二人と別れ、駐車場でテントを張り、濡れ物を乾かす。こうして、この夏の中津川企画は終了したのだった。

アルバム

中津川観音滝
中津川観音滝
中津川観音滝
中津川観音滝
中津川権現滝
中津川権現滝
中津川神楽滝
中津川神楽滝
中津川神楽滝
中津川神楽滝
中津川夫婦滝
中津川夫婦滝
中津川静滝
中津川静滝
中津川熊落滝
中津川熊落滝
中津川熊落滝
中津川熊落滝
中津川三筋滝
中津川三筋滝
中津川三筋滝
中津川三筋滝右壁を登る
中津川7mトヨナメ大釜
中津川朱滝
中津川朱滝
中津川朱滝
中津川朱滝
西吾妻山山頂
西大巓から磐梯山
西大巓から飯豊連峰
ヨツバヒヨドリとアサギマダラ

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