奥穂高岳南稜(北ア)

MR236 奥穂高岳南稜(北ア)

date 1985/07/19-20 
コース 上高地〜岳沢ヒュッテ〜南稜(トリコニー)〜奥穂高岳〜ザイテングラート〜涸沢ヒュッテ
実働 第一日:2h10m、第二日:6h35m、計:8h45m。
メンバー すうじい(単独)
概要 岳沢泊、トリコニーT・U峰を経て縦走路へ
行程 =:バス・鉄道、→:山道、:溯行、\\:藪漕ぎまたは詰め

【7月19日】 晴
 新宿10:28=14:13松本14:40=15:10新島々15:15=16:25上高地16:40→18:50岳沢キャンプ場(泊)
【7月20日】 曇
 岳沢キャンプ場5:25→南稜取付6:00→2600M付近(5m休)→(5m休)→8:55トリコニー第T岩峰9:00→3010P(5m休)→11:00奥穂高岳11:20→11:40白出乗越11:45→12:45涸沢ヒュッテ(泊)
記録  涸沢定着に入るのに、いつも違ったルートを工夫したくなるのは、岳人の性か。今年は、かのウェストンが奥穂高岳に登ったルート:奥穂南稜から入山することにした。22kgの荷重は、バリエーションルートもどきを辿るには、ちと重過ぎたようで、かなり苦労させられた。だが、それなりに充実した涸沢へのアプローチを楽しめて、良かったと言えよう。

【7月19日】 晴
 午前の急行で松本へ向かう。タクシーに相乗りする人もなく、電車とバスで上高地入。涸沢定着ボランティア備品のホーキを担いだ私の姿に、すれ違うギャルが笑う。気合の2Pで、暗くなる前に、岳沢ヒュッテ着。テント場には、私一人だ。右手のゴーロ状に、僅かに流水が得られる。夜中に雨が降り、明日の登攀のことを心配する。

【7月20日】 曇
 撤収して、岳沢のゴーロを行くと、すぐに雪渓となる。扇沢出合のあたりで、クレバスが1mほどの幅で口を開けている。アイスバイル頼りに、これを越える。ここから先は、けっこう傾斜があるし、雪も硬いので、緊張する。正面に滝沢の大滝を見て、左手のルンゼ状にランディングする。2370M付近だ。

 昨夜の雨で濡れたチムニー滝や、クラック滝を越えて、このルンゼを忠実に、北へ登る。やがて3本に分かれるルンゼの中央を登れば、2600M付近で、スラブ状の岩壁の下の草付に出てタルむ。草付を横にトラバースする踏跡があり、これを右へ辿ってスラブ状岩壁を巻く。岩登りの得意なパーティは、岩壁を中央突破すべきところだ。草付の踏跡は、やがて這松と岳樺のターザン登りとなり、ついには4m程の岩壁に突き当たる。

 ルートは2つあって、右端の高度感あるフェースを登るか、左のチムニーを越えるかだ。身軽であれば、フェースであろうが、重荷ゆえ、空身でチムニーを登り、ザイルで荷揚げすることにする。苦労してチムニーを越え、不安定な這松の斜面でセルフビレイして、ザックを引き上げるが、チムニーに引っ掛かって大いに難渋する。這松の尾根に出て、左手からの踏跡を合わせて行くと、再び草付となり、踏跡は尾根の滝沢側の斜面に入る。ここで2度目のタルミ。

 さらに登って、再び尾根上に乗ると、やがて快適な岩尾根となる。花崗岩の大岩の間にルートを探しながら、登ってゆくと、高度感のあるトリコニー第T岩峰頂上に至る。2800M位か。天気は、あい変わらずガスっている。3度目のタルミを入れてから、いったん下って、第U岩峰へ登り返す。第V岩峰は、南稜から外れているので、パスして、北上するガレ尾根を登る。途中、滝沢側をトラバースするいい加減な踏跡を辿って、少しばかり怖い思いをする。次のホールドに手を伸ばしたら、そこに雷鳥のペアがいて、ひんしゅく(?)を買ったりもする。

 3010Pで4度目のタルミを入れ、次の岩峰まで登り返してみると、これが浮石だらけのボロボロ。滝沢側はオーバーハングしており、下は雪渓の詰まった急なルンゼだ。尾根に忠実に行くには、ナイフリッジを辿り、残置ハーケンで懸垂だろう。大きな岩が動いて落ちていった。まいったね。お祈りしながら、扇沢側へ、ダマシのクライムダウン。岩峰の下をトラバースして、「忠実に行っていたら最後の下りはどうなっていたのかな?」と見れば、残置ハーケンがいくつも打ってある。幅広のガレ尾根に出て、最後の100m程をあえぎ登れば、南稜の頭を巻いて、吊尾根の縦走路に出る。

 あとは、僅かの登りで、ミーハーの香りのする奥穂頂上だ。登攀具を仕舞って、白出乗越へ下る。穂高山荘の無線電話が工事中なので、涸沢ヒュッテへの伝言を依頼して、そのままザイテンを下る。ザイテンの途中で、S師匠に出会う。下の方の雪田でグリセードをするが、韓国の登山者が、私のザックのホーキを借りて、うまくグリセっていた。大いに満足し、疲れ果ててヒュッテに到着。

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奥穂高岳南稜'85-07

MR237_ 北穂池・北穂高岳東稜(北ア)'85-07

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