鬼怒沼・燕巣山・金精山(奥鬼怒・日光)

MR182 鬼怒沼・燕巣山・金精山(奥鬼怒・日光)

date 1983/11/2-5
コース 女夫淵温泉〜日光沢温泉〜鬼怒沼〜物見山〜燕巣山〜湯沢峠〜念仏平〜温泉ヶ岳〜金精峠〜金精山〜国境分岐〜中ツ曽根〜湯元
実働 第1日:3h30m、第2日:7h50m、第3日:7h55m、第4日:4h00m、計:23h15m。
メンバー すうじい(単独)
概要 快晴・凍結の鬼怒沼、藪縦走、念仏平手前の風倒木に難儀。
行程 →:山道・踏跡、\\:藪漕ぎ・倒木帯、=:バス
【11月2日】 快晴
北千住7:20=9:45新藤原10:15=女夫淵温泉12:10→13:50湯沢峠分岐(ノシ滝)14:00→鬼怒沼15:40→15:50鬼怒沼避難小屋(泊)

【11月3日】 快晴
避難小屋7:20→7:45物見山7:50\\10:00 2091P 10:10\\11:25 2098.7P 11:40\\燕巣山13:40\\2083P 15:25\\15:40同東肩BP(泊)

【11月4日】 曇
BP 7:00\\ 2045P 7:55\\8:25湯沢峠8:35\\9:45 1940最低鞍部9:55\\11:00 2018P 11:10\\12:10 2020コル12:20\\13:30 2250付近13:40\\15:00 2326P 15:10\\登山道15:20\\15:55念仏平避難小屋(泊)

【11月5日】 曇
避難小屋8:05→9:20温泉ヶ岳9:25→10:00金精峠10:30→11:05金精山11:15→国境分岐11:35→12:40中ツ曽根登山道入口12:55→13:05湯元13:20=14:37東武日光
記録  縦走の空白山域:奥鬼怒・表日光連峰に足を踏み入れようと、鬼怒沼〜女峰の縦走計画を4泊5日でと入山した。ところが、軽い1日行程の予定だった鬼怒沼〜念仏平に丸2日間を要してしまい、念仏平で縦走を断念したのだった。

 鬼怒沼スーパー林道の工事が群馬県側で始まり、話題になっているが、昨年夏の台風で被害を受けた奥鬼怒四湯の車道も、それと呼応するように整備工事が進められている。送迎マイクロバスが、各湯まで走っている。

 数日前の雪が残っており、1泊目、2泊目は、これを利用する。物見山〜念仏平の尾根は、藪好きの「ワンゲル街道」を、一定期待していたのだが、踏跡皆無であった。風倒木・針葉樹の幼生・シャクナゲ・ツツジ・スズタケetcのバリケードに行く手を阻まれ、今年ひと夏、足尾の沢で鍛えたつもりの藪漕ぎ術も、スイスイとは行かない。

 群馬・栃木県境であるにもかかわらず、踏跡無しのハードな藪縦走。中間には、湯沢峠からのエスケープルートもあるし、藪好きの諸兄にお勧めしたいコースである。念仏平近くの登山道に出てホッとしたのもつかの間、昨夏の台風による大倒木帯のジャングルジムを、平均台宜しくターザンしなければ、避難小屋には辿り着けないのであった。温泉ヶ岳は、南から道がある。

【11月2日】 快晴
 北千住7:20の東武に乗れば、昼頃女夫淵温泉に着く。送迎マイクロバスの客引きを横目に、鬼怒川沿いの遊歩道を歩く。途中、川原の温泉や、コザ池沢出合の滝などを見物しつつ、八丁ノ湯まで来ると、急に道路工事で騒がしくなる。

 ノシ滝の先で、湯沢峠〜丸沼への道を分け、鬼怒川から離れて、鬼怒沼への登りが始まる。ここまでずっと、鬼怒川右岸に工事用仮道が続いていて、不快であった。やがて、快適に登れそうなオロオソロシノ滝を、対岸に望める休み場に至る。

 さらに登ると、次第に雪が出始め、根名草山付近の霧氷が美しく望まれる。狐色の鬼怒沼は、期待通りに素敵だ。北側の赤沼は凍っている。奥白根、燧、平ヶ岳などが美しい。水場を探すのが面倒なので、小屋の裏の雪を利用する。

【11月3日】 快晴
 小屋を出て、物見山へ向かう。山頂から、いよいよ藪漕ぎ開始だが、踏跡は20m程で消えてしまう。1990コルまで、猛烈な藪下り。その先しばらく藪は薄くなるが、2091P直前で、また激藪になり、2091Pでタルむ。2098.7Pは、黒木のコブの南肩に、小さなハゲがある。藪の大海に浮かぶ孤島といった風情だ。

 昼近くなって、まだ湯沢峠までの半分にも達せず、不安になる。今日中に念仏平の先まで、などという甘読みは、脆くも崩れ去り、何とか湯沢峠まで、と祈るような気持ちだ。快晴の空の下、至仏・平ヶ岳が白く美しい。

 燕巣山まで、激藪と戦って登ると、全くの笹藪の山だ。即、笹藪漕ぎでバンバン下る。この稜線は、群馬県側が樹林、栃木県側がスズタケとなっている。樹林が発達している所は、下生えが薄くて楽である。2050コル付近で、黒っぽい獣の尻が目に入り、一瞬熊かと思って足がすくむと、そいつはゆっくり姿を消した。どうやら、カモシカだったらしい。

 2083Pは、平べったい倒木だらけの笹藪ピークだ。東肩付近の倒木の根の裏で、ビバークを決意したのが15:40。水用の雪もあって、快適だ。ツェルトに潜り込むと、意外と寝心地良い。

【11月4日】 曇
 倒木帯の笹が雪の下になっていると、朝方は雪が凍っていて、少しは楽である。2045P付近は、所々赤布・ビニテがある笹帯だ。南へ笹藪を漕げば、踏まれ跡と鉈目が湯沢峠まで続く。峠越えの道は、雪上にトレースがあり、結構人通りがあるようだ。

 2001Pから東へ下り、1940コル付近は、針葉樹の幼生と灌木と深い笹の、猛烈な藪となる。倒木の上で休憩する。「木の下にルートを捜せ」の鉄則を守り、ひたすら樹林帯を繋ぐ。しかし、風倒木帯は処置無しだ。2018P付近でタルんだ後、ま新しい鹿の蹄の跡を頼りに、ルートを捜す。幼生とシャクナゲの密藪の突破は、鹿ちゃんルートでなければ大変だ。

 大登り直前の2020コルで小休し、藪の濃い急登に備える。南南東へ100m登ると、尾根は細く緩くなり、東南東へ120m登る。針葉樹とシャクナゲ・ツツジの、密藪漕ぎだ。2250M付近でタルんだ後、2260Pに来れば、切り開きがあって、鉈目・赤ペンキが現われる。この古い踏跡は、しばらく稜線の西側をトラバースし、次に南側をトラバースして、2310M付近まで辿れるが、2326P付近の大風倒木帯によって、完全に消失してしまう。

 やっと辿り着いた2326Pで、最後の休憩をし、行動食を腹に入れた後、東へ倒木帯を突っ切れば、やがてひょっこり、根名草山からの登山道に出る。これでもうルンルンだ、と思ったのは「大甘ノ王子」で、大風倒木帯の通過に閉口しつつ、念仏平の避難小屋に至る。小屋の前後に、流水の水場がある。小屋は床に一部穴があったり、戸が外れていたりするが、雨風は十分しのげる。

【11月5日】 曇
 女峰縦走も、於呂倶羅山方面への縦走も断念して、金精峠方面へと縦走することにしたら、気が弛んだのか、大寝坊をしてしまう。胸の筋肉が痛いのは、昨日の藪漕ぎのせいだろうか。温泉ヶ岳への登路は、南側からついていて、しっかりしている。北側からも、薄い踏跡がついているようだ。南からサブして、金精峠へと下る。

 金精峠で、念仏平〜根名草山の風倒木帯にマーキングしに行くという、初老の男性1名と青年3名のパーティに出遭い、藪漕ぎビバークの話をして、柿とオニギリをご馳走になる。彼らを見送り、金精山を越えて、国境分岐からお馴染みの中ツ曽根を下る。昨年11月の奥白根偵察時に付けたマーキングが、しっかり残っている。

 湯元からのバスも、東武電車も、何故か混んでいた。疲労感と安堵感と、ちょっと「情けねえなあ」という気持ちを抱いて、一日早く無事下山したのであった。

概念図

アルバム
コザ池沢出合滝か
根名草沢の
オロオソロシノ滝
ピークは根名草山
奥白根山が見えて来た
鬼怒沼湿原
北側の赤沼は凍結している
高いのは奥白根山
赤沼越しの
根名草山・温泉ヶ岳方面
鬼怒沼山方面
湿原の北端に
赤い屋根の避難小屋があった
今宵の宿となる
物見山と燧ヶ岳
同上
2098.7は黒木のコブの南肩に小さなハゲ
藪の大海に浮かぶ孤島だ
至仏山、平ヶ岳方面が白く美しい
何処からだろうか
四郎山・燕巣山方面
同じく
燧岳方面を振り返る
温泉ヶ岳の下りから
金精山・奥白根山
温泉ヶ岳の下りから
戦場ヶ原方面
男体山と中禅寺湖
温泉ヶ岳の下りから
菅沼方面

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