白馬乗鞍岳スキー登山(北ア白馬)

date 1983/2/19 
コース 親の原〜栂池スキー場〜神ノ田圃(早大小屋)〜成城大小屋〜天狗原〜白馬乗鞍岳(往復)
実働 登り:5h45m、下り:1h20m、計:7h05m。
メンバー すうじい(単独)
概要 スキー15、単独で風雪の白馬乗鞍から深雪滑降。
行程 →:ツボ足、:シール、**:アイゼン、:スキー

【2月19日】 雪(天狗原から上は風雪)
白嶺荘7:159:05 1650M林道ヘアピン9:1010:30成城大小屋10:4512:20天狗原・2204祠12:3513:35乗鞍岳13:50天狗原・2204祠14:10成城大小屋14:301650M林道ヘアピン14:4515:10白嶺荘
記録  某大スキー部OBの好意で、栂池親の原においてクラスメイト7人参加のスキー合宿があり、一日だけ抜け出して、白馬乗鞍スキー登山を単独で行った。

【2月19日】 雪(天狗原から上は風雪)
 目を覚ませば、既に6時を過ぎている。しまった。雪は降っているようだし、中止しようか。でも、とりあえず栂池までは行ってみようと決意して、食堂へ降りて準備する。朝の食事当番が準備を始める頃、宿を発つ。

 人のいないピステを、シールでひたすら登る。ゴンドラリフトは、料金が高いので、もちろん無視する。ピステを半分登った頃、ゴンドラが動き出し、不快である。林道伝いに、ハンノキゲレンデへトラバースして、さらにピステをシール登高。スキーヤーが気持ち良さそうに、朝の新雪を滑降してくる。栂ノ森ゲレンデのペアリフトの下を潜って、1650M林道ヘアピンに至るまで、約2時間のピステ登りを続けたわけだ。

 この先、トレースは無く、シールでラッセルして行く。神ノ田圃の直下で林道を離れ、苦しいラッセル登高の後、気持ちの良い神ノ田圃の雪原に出る。早大小屋の横を通って、再び林道沿いに進み、また右手の急な尾根状に取付いて斜登高。

 シールのテールが剥がれたので、ガムテープで補修していると、10人ほどのパーティが沢沿いに登っているのが見えた。負けちゃいけねえ、とまた頑張る。林道沿いに成城小屋まで行き、小屋横で小休止。小屋の乗っている尾根上を登って行く、例の10人パーティが右手の沢沿いに先行している他に、2人パーティが続いている。

 尾根が広い雪の斜面に吸収されるあたりから、帰路を意識して進む。後続の2人パーティは、ここから先に進む気は無いようだ。10人パーティの登高は敏速で、全く追付けない。何度となく「ズリ」をやりながら、天狗原への急登を続ける。所々に、赤布竿が残置してある。

 やっと天狗原の端に立ち、持参の赤布ストックを1本立てる。天狗原は遮るものとて無く、地吹雪の世界だ。時々視界が利く瞬間に見える赤布竿を頼りに、北北西に進んで、・2204祠を目指す。全くのホワイトアウトの間は、じっと立ち尽くして、視界の得られる瞬間をひたすら待つのだ。

 顔面は凍て付いて、「ガルル〜、これが厳冬じゃ!」と耐える。・2204祠には、先行の10人パーティがテントを張って中に入っている。ここで、赤布竿を3本拾う。視界は0〜20mくらいで、波がある。昨年の岩手山・八幡平での経験が、大きく物を言う。

 よし、行くぞ。ここからは、ひたすら西へ登れば、乗鞍だ。コンパスと赤布竿のみが、全てだ。残置赤布竿を最大限利用して、西へ西への忠実行動。しばらく平坦な雪原だったが、やがて深雪急登となる。

 今日の乗鞍は、自分ひとり。ドジを踏めば、まず助からない。ガスと風雪とで、視界は0〜10m。拾った赤布竿で、ルートを補強して進む。ジグザグの斜登高ゆえ、真西の方向性を確保するのが難しい。風はますます強く、雪面はクラストし、シュカブラも現れる。山頂が近そうだと思い、高度計を見れば、2380を示している。残置赤布竿も見当たらないので、持参のダブル赤布ストックを1本立てる。これを立てておいたのが、あとで大いに助かることになる。

 やがて、真西は斜面を左へトラバースする向きとなり、ガリガリにクラストしたシュカブラ帯を斜登する。ハイマツと岩々が現れ、どうやら乗鞍の三角点付近に出たらしい。辺りは広々とした平坦地で、現在位置にほぼ確信を持つ。

 強風の中で、苦労してシールを外し、踵を固定する。さてさてうまく下れるかしら。一度、シールを入れた袋を飛ばされそうになり、大汗をかく。先程のシュカブラ帯を、慎重に斜め横滑りし、東へ横滑りで下る。そろそろ最後のダブル赤布ストックぐらいの高度だけどなあ、無理かなあ、とキョロキョロすると、なんと5mほど南側に、あの懐かしいダブル赤布がバタめいているではないか。最大の難関を乗り切ったわけだ。

 さっそくこれを回収して、真東へ横滑りで下る。全くのホワイトアウトで、どこが上でどこが下か、動いているのか止まっているのか、皆目判らない。2-3m下っては、コンパスを振る。でも、真東へ下れば間違いない。残置赤布竿を1本、1本確かめつつ下る。

 少し視界が利くようになり、次の赤布竿が見えるようになれば、しめたものだ。シュテムで下れるようになる。次第に大胆になって、続けて滑降すれば、抵抗の少ない新雪深雪中のこと、ホワイトだらけの中、スピード感が掴めず、バランスを崩して顔から雪に突っ込む。

 やがて傾斜が緩くなり、針葉樹の緑らしきものがチラホラすると、天狗原だ。真東へ進んで、露岩の並ぶ・2204祠が視野に入れば、安心感が膨らむ。例の10人パーティのテントは既に撤収され、人影は無い。

 南東〜南南東へとルートを採り、天狗原の端の赤布ストックを回収して、これより下では風が弱まることに喜びつつ、大斜面の滑降を始める。視界はかなり利いているので、大周りのシュプールを描きつつ下る。ふと気が付けば、このスロープには、かなり沢山のシュプールが描かれている。あのあと、みんなここを滑降したに違いない。

 樹林帯に入り、成城大小屋尾根に乗ると、スキーヤーの2人パーティを追い越す。小屋からは、沢沿いに滑降し、トレースを利用して下る。早大小屋下で、林道に乗る。栂ノ森ゲレンデの音楽がうるさくなり、ヘアピンに至る。ここまで、随分長い時間が掛かったような気がするが、実際には山頂から1時間弱である。ゲレンデならば、さらにヒュンヒュンだ。登りに用いたコース通りに滑降し、僅か25分後には、宿の前で板を外していた。

スキー概念図

MR159 和田峠・霧ヶ峰スキー縦走(中信高原霧ヶ峰)'83-02

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