和名倉山二瀬尾根1400M敗退(奥秩父)

MR457 和名倉山二瀬尾根1400M敗退(奥秩父)

date 2002/12/14 快晴
コース 埼大山寮〜吊橋〜二瀬尾根〜1330M反射板〜トラバース道〜1360Mコル〜1400M付近〜1365Mコル〜1369.4P〜1330M反射板〜二瀬尾根〜吊橋〜埼大山寮
実働 4h15m。
メンバー すうじい(単独)
概要 新雪同様の雪に難儀、尾根上を藪漕ぐも1400M付近で引き返す。木登りして両神山撮影。
行程 埼大山寮7:30→1007P 8:40→9:35 1330m反射板10:05→1400M付近引返点10:40→
11:10 1369.4P 11:15→11:20 1330M反射板11:50→12:50埼大山寮
記録  奥秩父には、西の小川山・東の和名倉山という、主脈から外れた名山がある。西の小川山は、その中腹で岩登りの好ルートを提供している。対して東の和名倉山は、四方八方に沢を流下させて、沢登りと藪漕ぎに好ルートを提供しているのではなかろうか。和名倉山への一般ルートと呼べるものは、将監峠近くの山ノ神土から派生する、尾根伝いのコースがあるのみである。

 高一の秋の雲取山登山の時も、大学一年の夏の二又での秩父合宿の際にも、和名倉山は目の前にあった。西の小川山は、1977年に金峰山・瑞牆山と共に、尾根伝いに藪を漕いで登った。しかし、その後の、奥秩父荒川源流溯行シリーズでも、和名倉山の山頂を踏むことは無かったのである。

【12月13日】 晴
 明日の和名倉山アタックに備え、道路状況の下見に出掛けた。R140の大滝村宮平から旧道に入っても、除雪は完璧だ。駒ヶ岳トンネル内で左へ分岐し、二瀬ダムを渡る。間もなく、埼大山寮横の駐車場に至る。道は全く問題ない。

 安心して、二瀬ダムを渡り、トンネルを右折する(左折禁止)。二瀬ダムの入口広場で転回し、不動滝を見に行くことにする。再びトンネルを潜り、今度は直進して不動滝へ向かう。道は二分するが、工事中の下の道を進む。不動滝入口までは、通行可能だったので、ここに車を停める。

 長靴に履き替え、不動滝遊歩道を辿る。雪の積もった吊橋を渡り、対岸を登る。時折、風が吹いて、枝の雪が舞い落ちてくる。十数分で、不動尊の小尾根を越え、不動滝が見える。少し下って、滝の下に立ち、三脚を構える。ひとしきり撮影し、満足して引き上げる。

 車に戻り、往路を引き返す。16時を過ぎ、次第に薄暗くなる中、室外温度は、2度くらいまで下がっていた。

【12月14日】 快晴
 さいたまの自宅を5時前に出て、二瀬ダムを渡り、埼大山寮に着いたのは既に7時を過ぎていた。1330M反射板に、既に朝日が当たっている。またも、出遅れか。車の室外温度計は-3度を示していた。

 ストックを突きながら、吊橋へと下降する。雪の積もった長い吊橋を渡る。渡り終えると、湖岸の道は左右に続くが、mina○さんの報告に従い、左へ入る。枯れ葉の積もる杣道を少し行くと、杉林の中で、右へ斜上する踏跡が分岐する。「木の○にテープを巻かないで下さい 地主」とか書いてある壊れかけの立て札が目印となる。

 鬱蒼とした杉林の中で、雪がうっすら積もっており、踏跡を辿るのもなかなか大変である。昨日あたりのものと思われる、スパイク地下足袋?のトレースを参考にする。昨日偵察時に見掛けた、犬連れのハンターのものかもしれない。杉林では、幾つか梯子が杉の木に立て掛けてあり、枝打ち作業中だったのか、終わったのかもしれない。

 一度尾根上に出るが、再び尾根左手の杉林の中の踏跡を辿る。やがて、尾根上の踏跡を辿るようになる。積雪は、5cm程度であろうか。約1時間で、1007Pらしき地形に至る。この先、積雪は10cm程度に増え、踏跡の判別もややこしくなる。足元も不安定で、登りに時間が掛かる。スパイク地下足袋のトレースも、いい加減に着いていて、当てにならない。

 いつの間にか、トレース皆無となり、雪面の微妙なくぼみと木の間隔だけで、踏跡を判断する。新雪同様の柔らか雪で、下の枯葉もよく滑る。動物達の足跡が、縦横に見られる。大型動物も、偶蹄類だけではなさそうだ。「反射板は未だかいな」と黙々と登高を続ける。

 やがて、踏跡は左手へトラバースし始める。山側は雪を被った笹藪、谷側は疎林の雪斜面で、バランスを崩すと落ちそうだ。笹の雪を落としながら前進し、吹き溜まりをラッセルをしながら登ると、やっと1330M反射板に出た。

 反射板付近では、積雪15cmぐらいか。範囲は限られているものの、なかなか展望の良い所である。奥武蔵から、足尾方面まで見渡せる。これまでの笹藪の雪に難儀するくらいだから、造林小屋から先の笹藪急登が困難極まりないことが予想できるため、今日はこの辺で引き返すことにする。敗退決定により、気分的にも、時間的にも余裕が出る。

 三脚を立てて、雪の日光連山を撮影する。場所を変えれば、足尾から赤城山付近まで見える。ひとしきり撮影して、トラバース道を少し偵察しておくことにする。一見、幅広に見える道だが、路肩に寄り過ぎると、雪を踏み抜いて落っこちかける。しばらく行くと、右手に切り開きがあり、これを辿ると、1365Mコルに出た。この辺り、積雪20cmぐらいありそうで、どこでも歩けそうだ。

 落葉樹の枝越しに、両神山らしき姿が見える。少し欲が出て、尾根伝いに登ってみることにする。藪を漕ぎながら登り、やがて獣道らしきものを辿る。偶蹄類や熊らしい足跡が、多数見られる。熊鈴を振り、時折声を上げながら、なおも登る。いくら登っても、落葉樹の枝が邪魔をして、展望は得られそうもない。次第に、熊の足跡を追っているような気がしてきて、深入りを止める。1400M付近だ。

 少し下った1380M付近で、適当な木に登り、枝の間の両神山と浅間山を撮影する。撮影中も、熊が現れはしないかと、気が気ではなかった。尾根を1365Mコルまで下り、さらに1369.4M三角点まで登る。落葉樹林の中であり、枝越しに両神山が垣間見える。適当に藪を漕ぎ下り、反射板近くのトラバース道に出る。

 再び反射板に出て、眺めの良いところでオニギリを食べよう。テルモスのダージリンファーストフラッシュが、熱くてうまい。ミカンも冷たくて美味しい。i-modeで、これから下山する旨、メールを送る。三峰のアンテナのお蔭か、三本バリバリである。

 帰りも、反射板直下の、吹き溜まりの急降下と、笹藪トラバースで、再び雪を浴びる。そのあとは、足を滑らせないよう、バランスを取りながら、サクサク下る。最後の暗い杉林では、踏跡を外さぬよう注意が必要だが、さほど困難もなく、吊橋まで下り着く。

 吊橋を渡り、駐車場まで登り返せば、反射板から丁度1時間だった。二瀬尾根を振り返れば、反射板が遙か上方に望まれる。ここで、最後の一枚のフィルムを消費する。満足して荷を片付け、車に乗り込む。この場所も三本バリバリだった。

アルバム

「滝見亭・南関東の滝」に「大除沢'02-12_」があります

出発地点の埼大山寮横駐車場
駐車場から吊橋と二瀬尾根下部
一番高く見えるのが1369.4P
吊橋を渡る
1000M付近の尾根上
左側は杉林、右側は落葉樹林
大型動物の足跡
これはカモシカかな?
雪の表面の結晶が面白い
1330M反射板からの眺め
1330M反射板から日光方面
1330M反射板から足尾・日光の山々
同じく秩父市街と武甲山
秩父市街と武甲山のズームアップ
1380M付近から見た両神山と浅間山
木に登って撮影
1369.4M三角点付近から
樹林越しの両神山
1330M反射板
反射板から俯瞰する
二瀬ダムと吊橋
反射板から三峰山・熊倉山方面
同じく日光から足尾の山々

表紙
のホームページの館へ
の表紙へ
本館