泙川三重泉沢滝ノ沢右俣・片品川小立沢下降(足尾)

MR178 泙川三重泉沢滝ノ沢右俣・片品川小立沢下降(足尾)

date 1983/9/23-24 
コース 切通し〜奈良〜三重泉橋〜三重泉沢〜滝ノ沢右俣〜三ヶ峰〜小立沢下降〜小立沢林道〜築地〜立沢バス停
実働 第1日:5h45m、第2日:9h45m、計:15h30m。
メンバー すうじい(単独)
概要 '83泙川シリーズ第4弾、三重泉沢下部ゴルジュから滝ノ沢右俣の5段45m滝、藪漕ぎで三ヶ峰、小立沢下降。
行程 =:バス・鉄道、→:山道、:溯行、\\:藪漕ぎ
今回は、時計が故障したので、ラジオ放送を参考にしたため、時刻はアバウトである。

【9月23日】 晴のち曇
沼田6:30=切通し7:30→=ヒッチ=→三重泉橋9:0013:15滝ノ沢出合(泊)

【9月24日】 雨
滝ノ沢出合7:00\\三ヶ峰13:00\\→小立沢林道15:00→16:10築地16:30→立沢バス停17:05=18:10沼田
記録  前回に引き続き、三重泉沢の下部ゴルジュ帯を通り、滝ノ沢出合でビバーク。三ヶ峰まで6時間。ツメと稜線は、スズタケの藪漕ぎに苦労する。小立沢はゴーロのみの「下降用」沢で、1350M付近から林道が利用できる。滝ノ沢右俣のハイライトである5段45m滝は、楽しく直登できる。ひたすら雨に降られ、時計もイカレて、台風接近もあって、緊張感が高まった。

【9月23日】 晴のち曇
 上野発22:53高崎行には座れたが、高崎で長岡行に乗り換えると混んでいる。沼田では、尾瀬行きの人が大勢いて、夜のバスに乗るのは止めて、駅寝する。切通しでバスを降りた、もう一人の青年は、泙川三俣沢の宿堂沢を抜けると言う。林道歩きの途中、車が乗せてくれる。時計が故障しているので、三重泉橋で彼と別れるとき、時間を聞く。

 三重泉沢の下部ゴルジュ帯は、前回苦労して、ルートは良く判っているはずなのに、またまた苦労する。「ゴルジュA」では、高巻きを嫌って、巻き道の途中から、バンド上に斜めに懸垂下降10mで、4mCS2条の上に立つ。「ゴルジュB」は、前回通り、左岸の巻き道を行くが、チムニーから下のバンドに出るトラバースで足を滑らし、少々焦る。「ゴルジュC」は、高巻きの下降が不安定だったのを嫌って、4mCS滝の上方から斜めに懸垂下降する。懸垂10m。

 ところが、その上の3mCS大釜は、フリーで登れそうなところがない。釜の右から接近し、途中泳いで大CSの下まで来る。右壁のハングにあるリスに、立ち泳ぎをしながら、下からハーケンを打ち込み、シュリンゲに足をかけ、大CSにあるリスに、もう1本ハーケンを叩き込む。これにもシュリンゲを付けるが、この上に乗って次が行かない。一旦釜へ降り、右壁のハーケンを回収し、大CSのシュリンゲの上に立ち、もう1本のハーケンを打ち足してホールドにして、やっとのことで、大CSと右壁の間にズリ上がる。人工の練習も必要ですなあ。ハーケンを全て回収して、先へ行く。

 「ゴルジュD」は、前回残置したハーケン・シュリンゲを利用し、ザイルをホールドにしてクライムダウンする。滝ノ沢出合に13:15着。整地してツェルトを張り、薪・柴を集める。焚火の炎を眺めていると、秋らしい寂寥感がこみ上げてくる。早めに寝る。

【9月24日】 雨
 昨夜から降り出した雨は、止みそうもない。ビショ濡れのツェルトを撤収しながら、今夜は絶対に布団の上で寝るぞ、と決意する。滝ノ沢は出合い付近に滝が連続するが、5m階段滝を越した辺りから、ひたすらゴーロが続く。途中、左岸に岩小舎があって、雨の中のタルミに大助かりだ。

 滑床に続く6mスダレ滝を越すと、右岸から15m程の滝が懸かる。さらに右岸からルンゼ状の枝沢が出合うと、10m滝の上に35m2条滝が現れる。35m滝の水線左は、OHして洞状になっている。10m滝手前の左岸ルンゼ沿いの踏跡を辿って高巻く。2段12m滑滝の上に降りる。奥に100mの大滝を秘めるという左俣が(1:3)の水量比で出合い、黄褐色の滑床の続く右俣へ入る。再びゴーロとなり、ウンザリする頃、5m、3mの二段滝が現れる。

 やがて、大岩の奥に、5段45m滝が姿を見せる。第一段15m3条は、左のカンテを登る。第二段12mトヨ状も、左のカンテを慎重に登る。第三段5mトヨ状は、水流を渡って右カンテを登るのだが、ここが最も高度感に富む。第四段8mスダレは、水線右のやや細かいホールドを拾って攀るが、高度感は乏しい。第五段5mは、どうと言うこともなく、右を登る。傾斜が比較的緩いのと、明確に段になっていることで、恐怖感無く、快適な直登が楽しめる。

 右岸から層状節理のナメの(1:3)の枝沢が出合うと、すぐに左岸から(3:1)の枝沢が出合う。この出合の左岸には、ビニールシートで屋根を葺いた仮小屋があり、利用できそうだ。出合の流倒木を巻くと、すぐに10m滑滝の上に水を落とす15m滝にぶつかる。シャワーを浴びて水線左を攀ることも、不可能ではなさそうだが、左壁から巻く。

 あとは、沢床が低く、薮っぽくない方を選んで行けば、白いザレ(軽石pamis fall?)になり、スズタケの薮と化す。あとは、踏跡無しのスズタケ漕ぎが続く。やっと樹林帯に入り、薮が薄くなるが、稜線に出ると、再び猛烈なスズタケ藪漕ぎとなる。三ヶ峰東峰付近からは、鹿道が利用できる。三ヶ峰の三角点は、どうしても見付からない。

 この辺は二重山稜になっていて、踏跡は、三角点ピークから西方へのびる尾根を少し下り、北西の窪状へ下って、北側の尾根へ乗り換えている。窪状でラジオを聴くと、丁度13:00だ。窪状を西北西へ下るうち、クボミは消え、鹿道が北西へとトラバース気味に下って行くのを辿る。

 やがて、泥岩のスラブ状の沢に出くわす。これを慎重に下降すると、20m程の緩い滝となり、ホールドが豊かなので、クライムダウンする。白ザレを過ぎ、滑滝を幾つか下ると、あとはひたすら続くゴーロを、西へ西へと下って行くのみ。時々流倒木の処理に苦労する以外は、転んで足を痛めないよう注意するだけだ。途中一度、右岸に明瞭な踏跡が登っているので、これを辿ると、右岸の杣道に合流し、やがて杣道から離れて沢に降りる。大堰堤の巻き道として、利用されているのだ。この右岸の杣道は、倒木で使用不能のようだ。再び沢を下ると、大流倒木帯となり、右岸から巻くと、ツェルトを張った跡と思しきポールのケルンがある。

 小立沢は、右岸に林道が走っているはずなので、注意しながら下る。どうもクサイ。右岸の薮が、水平に段になっているようだ。獣道が右岸を登っているのを辿ると、やっぱり林道に出た。草が生え、倒木が塞ごうとも、幅があるので道は残っている。ラジオの時報で、15:00。1350M付近らしい。二時間で、ここまで下ったのだ。

 あとはひたすら林道歩き。築地のガレージ軒下でタルミ。お爺さんに、バス停への道を聞く。道が大立沢沿いを通りかかると、水は濁っていて、なんとなく下降に適さない沢のようである。立沢のバス停を見付けて振り返ると、丁度バスが来る。沼田駅で、約一時間の電車待ちをして帰京。

アルバム(ブログ)

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その1:
三重泉沢下部ゴルジュ
概念図 下部ゴルジュ
詳細溯行図
ゴルジュA
トロ8m奥滑小滝
ゴルジュB入口 ゴルジュC入口
4mCS
その2:
滝ノ沢右俣・
片品川小立沢下降
滝ノ沢右俣
溯行図
滝ノ沢
10m+35m2条
滝ノ沢右俣
5段45m第一段
15m3条
滝ノ沢右俣
10m滑+15m

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