北穂・横尾谷左俣下降・北穂池ノ滝・北穂池(北ア)

date 2009/7/25 霧雨時々曇
コース 涸沢〜北穂高岳〜A沢ノコル〜横尾谷左俣下降〜北穂池ノ滝〜北穂池〜涸沢
実働 涸沢〜北穂池ノ滝:4h45m、北穂池ノ滝〜涸沢:3h49m、下山日:4h46m、計:13h20m。
概要 涸沢基点、キレットカール下降、奥二俣から北穂池の台地へ。
メンバー Ts君、すうじい
行程 →:山道、:溯下行、\\:藪漕ぎ・踏跡不明瞭、=:交通機関。
【7月25日】 雨時々曇
涸沢2:40→3:55鎖場上4:00→5:05北穂高小屋5:30→6:30A沢ノコル6:45\\7:40カール尻8:058:10カール尻滝8:208:45北穂池ノ滝下9:10\\北穂池ノ台地10:00\\10:20一ノ池10:30\\・2814肩11:50\\11:57東稜ノコル12:00\\12:33南稜コース合流点12:41→13:20涸沢(泊)

【7月26日】 雨時々曇
涸沢9:40→10:30屏風ノコル10:35→11:25慶応尾根11:35→12:13奥又白谷12:18→12:55新村橋13:05→14:00明神橋14:07→15:03上高地16:00=新宿
使用装備 軽登山靴、ヘルメット、E-1、三脚、ED9-18mmF4-5.6、ED18-180mmF3.5-6.3、μ-725SW、ハーネス、軽アイゼン、アイスハンマー
不用装備 8mmx30mザイル、8環
記録  当初は、下山時に「涸沢〜奥穂〜北穂〜大キレットカール尻(幕営)〜横尾谷左俣下降〜本谷橋〜横尾〜上高地」という計画であった。しかし、連日の雨と横尾本谷の増水もあって、計画を変更した。

 すなわち、下山前日に、涸沢基点での周回である。北穂池ノ滝下へは、キレットA沢ノコルからカール尻へと下降して、横尾谷左俣右沢を下る。北穂池ノ滝見物後、奥二俣から左沢へ入り、右岸枝沢涸棚右岸小尾根を木登りで登り、藪を漕いで北穂池ノ台地に出る。一ノ池を見物後、東稜ノコル越えで涸沢に戻る。

 下山日は、開通なったパノラマコースを、今年の登山者第一号として、下降した。常駐隊の方々、ヒュッテの方々、登山道の整備、ありがとうございました。

【7月25日】 雨時々曇
 夜中の0時に目が覚めた時は、土砂降りであった。それでも、予定通り、午前2時起きする。2:40涸沢を出た時は、霧雨状態であった。

 涸沢小屋横を通り、北穂高岳の南稜コースを登る。鎖場の上の梯子を越えた辺りで、小休する。次第に明るくなるが、ちと怪しい雲行きだった。雨天が続いたためか、南稜のテント場には、1張りもテントが無かった。北穂高小屋前で、大休止する。霧雨と強風の中、行動食を摂り、ハーネスを身に着ける。

 濡れた岩は、滑り易いので、慎重に下降開始。30分ほどで、飛騨泣きの核心部に入る。北穂高小屋から1時間で、A沢ノコルに到達する。ここまでは、一般コースなのだが、これからはバリエーションだ。小休して、気合を入れよう。キレットカールの雪渓は、予想以上に残っている。

 さて、意を決して、キレットカールの雪渓に足を踏み入れる。結構な傾斜がある上に、ガスで地形が判り難い。右手のガレ斜面を目指し、トラバース気味に進む。アイゼン・ピッケルが欲しいところだが、すうじいは杖、Ts君はアイスハンマーのみが頼りだ。キックステップも、軽登山靴では、今一つ効きが悪い。稜線の強風が、ここまでは吹いて来ないのが、救いである。

 何とか、雪渓右岸のガレ斜面に到達し、不安定なガレを騙しつつ下る。100mほど下ると、傾斜がかなり緩くなるので、雪渓の上を歩く。折角なので、軽アイゼンを装着してみる。やがて、カール底のモレーンと思しき岩々の累積した小山にぶち当たる。

 この小山の北側がカール尻であったような記憶があり、岩々の上に登ってみる。すると、ガスが切れてきて、一気に地形が明らかになる。北穂池ノ台地も見えている。予想通り、眼下にカール尻があった。見通しが良くなると、急に元気が出てくる。A沢ノコルから、1時間弱の下りで、カール尻に到着した。Ts君の提案で、弁当を食べることにしよう。

 休憩を終え、落差8mほどのカール尻滝を、左岸草付から巻き下る。途中、三脚を立てて、撮影する。カール尻滝下から、早くも雪渓が始まる。結構な傾斜なので、左岸の浮石ガレゴーロを下る。歩きにくい。崩れ易いガレ斜面やザレ斜面では、雪渓と斜面の合間を下る。

 奥二俣が近付くと、北穂池ノ滝が見えてきた。奥二俣左岸の不安定なザレ斜面に取り付き、撮影する。この辺りから下の雪渓は、傾斜がやや強めである。

 大キレットカール尻から、横尾谷左俣右沢を下降して、奥二俣から少し下った所が、北穂池ノ滝の落下地点である。左岸側の斜面に、辛うじて立木が生える場所を発見し、撮影場所に決める。崩れやすい斜面を、騙して横切り、三脚を立てる。

 北穂池ノ台地から伏流して吹き出す落口、そして上半分の階段状滝。下半分は、急傾斜を滑り落ちて、放物線を描く。この撮影場所に、25分いたが、あまり長居は出来ない。まだまだ、難所は続くので、そろそろ、登り返さねばならない。

 三脚を立てた立木のある展望台から、再び不安定なガレをトラバースし、さらに傾斜のある雪渓を横断して、奥二俣右岸のガレへと向かう。ほんの数分間ではあるが、かなり緊張した。ここで、北穂池ノ滝の見納めとばかり、最後の撮影をする。

 そのまま、左沢雪渓沿いに、右岸ガレを登って行くと、右岸枝沢が出合う。この頃になると、再び雨が降り出した。5年前の記憶を辿りながら、浮いた岩々を踏んで、この枝沢を登る。少し奥には、涸棚が待ち受ける。涸棚下から右岸草付を登り、右岸小尾根に取り付く。あとは、小尾根を忠実に登って行けば、20mほどの木登りで、草付緩斜面に出る。

 前回は、ここから左へとトラバースして、灌木帯を漕ぎ、最短距離で滝の落口上の伏流草地に出た。今回は、少し直進してから斜め左へと灌木帯を漕いだため、やや高い位置に出てしまった。オマケに、雨に濡れた枝葉と沢山の羽虫に襲われて、悲惨な状態になってしまった。北穂池ノ滝下からの所要時間は、前回同様50分ほどであった。

 北穂池ノ滝下から、左沢右岸枝沢涸棚右岸小尾根の木登りを経て、台地に乗り、灌木帯の藪漕ぎをして、伏流草地に出る。大規模な雪田は、健在だ。上方を見遣っても、ガスで東稜のスカイラインは見えない。一ノ池方面を目指して、雪田末端沿いに斜上しよう。

 雪田末端沿いを斜上する途中で、北穂池のうち、小さな二つほどを見掛けた。小さなコル状に出て、北穂池最大の一ノ池へと下るのであるが、ガスのため、地形が判らない。勘頼りで下ってみたら、辿り着くことが出来た。小雨の中小休するうち、ガスが切れて来た。一ノ池からは、南南東に向かって登り返すことになる。

 一ノ池から登り返しの草付は、小沢状に沿って登る。振り返ると、一ノ池が眼下に望める。草付小沢を詰めて行くと、岩々帯になる。正面の小尾根状は灌木帯となっているので、少し右手へと迂回しつつ、滑り易い岩々帯を登る。右手には、大雪田上部が見えている。さらに、左俣カールの雪渓も見える。

 岩々帯を登って行くと、次第に踏跡状が現れ、灌木帯の上部の草付小尾根に取り付くようになる。振り返ると、ここからも一ノ池が見えている。草付小尾根の途中から、傾斜のある草付斜面をトラバースし、ルンゼに入ることになる。草に埋もれた踏跡は、不明瞭なので、消えかけたペンキ印など、見落とさないようにしたい。ルンゼ手前の小尾根には、テラス状の岩があるので、目印にはなるだろう。

 草付小尾根から、テラスのあるルンゼ手前小尾根へと、草付斜面の薄い踏跡を辿る。テラスから、ルンゼ手前小尾根を少し登り気味に、ルンゼに入る。予想通り、奥には雪渓が残っている。左岸寄りを登って行く。雪渓末端から、ルンゼを俯瞰すると、草付小沢上の岩々帯が、見下ろせる。

 雪渓末端付近で、右岸側の岩に逆L字の白ペンキ印があり、雪渓を慎重に横断し、右岸小尾根に取り付く。結構不安定な登りである。右岸小尾根に乗って藪っぽい踏跡を少し登り、さらに左上方へとトラバース気味に登ると、踏跡は、真っ直ぐ登るようになる。

 この辺りからも、北穂池が見下ろせる。時折不明瞭になる踏跡を拾いながら、・2814肩を目指して登って行く。一ノ池から、1時間20分で、・2814肩付近に到達した。ここからさらに、岩々帯の踏まれていそうな所を繋いで、標高を下げずに南へとトラバースして、東稜ノコルを目指す。あまりハッキリした踏跡は無い。

 東稜ノコルからの下り始めは、草付のお花畑になっている。やがてY字ルンゼ右俣は、次第に傾斜が増し、ザレを避け、右岸沿いに慎重に下降する。3mほどの涸棚の下降が、核心部である。上部に雪渓の残る左俣を合わせ、左俣のガレを横断し、さらに右岸沿いを下る。北穂沢の雪渓を横断し、岩々帯を下り気味にトラバースして、南稜コースに合流する。

 最後の休憩を入れ、あとは涸沢へと一般登山道を下るだけだ。13:20涸沢に無事戻った。

【7月26日】 雨時々曇
 涸沢から下山する日なのだが、今朝も雨が降っている。昨日今日と、常駐隊および涸沢ヒュッテの方々が、パノラマコースの整備をして下さったということで、今回は、屏風ノコル経由で下ることにする。

 涸沢ヒュッテ下から、トラバースの道に入る。横断するいくつかのルンゼ状に、急な雪渓が残っていた。屏風ノコル付近で、作業を終えた涸沢ヒュッテの方々と擦れ違った。雨のコルで、小休する。

 コルからは、お花畑を下る。慶応尾根北側のルンゼでは、スラブ滝下に大ブロックが残る。脇には、ニッコウキスゲの群落が美しい。慶応尾根の樹林で、再び小休する。荷物が重いので、結構脚に来る。

 その後も、雨が降ったり止んだりする中、奥又白谷のゴーロ、新村橋、明神橋で小休して、上高地のバスターミナルに辿り着いた。

概念図

アルバム

涸沢小屋横の南稜コース分岐
北穂北峰
北穂高小屋
飛騨泣きの下り
飛騨泣きの下り
飛騨泣きからA沢のコルへ下る
A沢ノコルからキレットカールへ下降開始
ガレを目指して雪渓トラバース
ガレを下る
キレットカールを下る
カール尻雪田と北穂池ノ台地の雪田
左俣(キレット)カール尻
カール尻から北穂池ノ台地
カール尻滝左岸草付巻き下り
左岸草付からカール尻滝
横尾谷左俣右沢を下る
横尾谷左俣右沢雪渓を下る
奥二俣付近から北穂池ノ滝と雪渓
北穂池ノ滝と雪渓
北穂池ノ滝
北穂池ノ滝上部
北穂池ノ滝下部
奥二俣へ登り返す
奥二俣付近から北穂池ノ滝と雪渓
左沢右岸枝沢出合付近
左沢右岸枝沢に入る
左沢右岸枝沢涸棚
左沢右岸枝沢の右岸小尾根取付
小尾根の木登り
小尾根上の藪を振り返る
北穂池ノ台地に出た
北穂池ノ台地の大雪田
北穂池ノ台地の大雪田
北穂池の一つ
北穂池一ノ池
右端に見えるのが、登り返しの草付
登り返しの草付小沢から一ノ池俯瞰
草付小沢上岩々帯
北穂池ノ台地の大雪田上部と左俣(キレット)カール
草付小尾根から一ノ池俯瞰
ルンゼへ向かう草付斜面トラバース
ルンゼを登る
中央右の雪渓近くの岩に、逆L字ペンキ印のある、ルンゼ右岸取付
右岸取付からルンゼ俯瞰
・2814肩付近から北穂池ノ台地・一ノ池俯瞰
・2814肩付近
東稜ノコルへトラバース
東稜ノコルから振り返る
東稜コルからY字ルンゼ右俣俯瞰
Y字ルンゼ右俣下降
涸沢カール俯瞰
下って来たY字ルンゼ右俣
Y字ルンゼ左俣
北穂沢から振り返る
北穂沢のガレ横断し、南稜コースへ
下山日のパノラマコースから涸沢を振り返る
屏風のコルを目指して進む
屏風のコルから南面への下り
ニッコウキスゲが咲いている
ブロックが残る
慶応尾根北側ルンゼのスラブ滝下には、大量のブロックが残る

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