真川裏金山谷・金山・金山谷下降・鍋倉谷・火打山(頸城)

date 1984/09/20-24(夜行4泊5日) 
コース 笹ヶ峰〜杉野沢橋〜裏金山谷溯行〜金山〜神ノ田圃〜金山谷下降〜真川本流下降〜鍋倉谷溯行〜天狗ノ庭〜火打山〜黒沢池〜笹ヶ峰
実働 第一日:2h45m、第二日:5h15m、第三日:7h50m、第四日:7h45m、第五日:4h50m、計:28h25m。
メンバー Hd君、すうじい
概要 裏金山谷の豊富な雪渓、金山山頂湿原草紅葉、火打山高谷池の池塘の鴨と草紅葉。
行程 =:バス・タクシー・車・鉄道、→:山道、:溯行、\\:藪漕ぎまたは詰め
【9月20日】 曇のち霧雨
上野23:58=6:15妙高高原7:57=8:40笹ヶ峰9:00→10:45金山谷出合10:55→11:15裏金山谷出合
11:3512:15スラブ壁黒滑ゴルジュ先BP(泊)

【9月21日】 曇のち晴
BP 5:506:45巨岩帯先雪渓100m下7:007:55 1720M二俣先8:059:20 1860M二俣9:4010:00
中俣出合10:1511:10水汲み11:20\\11:35縦走路11:40→12:00金山12:10→12:30神ノ田圃(泊)

【9月22日】 快晴
神ノ田圃5:40→\\二俣6:507:30 10m3条スダレ滝下7:508:50金山谷ゴルジュ上9:05\\
10:00ゴルジュ下10:3010:35登山道10:5011:30真川本流ゴルジュ下12:05鍋倉谷出合12:30
12:45休13:0013:15ヒコサの滝下13:55\\15:30左岸台地15:40\\16:30第一ゴルジュ上BP(泊)

【9月23日】 快晴
第一ゴルジュ上BP 6:257:00 4m幅広滝上7:057:45 BP 8:008:30惣兵衛落谷出合8:55
高谷尻谷出合9:4510:00第二ゴルジュ5m滝下10:3012:00第二ゴルジュ出口の小滝上12:25
13:35第三ゴルジュ2段12m噴水下13:5015:10 10mトヨ上15:2516:20 3段7m上1880M BP(泊)

【9月24日】 快晴
1880M BP 6:106:40迷いの枝沢6:50\\7:35天狗ノ庭7:50→8:40火打山9:30→9:55天狗ノ庭
10:10→10:25高谷池10:40→11:15黒沢池ヒュッテ11:20→12:50笹ヶ峰13:00=13:55妙高高原15:35
=戸倉=20:00上野
記録  鍋倉谷を溯って、紅葉の火打山に至るというコースを、幾度、頭の中で描いてみたことだろう。湿原の草紅葉は、まさに頸城のイメージ、そのものなのであった。9月下旬でも、しっかり残る雪渓。そのそばで、芽吹いたばかりの草があり、同時に紅葉する草木がある。神ノ田圃での一夜も、忘れることは無いだろう。

【9月20日】 曇のち霧雨
 雨降る中、上野駅へと向かう。急行「妙高」は、一人4席占領。妙高高原駅から、始発バスに乗り、笹ヶ峰バス停に着く頃には、雨も上がるが、ヘアピンカーブの連続で、気分が悪くなる。

 杉野沢橋の先から、真川右岸の登山道を辿る。伐採のケーブルの下を潜り、一箇所崩壊地のトラバースをして、滝沢を渡る。ここから登山道は、約100mの急登の後、台地状に乗る。やや悪い箇所を交えたトラバース道を辿って、金山谷へ下降し、食糧を一部デポする。

 道は再び登りとなり、隣の裏金山谷の出合付近に出る。溯行準備をして、川原を行くと、釜を持つ2段の滝がある。左岸をヘツリ気味に、突破する。スラブ壁の黒滑ゴルジュを抜けると、ビバーク適地があり、左岸の川原に、サイトを決める。

 正午過ぎだが、この先のゴルジュ通過に掛かる時間の、見当が付かないからだ。実に良いサイトで、流木も豊富。流水は、やや白く濁り、この沢には魚影は無いようだ。夕方、霧雨が降ったり止んだりする。

【9月21日】 曇のち晴
 早めにサイトを発ち、ゴーロを行くと、両岸スラブ壁の黒滑ゴルジュとなり、スノーブリッジ(S.B.)が現れる。S.B.10mの下を潜ると、15mトヨスダレ滝が行く手を遮る。右のカンテを登って、落口に出る。滑滝を越えて行くと、白滝2段10mが美しい。

 巨岩帯入口の大岩3mは、左のチムニー状を登る。雪渓100mの上を歩いて、沢は左に折れ、10m滝がある。左岸の草付からブッシュを漕いで枝沢に下降し、6m滝の落口にトラバースする。8m2条左チムニーは、右岸を小さく巻く。

 この先、雪渓となり、1720M二俣では、左右とも雪渓が続く。左俣を見送って、右に入る。右岸から涸棚の懸かる辺りで、左岸に上がってタルむ。雪渓が400mほど続いた所で、雪渓は切れるが、本流の滝へは取り付けない。そこで、左岸のルンゼへ盛り上がる雪を登り、草付を直上して、小尾根を越え、懸垂20mで本流へ下降する。

 ゴルジュはヘアピン状に屈曲し、また雪渓となる。雪渓150mの上を行くと、左壁ボロボロの滝となる。雪の上・下各10mで、計20mの滝だ。ボロボロの左壁に取り付き、騙し騙し登り、落口の上に出る。スケールの小さなゴルジュは、1860Mの(1:1)二俣となる。右俣は、雪渓50mを控え、その奥に15m滝を懸ける。左は、6mスダレの滑滝となっている。

 左に入って行くと、また雪渓200mで、上を歩く。正面にガレを見て、沢が左、右と屈曲すると、右岸から左沢が5m滝で落ち合い、1930M二俣となる。右沢は伏流のゴーロである。この辺りの草付には、ハクサンフウロ・クルマユリが花を咲かせ、その後ろでは草紅葉が始まっている。

 伏流の右沢を行くと、S.B.10mの下を潜り、小滝を幾つか越える。右岸に枝沢を分け、雪渓50mの上から、10m滝の左岸のボロ壁を登ってトラバース。やがて水が涸れ、西へ続くボサの掛かったルンゼをツメ上げると、ザレたスラブに出る。弱点を拾いながら、バランスで登り、お花畑から縦走路に出る。

 金山までの縦走路は、所々崩れかけた所もあるが、一応しっかり踏まれており、中俣左沢源頭の雪渓を左手に見ながら、東面をトラバースして行く。金山山頂で、道は二つに分かれ、雨飾山方面への道に比べ、あまり踏まれていない天狗原山方面への道に入る。

 クロマメノキの実を口に入れ、甘酸っぱい味覚を楽しみながら、あたりの紅葉に目を遣る。神ノ田圃への踏跡は、時々見失いがちだ。神ノ田圃の草紅葉の中に立った時、既に金山谷を下降する気が失せていた。湿原の中の踏跡は、極めて薄い。湿原の片隅をサイトにする。水場は、金山谷源頭、南へ下って4分。

 高妻山が見えたので、他の山も見ようと思い、北側の台地へと登る。すると、そこにも秘められた湿原があった。台地から展望する、神ノ田圃の草紅葉と天狗原山の紅葉。高妻・乙妻・妙高・火打・焼山・・・。夕暮れの風景の中に、しばし立ち尽くす二人であった。

【9月22日】 快晴
 今日も早めに撤収して、金山谷の平凡な流れを下降して行く。6mスダレ2条を、右岸から巻くと、まもなく二俣である。10m3条も、右岸からガレ場の倒木頼りに下降する。出合近くのゴルジュは、10mS字ヒョングリトヨナメが下降できないので、右岸のルンゼ状から、大高巻きを強いられる。小尾根沿いに下降して、ゴルジュの下に立つ。

 滑を下って行くと、登山道が横切り、食糧デポを回収して、真川本流に出合う。平凡な真川本流を下降して行くと、黒いスラブ壁のゴルジュとなり、巨岩が川にせり出して、岩小舎を作っている。滝沢出合から、鍋倉谷出合まで、広大な川原が続く。

 鍋倉谷に入ってゴーロを行くと、幅広のチョコレート色の滑床があり、沢は左に折れる。期待に胸膨らませて、第一ゴルジュのヒコサノ滝2段30mを目のあたりにすれば、凄い迫力だ。散々ルートを検討したが、Hd君が積極的なのに対し、すうじいが消極的だったので、高巻くことになる。これはやはり、チャレンジすべきだったようだ。

 左岸の悪い草付を直上する。木が出てきても、なお急登が続き、悪い。何とかザイルを出すが、無能なことに、登攀具が殆どザックの中のため、苦労する。やっとのことで、左岸台地の猛烈なネマガリダケの藪の中に入って、タルむ。

 そのまま、第一ゴルジュの左岸台地の端を、ネマガリの藪を漕ぎつつ北上するが、下降点が見付からない。沢が北東に大きく曲がったあたりで、思い切って下降し、無事沢に降りる。急いでサイトを捜す。夜、小雨が降る。

【9月23日】 快晴
 今朝は、撤収後、まずヒコサノ滝上の第一ゴルジュを踏査する。ヘツリの連続で、4m幅広滝の上まで下降する。どうやら、小さく巻けば、ここに降りてくるらしい。引き返して荷を背負い、平凡なゴーロを溯る。

 惣兵衛落谷出合では、本流の水流が二分しており、惣兵衛落谷を、本流と思ってしまいそうだ。(1:1)の高谷尻谷を左岸に見送って、小滝を越えて行くと、第二ゴルジュとなる。火山特有の泥滑ゴルジュだ。4m滝を左壁から越すと、5mトヨ状が立ち塞がる。

 ザイルを出し、すうじいトップで、左岸のカンテ状フェースの細かいホールドを拾って、斜バンドからカンテを回り込んで、滝上に出る。続く6m滝左壁フェースは、空身のHd君トップで、フェースの細かいホールドを拾っての登りとなる。その上の小滝は釜が深く、すうじいが右岸をA0で振子状トラバース。上からザイルを投げて、Hd君は水線右を登る。

 この先、明るいスラブ壁のゴルジュを抜け、火打山の見える川原を行けば、幅広の滑に歓声を上げる。S.B.10mの下を潜って、続くブロックを右岸から巻く。中央に針峰を持つ、左岸の大スラブ壁の下にも、ブロックが残り、右岸を巻く。

 巨岩帯の石滝を越えて行くと、第三ゴルジュとなり、2段12m噴水状、10mトヨが連続して懸かる。まず、下段10mは、ホールド十分の左壁を登り、上段2mはホールドが乏しいので、ザイルを出す。すうじいトップでフリクションを効かせて水流を跨ぎ、突っ張りのチムニー登りで落口へ。

 10mトヨは、大変そうなので、左岸を巻くことにする。ザイルを出し、Hd君トップで、急な草付を登る。ネマガリタケを漕いで、滝上へ下降する。キイチゴが真っ赤な大粒の実を付けており、口に入れる。

 ゴルジュを溯ると、一旦開けてから、狭くて両岸が立って暗い、ゴルジュらしいゴルジュになる。第三ゴルジュ出口の5mCSは、左壁をトラバースすれば落口に出られそうだが、トラバース最初のワンムーブがイヤらしく、敬遠。右岸を簡単に巻ける。

 ゴーロを少し行けば、奥に火打山方面が姿を見せる、3段7m滝だ。左岸を小さく巻いて、中段で水流を渡る。これを越すと、右岸から、奥に涸棚の見える、大量の押し出しのある伏流の沢が出合う。源頭の紅葉の眺めも良いので、1880M付近をサイトに決定する。4回目の焚火は、盛大なものになる。蚊が多いのが難点。

【9月24日】 快晴
 ゴーロを行く。ブロックがまだ残る。苔生した石滝が連続し、やがて両岸から灌木が流れを覆うようになる。火打山から流れる沢との出合が判りにくく、一旦迷い込んで引き返す。本流を忠実に溯れば、天狗ノ庭に飛び出す。

 池に泳ぐ鴨の群が、可愛らしい。美しい光景に、しばし見とれる。池塘に映る逆さ火打をカメラに収めた後、空身で、火打山のピークハントに出掛ける。登り道では、ナナカマドの赤い実が、朝日に照らされて、輝いている。真っ青な空に、輝く紅葉。足元の落葉のカサカサいう音も、秋山を感じさせてくれる。50分ほどで、火打山頂だ。

 10人ほどの先客が居る。焼山から、ゴォーゴォーと音が聞こえて、不気味だ。こちらから見た妙高山は、ちょっと形が悪い。高妻山や後立山連峰、槍穂高、南ア、富士山、上信国境の山々、越後の山々が、ずらっと見渡せる。「あれが岩菅か?あっちが四阿か?」「焼山北面溶岩台地は、禁断の山スキーコースだな」「あの尾根、良いんじゃない?」などと、十分に楽しむ。みつ豆の缶詰を開けて、味わう。

 下りは、25分で天狗ノ庭。高谷池、黒沢池、と湿原の草紅葉を楽しんだ後、笹ヶ峰のバス停目指し駈け下る。午後1時のバスに、十分間に合い、再び気持ち悪くなるバスに揺られて、妙高高原駅へ。メチャ混みの特急に乗り、戸倉で急行に乗り換えたら、上野まで坐って行けた。

溯行図とアルバムブログ

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その1:
裏金山谷T
真川裏金山谷
溯行図
15mトヨスダレ 2段10m白岩滝
その2:
裏金山谷U
巨岩帯先雪渓 裏金山谷の雪渓 雪渓脇花畑と草紅葉 裏金山谷源頭 金山付近の縦走路 神ノ田圃の草紅葉
その3:
金山谷下降
真川金山谷
溯行図(下降)
10m3条スダレ ゴルジュ3段6m 真川本流
その4:
鍋倉谷ヒコサノ滝
真川鍋倉谷
溯行図T
ヒコサノ滝 ヒコサノ滝
その5:
鍋倉谷第一ゴルジュ
〜第二ゴルジュ
第一ゴルジュ 第二ゴルジュ 第二ゴルジュ 6m滝左壁フェース 6m滝左壁フェース
その6:
鍋倉谷第三ゴルジュ
真川鍋倉谷
溯行図U
火打山とゴーロ 黒滑? 第三ゴルジュ入口 2段12m噴水 10mトヨ上から俯瞰
その7:
天狗ノ庭〜火打山
天狗ノ庭 天狗ノ庭 天狗ノ庭 天狗ノ庭 天狗ノ庭 天狗ノ庭を俯瞰
黒沢池の湿原

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