蝶ヶ岳・常念岳・大天井岳・燕岳・餓鬼岳(北ア)

date 2003/7/24-26 曇、曇のち雨、快晴のち曇
コース 涸沢〜横尾〜蝶ヶ岳〜常念岳〜常念小屋〜大天井岳〜燕山荘〜燕岳〜餓鬼岳〜白沢登山口
実働 第一日:6h35m、第二日:4h55m、第三日:9h20m、計:20h50m。
メンバー すうじい(単独)、第三日はN氏と同行。
概要 常念山脈(蝶〜餓鬼)縦走、槍穂の展望不良だが、コマクサ満開、燕〜餓鬼はやや難路。
行程 →:登山道、=:交通機関
【7月24日】 曇
涸沢8:05→8:50本谷橋8:55→9:35横尾9:55→10:20槍見台10:30→11:20休11:30→12:20
休12:30→稜線12:45→12:48蝶ヶ岳三角点12:55→13:00蝶槍13:05→13:50お花畑P
14:05→2512P 14:30→14:55休15:00→15:38常念岳15:46→16:15常念小屋(泊)

【7月25日】 曇のち雨
常念小屋5:45→6:45休6:55→7:00コマクサ群落7:15→東天井肩8:15→8:35休8:40→
大天荘9:00→9:10大天井岳9:30→10:30休10:35→大下りノ頭10:50→11:10休11:15
→11:40燕山荘(泊)

【7月26日】 快晴のち曇
燕山荘4:35→5:10燕岳5:20→5:35北燕岳5:45→6:15 2723肩6:30→7:05休7:10→7:20
東沢乗越7:25→7:55休8:00→8:10東沢岳8:15→8:50休8:55→9:35休9:40→剣ズリ肩10:05
→10:30休10:35→10:55餓鬼岳小屋11:05→11:10餓鬼岳11:15→11:20餓鬼岳小屋11:40
→12:25休12:30→13:05大凪山13:10→13:40ガレ場下13:45→14:20最終水場14:30→
14:40左岸枝沢滝14:55→15:05魚止滝15:20→15:30紅葉滝15:40→16:10白沢登山口下
17:00→17:35あづみの公園17:58=18:15大町18:54=22:37新宿
記録  恒例になった、夏の涸沢定着。今年は、霞沢岳に登ってから入山し、継続で常念山脈を蝶ヶ岳から餓鬼岳まで縦走したのであった。

【7月24日】 曇
 ボランティアの仕事が、出発前まであったため、涸沢を出たのが8時過ぎとなった。調子良く下って、本谷橋で小休する。さらに下って行くと、屏風岩に滝が出現している。横尾で水を補給し、スポーツドリンクを調製する。

 蝶ヶ岳へは、厳しいことが判っているので、ゆっくり登り、槍見台で早めの休憩を入れる。残念ながら、槍は見えない。昨日の雨で泥んこの樹林帯で、さらに2度の休憩を入れ、稜線に達する。三角点で休憩するが、槍穂の稜線は雲に隠れている。蝶槍でも、小休する。

 ここから一旦大下りして、樹林帯に入り、お花畑のピークへ登り返す。途中、常念方面からの数パーティと擦れ違う。ちょっと蒸し暑いが、気分の良いピークなので、お昼にしよう。ガスが時折、蝶槍を覆い隠す。再び下って、2512Pを越え、常念岳を目指す。岩々した地形で、ガスが出てきて、雷鳥の番を見掛ける。まだ卵が孵化していないのだろうか。

 常念岳はガスの中だが、山頂の人声が聞こえる。頂上に辿り着いた時には、殆どの登山者が下った後だった。足元に常念小屋が見えるので、ちょっと安心する。霧雨が降ってきたので、ゆっくり下るパーティを抜きながら、一気に常念小屋まで下る。

 常念乗越には、ドコモのアンテナらしきものが立っており、常念小屋の中でも、携帯は3本バリバリである。小屋の中に「携帯電話は小屋の外で」という貼り紙がしてあるのが、ちょっと不思議な世界である。夕食が7時半からだったので、とりあえず、布団に入って寝ておこう。

【7月25日】 曇のち雨
 常念小屋を出て、間もなくコマクサの咲く砂礫地がある。一旦灌木帯を経て、再び砂礫帯に出て、横通岳のトラバースに入ると、コマクサの大群落に遭遇する。このコースには、本当にコマクサが多い。後ろから、昨日常念小屋に泊まった、高校生集団が追いかけてくるので、あまりゆっくり出来ないが、綺麗な花は撮影して行く。

 荷を担いだまま、大天井岳を往復する。高瀬ダムが見下ろせる。この間、例の高校生集団に抜かれてしまい、梯子場・岩場や擦れ違いで、大いに待たされる。大天井岳から燕山荘までは、さすが表銀座、人通りが多いので大変だ。何とかこの集団を抜いて、コマクサを撮影しながら、燕山荘を目指す。

 燕山荘近くまで登り返すと、また砂礫地にコマクサが咲いている。山荘前のベンチに腰を下ろして、お昼にする。すると、例の高校生集団がやって来た。まだ12時前なので、このまま餓鬼岳まで縦走しようか、どうしようかと悩んでいるうち、ポツリポツリ、雨が降り始める。これで諦めがついた。

 燕山荘の宿泊手続きをし、他2名の単独登山者と共に部屋へ案内される。部屋で落ち着いた頃、激しい雨が降り出した。部屋は定員6名だったが、結局敷き布団の数と同じ3名のままで、それ以上詰め込まれずに済んだ。夕方、雨が上がって、虹が現れた。そして槍穂高や裏銀座の山々も姿を現したのであった。

 明日は、同室のN氏と共に、餓鬼岳を越えて、白沢登山口へ下ることにする。

【7月26日】 快晴のち曇
 夜明け前から、快晴である。他の登山者達も、早起きして準備に余念がない。朝4時からの小屋の朝食に列ぶ。

 N氏と共に、4時半過ぎに燕山荘を発ち、燕岳を目指す。途中、我慢できなくなって、三脚を立てる。さらに花崗岩のザレを登って、燕岳山頂に立つ。裏銀座の山々が、間近に見える。振り返れば、燕山荘が、ちゃんとしたピークの上に建っているのが判る。

 続いて、北燕岳を目指す。途中、ザレのトラバースでは、栽培試験中のコマクサの若株に、花が満開である。踏跡を辿って、北燕山頂にも立つ。振り返れば、燕岳山頂は満員状態だ。縦走路に戻って、岩稜の東面をトラバースするコースに入る。

 ここから先のルートは、東側の斜面を登ったり下ったり、なかなか消耗させられる。適度に花が咲いていて、慰められはするが。やがて、稜線の西面に移り、砂礫地帯にコマクサの群落が多い。2723肩で、コマクサと裏銀座の山並みを見ながら、休憩する。

 ここから、東沢乗越まで、大下りとなる。雪渓横のお花畑を下ったり、孵化したばかりのヒナを連れたライチョウに出逢ったりする。やがて樹林帯に入り、さらにどんどん下って行く。東沢乗越まで下って小休する。

 東沢乗越から、しばらくは樹林帯の登りだが、やがて草いきれの灌木帯となり、暑くなってくる。東沢岳肩からは、剣ズリが立派だ。この辺りから、ガスが湧き始める。しばらく稜線伝いに進むが、やがて剣ズリの西面をトラバースするような、樹林帯の道に入る。この道は細かい上り下りがあり、ガレのトラバースもある。

 やがて、荒れたガレ場を斜上して、梯子を登れば、花崗岩の岩場帯に入る。この岩場のトラバースが大変だった。断続する梯子や桟道を、次々に上り下りして行かねばならない。剣ズリの北西面を大きく迂回して、稜線に乗るのだ。次第にガスが出てきて、不安感がつのる。

 一旦稜線に乗り、西面をかなり下降する。さらに西面をトラバース気味に登って、餓鬼岳小屋を目指すのだ。まだか、まだかと歩いて、やっとテント場に出る。さらに僅かな登りで、餓鬼岳小屋に至る。小屋では、通過と聞いて、ガッカリしていたようだ。

 小屋前のベンチに荷を置いて、餓鬼岳を往復する。ガスで全く展望が無いが、山頂付近には、やはりコマクサが咲いている。小屋まで下って、昼飯にしよう。小屋でタクシーの手配を頼み、白沢登山口方面へ下り始める。

 しばらく、百曲りと呼ばれる、お花畑や笹藪の斜面をジグザグに急降下して行く。一旦尾根上に乗り、泥んこ道を進む。いずれにせよ、登りには使いたくないコースである。登ってくるパーティが、意外と多いのに驚く。餓鬼岳は、こちらの登山道がメインのようだ。大凪山の道標付近で休憩する。

 ここから再び急降下となり、沢状の不安定なガレ場を下る。脚がガクガクしてくる下りである。やっと、最終水場まで下り、水を補給して休憩する。さらに少し下ると、沢沿いの道となり、滝も現れる。滝写真撮影の目的もあったすうじいは、N氏に先行して貰い、撮影しながら行くことにする。

 右岸枝沢の滑滝を撮影し、本流の滑滝左岸の階段を下降する。右岸の小尾根を乗越して下ると、魚止滝が見えてくる。立派なスラブ状の滝である。花崗岩なのであろうか薄赤茶色で、落差40mくらいありそうだ。滑りやすい岩の上を移動して、沢の中から撮影しよう。

 ここから下流は、ますます谷が深くなり、右岸に付けられた杣道は、桟道や鎖場・梯子を交え、難所の連続である。ゴルジュの右岸岩壁に付けられたトラバース道を怖々辿ると、桟道の最中で、落差30m程の逆S字トヨ滑滝が目に入る。これが紅葉滝である。広葉樹の枝葉がちょっと邪魔だが、紅葉の季節には見事なのだろう。不安定な場所で三脚を立て、何とか撮影する。一眼レフのソフトケースが、谷底へ転がって行った。紅葉滝への奉納とする。

 N氏に大分遅れているので、急ぎ駈け下る。かなり下った所で、橋の下を釣師二人が溯って行った。さらに少し下ると、休憩中のN氏に追い付いた。林道までは、さらに歩かされる。やっと、マイカーが1台停まる林道終点に出るが、タクシーはさらに200m下までだという。うだうだ歩いて、500m程下ると、舗装道路に出る。

 ここがタクシー終点の筈だが、16:10、タクシーの姿は無い。まあ、16時半の約束だから、着替えたりしながら待つことにする。16:30、まだ来ない。「忘れられてんじゃないだろーなー(^_^;」との一抹の不安が、もたげて来る。17時まで待ったが、来ないので、携帯の電波が届く所まで、歩くことにする(ToT)。

 途中、壊れた公衆電話を試したりしながら、林道を下って行くと、薄暗がりの林の中で、ゴソゴソ音がする。何か動物のようだ。黒い犬のような動物が去って行く。犬にしては、モコモコお尻を突き上げ、歩き方が変だ。こっちを振り向いた。ありゃ小熊だっ。おいおい親熊はいねえだろうな。思わずストックを持つ手に力が入る。そいつは、そのまま森の中へ消えた。

 「あづみの公園予定地」の看板がある、工事中の林道終点まで来ると、携帯が通じた。タクシーを呼ぶ。大町駅まで無事到着。タクシー会社に事情を聞きに行けば、小屋からの連絡は受けていないと言う。予定より、大幅に遅れて、電車に乗る。「タクシーへの連絡は、自分の携帯からした方が確実」というのが、今回の教訓であった。

アルバム

【7月24日】
横尾谷右俣とカールを望む
マタタビの花であろうか
屏風岩の滝
ナデシコ
コオニユリもしくはクルマユリ
針葉樹林帯のギンリョウソウ
蝶ヶ岳三角点付近より、・2677Pを望む
三角点付近から、蝶槍と常念岳を望む
蝶槍より・2592Pと常念岳
蝶槍より、東大天井岳・大天井岳
蝶槍より、三角点と・2677P
・2542Pお花畑 サンカヨウ
・2542Pお花畑 カラマツソウ
・2542Pお花畑 ミヤマキンポウゲ
・2542Pお花畑 イブキトラノオ
・2542Pお花畑 ハクサンチドリ
・2542Pお花畑 ニッコウキスゲ
・2542Pお花畑 オトギリソウ
・2542Pお花畑より、コバイケイソウと蝶槍
・2512Pより、常念岳への登り
常念岳の登りから振り返る
常念岳山頂付近で、ライチョウを見る
常念岳山頂
【7月25日】
横通岳への登り
キバナシャクナゲであろうか
横通岳への登り途中から、中山越しの穂高連峰
コマクサ
クモマスミレかな
横通岳トラバース開始付近から、中山越しの穂高連峰
コマクサ
横通岳トラバースから、常念岳方面
横通岳付近から東天井
コマクサ
ハクサンシャクナゲかな
チングルマかな
アオノツガザクラ
タカネツメクサ
クモマスミレであろうか
大天荘が見えて来た
大天荘付近から、大天井ヒュッテのコルと貧乏沢のコルを望む
大天井岳山頂
ハクサンフウロ
大下りの頭付近から蛙岩方面を望む
燕山荘から燕岳
燕山荘から槍ヶ岳
鹿島槍遠望
餓鬼岳方面、左奥が鹿島槍、右奥が焼山・火打
燕岳シルエット、左奥に立山
【7月26日】
燕岳へ向かう
燕岳
槍穂高・大天井方面を振り返る
燕岳山頂直下から、燕山荘と常念山脈
燕岳山頂から北燕岳と針ノ木岳・立山方面
針ノ木・蓮華・鹿島槍
燕岳山頂から、水晶・真砂・野口五郎
北燕岳へ縦走開始、右奥に鹿島槍、左奥に立山も見えている
砂礫地にはコマクサの群落が点在する
コマクサ
コマクサ
北燕岳から燕岳と大天井岳
北燕岳から針ノ木・蓮華と立山
北燕岳から、・2723Pと唐沢岳、針ノ木・蓮華と後立山
北燕岳から大天井岳と槍穂高
ミヤマクワガタ
コマクサ
・2723Pと針ノ木・蓮華、立山
槍穂高連峰を振り返る
コマクサ
・2723肩からの下りで、ライチョウ親子と出逢う
ライチョウ親子
・2723肩からの下りから餓鬼岳方面
東沢岳から野口五郎岳・真砂岳方面
東沢岳から・2644Pと餓鬼岳方面
東沢岳から南沢岳・不動岳と立山方面
同上
東沢岳北側の尾根の岩峰
・2508付近の西面トラバース
キバナシャクナゲかな
崩壊斜面トラバース
岩根のトラバース
高瀬ダムのバックウォーターを俯瞰する
ケンズリ肩で振り返る
ケンズリ肩通過
ケンズリ肩付近、トラバースは続く
トラバースからケンズリ肩を振り返る
さらにトラバース
餓鬼岳小屋の近くで、クルマユリ
左岸枝沢滝
乳川白沢左岸枝沢滝
乳川白沢の滝
乳川白沢魚止滝
乳川白沢魚止滝
乳川白沢魚止滝
乳川白沢魚止滝
乳川白沢紅葉滝
乳川白沢紅葉滝

MR478_ 霞沢岳(北ア)'03-07

の表紙へ
本館トップページへ