泙川三重泉沢アザミ沢左俣左沢・笠ヶ岳・錫ヶ岳・奥白根山(足尾・日光)

MR177 泙川三重泉沢アザミ沢左俣左沢・笠ヶ岳・錫ヶ岳・奥白根山(足尾・日光)

date 1983/9/15-18 
コース 切通し〜奈良〜三重泉橋〜三重泉沢〜アザミ沢左俣左沢〜笠ヶ岳〜錫ヶ岳〜五色沼避難小屋〜奥白根山〜弥陀ヶ池〜五色山〜前白根山〜国体コース〜湯元
実働 第1日:5h40m、第2日:7h30m、第3日:9h10m、第4日:3h40m、計:26h00m。
メンバー すうじい(単独)
概要 '83泙川シリーズ第三弾、三林班沢から笠ヶ岳・錫ヶ岳経由で奥白根山まで縦走。
行程 =:バス・鉄道、→:山道、:溯行、\\:藪漕ぎ
【9月15日】 曇時々晴
沼田8:40=切通し9:40→奈良11:10→三重泉橋12:4013:10川原14:2015:20ゴルジュA入口15:4016:00ゴルジュA高巻道(気象通報)16:2016:50ゴルジュB入口(泊)

【9月16日】 曇
ゴルジュB入口 7:55ゴルジュC出口9:45滝ノ沢出合11:2012:35広河原12:45二俣(アザミ沢出合)12:5015:35 1490M枝沢出合(泊)

【9月17日】 快晴のちガス
1490M枝沢出合7:157:55 1625M二俣8:058:35 1770M二俣9:009:15 3段20m滝9:35\\稜線11:25\\11:45笠ヶ岳11:55\\13:50錫ヶ岳14:00\\→2394P 16:50→17:40五色沼避難小屋(泊)

【9月18日】 ガスのち晴
五色沼避難小屋5:40→奥白根山6:30→7:00弥陀ヶ池7:55→五色山8:30→8:55前白根山9:05→10:00湯元スキー場10:15→湯元10:40=11:50東武日光
記録  足尾の泙川流域に、二ヶ月ぶりの入渓だ。第3弾は、三重泉(さんじゅうぜん)沢の左俣であるアザミ沢に的を絞った。三重泉橋から滝ノ沢出合までは、ゴルジュの高巻きに苦労し、広河原先の二俣(アザミ沢出合)までは川原歩き、アザミ沢自体はやや平凡だが、滑床の美しい沢であった。笠ヶ岳〜錫ヶ岳〜日光白根の縦走路は、予想外に薮化しており、入山者の少ないことが窺われる。三重泉沢に入ってから、避難小屋に到着するまで、誰にも出会わなかったので、丸3日間、静かな足尾の自然に浸ることができた。

【9月15日】 曇時々晴
 始発の電車に乗れなかったので、切通しに9:40着。3時間の林道歩きで、三重泉橋に至る。川原に降りて少し進み、巨岩ゴーロ帯で、ザックを置いて釣り糸を垂れるも魚影ナシ。地形図の滝記号の実態を空身で偵察すれば、二段の堰堤のことだった。その先もサイトはありそうだと判断し、ザックを取りに戻る。

 右岸から、10m、15m、・・・の滝を懸ける枝沢が出合い、地形図の第二の滝記号のあたりには、ちょっとしたゴルジュと小滝があるのみで、簡単に通過できる。少し行くと、「ゴルジュA(以下仮称)」で、8mのトロの奥に、滑小滝、4m2条CS滝が見え、越せそうもないので、左岸の踏跡を辿って高巻く。木の根頼りでやや悪く、小尾根に乗ったあたりで、気象通報の時間となる。ゴルジュの側壁がまだ続くので、さらにトラバースをやらされる。沢に降りると、間もなく「ゴルジュB」の入口で、左岸のちょっとした川原を整地して、ツェルトを張る。

【9月16日】 曇
 撤収後、まず右岸の巻き道を偵察する。浅瀬を渡り、斜上するバンドを登って行く。「ゴルジュB」は、6m石滝CS、6mCS滝・・・と、5-10m級の滝が何本も続き、通過はかなり困難な様子だ。右岸の巻き道はかなり悪く、荷を背負っては危険と断じて引き返す。

 次に、左岸の巻き道を偵察する。これは危険が無く、バンド下からチムニーを下って、下のバンドに降りる所だけが問題だと見て、荷を取りに戻る。実際、チムニーから下のバンドへの下降が、ちょっとややこしかった。

 右岸から巨岩の押し出しがあって、巨岩によるトンネル状の6mCS滝を左から越すと、沢はS字状に大きく屈曲し、「ゴルジュC」となる。ここもやはり、左岸を巻く。最初の4mCS滝の上に懸垂下降するのが正解のようにも見えた(実は第4弾で判ったことだが、ここで降りてしまうと、その上の3mCS大釜で大いに苦労することになるのだ)が、さらに大高巻きをして、大いに苦労する。踏跡は薄く、悪い。懸垂下降20m、10mと二回やって沢へ降りる(第6弾では、ほぼ水平にトラバースを続け、岩壁に突き当たってから、懸垂下降5m一回で済んでいる)。

 右岸が岩壁になっている4mCS滝を越すと、「トロの門」だ。両岸の側壁が中央に迫り、深そうなトロの奥に小滝が見え、泳げば突破出来そうだが、ザックの奥に忍ばせてあるシュラフのことが脳裡を過ぎり、左岸を巻く。更に行くと、右岸に大岩のある6m滝があって、どう越すのか悩む。「ゴルジュD」の入口である。

 左岸のバンドをトラバースすることにするが、一箇所、2m程降りねばならない。そこの通過が、困難そうだ。結局、ハーケン1、シュリンゲ1を残置して、3mの懸垂下降。右岸に渡って、二重滝5mCS大釜を巻き、2条4m滝を越えて、ゴルジュは終わる。

 間もなく、右岸から滝ノ沢が(1:3)で出合う。滝ノ沢は、出合の様子からして、溯行意欲をそそられる。このあと、川原とゴーロが続き、底の抜けた堰堤を越すと、広河原である。古いワイヤーが数本、空中を渡っていて、吊橋の残骸であることを示している。これが、平滝から荷鞍峠を越えてきた山道に続いているのであろう。

 少し行くと二俣で、右俣は更にゴーロが続き、左俣はゴルジュ状の滑床が続く。左俣のアザミ沢に入る。やっと、快適な沢登りを味わえる。しかし、しばらく行くと、再び荒れたゴーロ帯となる。右岸に岩小舎を利用した仮小屋のある辺りは、川原が発達し、快適なサイトが得られそうだが、さらに進む。右岸から、8m、5mの滝を懸ける枝沢が出合い、沢が左に大きく曲がって、ゴーロを北上すると、また川原が発達する。1490M枝沢出合の手前で、行動を打ち切る。

【9月17日】 快晴のちガス
 今朝は快晴だ。1490M枝沢を見送り、荒れた川原を先へ急ぐと、滑床となり、(1:1)の1625M二俣に至る。左俣の出合の4m滝を左岸からトラバース。その上も滑床が続く。美しい滑床を快適に溯行して行くと、左沢:7x10mスダレ、右沢:5mスダレの両門の滝となっている(2:3)の1770M二俣に達する。

 左沢に入って、なおも滑床を溯る。10mスダレ滝は、左側の枝沢の滝からトラバース気味に登る。8m滑滝をたやすく越えて行くと、左岸がボロボロの岩壁で、正面に3段20m滝スダレ状、左手に12mスダレ滝の懸かる(1:3)の落合がある。12mスダレ滝の水流右を攀り、20m滝の下段の上にトラバースしようとするが、悪いので、そのまま12mスダレ滝を越えて、左の枝沢に入り、中間尾根を越えて、20m滝の上へと下降する。結局、楽しみにしていた20m滝は、高巻いてしまったのだ。

 めっきり薮っぽくなった流れを、さらに溯り、8m階段状滝を越すと、丸太を筏状に組んだものが流れを覆っている。鉄砲の跡であろうか。水を2L汲んで先へ進み、やがて水は涸れる。草地から笹藪へとブッシュを漕いで、笠ヶ岳・錫ヶ岳間の稜線へ出る。

 そのまま、稜線の踏跡を辿って、笠ヶ岳をハントし、引き返して錫ヶ岳へと向かう。錫ヶ岳〜奥白根山の県境縦走路は、予想外に踏まれておらず、針葉樹の幼生やスズタケに悩まされる。2170Mコル付近に、西へ水場1分の幕営適地がある。2296Pはベチャンコで、樹林が密生し、一度踏跡を外して、大いに苦労する。2296P〜2394P間のスズタケトラバース登りは、一日の疲れも出てきて、泣きたくなるほどの辛さである。

 昨年11月、今年2月にお馴染みの2385Pまで来れば、もう大丈夫。次のピョコタンから真っ直ぐ下れば、五色沼避難小屋のすぐ近くに出る。小屋には20人ほど先客がいたが、寝場所を確保でき、快適な夜を迎える。

【9月18日】 ガスのち晴
 朝食は、カステラにお茶だけで、朝霧をついて出発。1Pで奥白根山頂。そのまま北へ下って、弥陀ヶ池に至る。池の水でラーメンを作って食べる。地形図の山道記号の踏跡は、全くの廃道で、すぐに消えるが、根性で藪漕ぎする。五色山から前白根山に至る頃、晴れてきて、ちょっと悔しい。国体コースで湯元に下るが、途中、樹林帯にもかかわらず、浮き石の多い所があり、素人集団と擦れ違ったので、慌ててヘルメットを着用する。

 バス停に着くと、すぐに東武日光行のバスが出る。1時間電車待ちして、帰京する。

アルバム(ブログ)

概念図・溯行図と写真はブログにあります
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その1:
三重泉沢下部ゴルジュ
概念図および
下部ゴルジュ
詳細溯行図
三重泉沢
ゴルジュA入口
その2:
滝ノ沢出合〜
アザミ沢左俣左沢
三重泉沢アザミ沢
溯行図
1770M二俣 1770M二俣
左沢7x10m滑
左沢3段20m 左沢3段20m
その3:
笠ヶ岳・錫ヶ岳・奥白根山
ここはどこ?
薮稜線にて
弥陀ヶ池 弥陀ヶ池 弥陀ヶ池 弥陀ヶ池
弥陀ヶ池と
奥白根山
弥陀ヶ池 五色山より
奥白根山
五色山より
白根隠山

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