硫黄岳・東天狗岳(八ヶ岳)

date 1996/9/14-16 雨、晴、晴
コース 稲子湯〜みどり池〜本沢温泉〜硫黄岳〜東天狗岳〜中山峠〜みどり池〜稲子湯
実働 hm。
メンバー すうじい、他1名
概要 本沢温泉から縦走し、しらびそ小屋でリスを見る
行程 →:山道、:溯行、\\:藪漕ぎ
【9月14日】 雨
稲子湯10:30→唐沢橋ゲート10:47→12:30みどり池13:00→14:15本沢温泉(泊)

【9月15日】 晴
本沢温泉7:00→8:00夏沢峠8:20→9:23硫黄岳10:00→10:30夏沢峠11:35→12:25根石岳12:35→13:05東天狗岳13:55→中山峠14:50→16:05みどり池しらびそ小屋(泊)

【9月16日】 晴
しらびそ小屋9:20→唐沢橋ゲート10:30→10:50稲子湯
記録  当初、袖沢御神楽沢の釣りを考えていたのだが、会津駒の登りがシンドそうなので、小屋泊まりの紅葉山行に切り替えた。本沢温泉泊は、残念な内容だったが、二泊目のみどり池のしらびそ小屋泊は、楽しかった。

【9月14日】 雨
 早朝、自宅を発ち、稲子湯に着いたのは、10時になっていた。身支度して、出発する。始め登山道を歩くが、雨の中ビチャビチャ道で靴が濡れそうなため、林道に出た所から林道沿いを歩く。20分ほどで、唐沢橋のゲートに至るが、ここに10台ほど車が止めてある。R299に抜ける道は、通行可能のようだ。

 唐沢橋を渡り、さらに林道を登って行く。林道終点付近に、1台の車が止めてある。営林署関係の車かな。登山道に入り、沢沿いの道を進む。時々森林軌道跡に乗る。

 雨も降っているし、腹も空いたので、みどり池のしらびそ小屋でラーメンを食べる。漬物付きで、700円。塩漬けのキノコが入っているので、しょっぱくて喉が渇く。この小屋では、主の今井行雄さんがリスを餌付けしていて、窓のすぐ外にリスを見ることが出来る。

 小屋の中に張ってある写真の姿と比べて、今外にいるリスの耳が小さいので、「あれ、耳が違うなあ。」と言ったら、ストーブの向こう側にいたオジサンが、「あの写真は、冬毛なんだよ。」と教えてくれた。どこかで見た人だと思ったら、小屋の主の今井さんだった。ストーブの横には、若い雌犬ラッキーがいた。ラーメンもそこそこに、リスを撮影する。

 小屋を後にして、本沢温泉へ向かう。右に中山峠への道を分け、少し行くと、先程のラッキーを連れた主に追い越される。主の手には、犬の糞ならぬ、キノコが一杯入ったレジ袋が提げられている。

 しばらく行くと、ワンワン吠える声が聞こえ、すれ違う登山者が、「こんな所に犬が繋いであるよ。」と驚いている。木の根にラッキーが繋がれ、吠えている。主はキノコ採りの最中らしく、姿が見えない。道はやがて下りとなり、本沢温泉のジープの通る林道に出る。間もなく本沢温泉に至る。

 受付の青年が難色であった。二泊分の予約をしてあったにも拘らず、ぶつぶつ訳の分からぬ事を言い、翌朝もう一度連泊の意思を示せなどと言う。この青年は、接客のマナーも知らず、口の利き方もぶっきらぼうであった。唖然としつつも、まあ堪えて手続する。他の客が「公衆電話はありますか?」と尋ねれば、一言「無い。」と答え、こちらも思わず吹き出しそうになる。

 新館は、木の香りも新しい建物だが、暖房が無く寒々しい。とりあえず、沢沿いの野天風呂に出掛けよう。雨の山道を少し登って、川原の野天風呂に至ると、1畳ほどの湯舟に5-6人の男が入っている。みんなが上がるのを待って、何とか入ってみる。

 あとからあとから人が来るので、そそくさと引き上げる。戻る途中で、体が冷えてしまう。内湯に入ってみるが、湯はぬるく、給湯口からは湯が出ていない。一緒に入っていた人も言っていたが、しばらく湯を入れ替えていないらしく、少々臭い。

 いろいろと、ガッカリすることが多い。受付の青年の応対の悪さは、個人的な問題かとも思ったのだが、あんな人物を受付に置いていること、温泉宿の命である湯の手入れの悪さを見れば、どうやらここは、日本第二の高所温泉で有名なことに胡坐をかき、ふんぞり返って殿様商売をしているようだ。

 ふたたび入浴する気を起させない内湯に気分を害し、あとは夕食のみが楽しみだ。食事は、山小屋としては立派であり、うどん入りの鍋をみんなでつっつくスタイルも面白い。子供だましのフルーツ入りゼリーも付いた。早めに寝る。

【9月15日】 晴
 目覚めると、窓からから硫黄岳の爆裂火口が見えている。ガスも次第に薄くなってゆく。朝食後、例の受付青年に、連泊のキャンセルを告げ、パッキングして出発する。ええい、どんなに山小屋が混んでいようと、ここに連泊するよりは、遥かに気分が良いはずだ。

 例の川原の野天風呂に寄ってみると、二人ほど入浴中だ。道はやがてひんやりとした樹林の中を登り、一時間ほどで夏沢峠に至る。ここには、ヤマネとモモンガのいる山びこ荘と、改築なったばかりのヒュッテ夏沢とが、道を挟んで並んでいる。峠から西を望むと、木曽御嶽や、乗鞍、槍穂、立山・剱が、雲海の上に顔を覗かせている。

 荷物をデポして、硫黄岳に取付く。森林限界を超え、草紅葉の始まっている草地を登って行くうち、左手は爆裂火口の絶壁となる。恐々見下ろすと、傾斜が緩くなり、やがて平らな硫黄岳山頂に至る。

 結構な人出である。南方には、横岳、赤岳、阿弥陀岳の南八ヶ岳、南アルプスの山々。北方には、天狗岳。そして、峠からも見えた、木曽御嶽、乗鞍、立山、剱。しばらく夢中で撮影に没頭する。おやつを食べ、夏沢峠へ戻る。

 明るい峠のベンチで、本沢温泉の弁当を広げる。千円にしては、飯の量が少ない。一時間ほどゆっくりして、荷を背負い、根石岳を目指す。針葉樹林帯の登りの途中で、ギンリョウソウを見掛ける。マイヅルソウの褐色斑の実や、ゴゼンタチバナの赤い実も生っている。ナルコユリ風の赤い実は、タケシマランの実であろうか。

 オーレン小屋からの道が合流すると、間もなく樹林を抜け、根石山荘のあるザレ地に出る。この辺りは、コマクサの群落地で、ロープで囲ってある。7月頃来れば、ピンクの可憐な花が見られるのであろう。登り切ると、根石岳山頂である。

 根石岳から北へ少し下ると、吹きっ晒しの砂地の鞍部となり、東天狗への登りにかかる。岩稜に付けられた道を登って行き、ふと振り返ると、茶色と白の夏毛のオコジョが、今通り過ぎた道を横切るではないか。その後、もう一度岩の上を走って逃げるのが見えた。結構人通りのあるこんな稜線で、オコジョが出るものなんだなあ。

 東天狗岳の山頂は、まさに人だかりである。ここは、北八ヶ岳随一の好展望とされ、今回最後のピークでもあるので、ゆっくり休憩する。西天狗の東面が、ナナカマドであろうか、僅かに紅葉している。十分に展望と撮影を楽しんだ後、天狗の奥庭を見下ろしながら、中山峠への道を下る。

 稲子岳の南壁やニュウが間近になり、やがて中山峠に至る。中山峠から東へは、あまり人が通らないのか、ちょっと歩き難い急な道を下る。膝がガクガクしてくる頃、やっと傾斜が緩くなり、針葉樹林の落ち着いた道を辿る。本沢温泉からの道と合流すれば、間もなくみどり池畔のしらびそ小屋に至る。

 早速、宿泊の手続きをすると、カリントウと焙じ茶のサービスがある。外のベンチで頂く。可愛い雌犬ラッキーもいるし、時々リスもやって来るので、しばらく外で過ごす。

 寒くなって来ると、小屋に入り、夕食まで備え付けの本を見る。夕食は、一階の畳敷きにテーブルを並べて、賑やかに家族的に食べる。雰囲気が良いせいか、やたらと旨い。夕食後は一気に、みんな打ち解けた空気になった。

 ただ一つの難点は、夜の暑かったこと。そして、部屋は「大鼾相撲しらびそ場所」の三役揃い踏み。おかげで、寝不足になってしまった。

【9月16日】 晴
 今日は下山するだけなので、朝食後ゆっくりと、リスや小鳥の撮影をした。コガラ、ヒガラ、ゴジュウカラも、リスの餌台にやって来る。あまり粘るのもなんだから、一旦小屋を出て、外の日なたでお茶を沸かす。アオジの雌が近くにとまり、撮影する。小屋で一緒だったパーティに、クッキーをご馳走になる。

 ゆっくりパッキングして、稲子湯へ向かう。下りは楽だ。林道に出てからは、林道沿いをタラタラ歩く。

 稲子湯は混んでそうなので、車に乗り、ぶどう峠越えで塩ノ沢温泉に向かうが、本日予約無しでは入れず、ガッカリ。上野村JA焼肉センターで昼飯を食べて、両神温泉で入浴して帰る。

概念図

アルバム

【一日目】
しらびそ小屋のリス
同上
雨のしらびそ小屋
【二日目】
本沢温泉から、夏沢峠方面
夏沢峠への登山道から、本沢温泉を振り返る
夏沢峠付近から、天狗岳方面
夏沢峠付近から、硫黄岳方面
硫黄岳から、横岳・赤岳
硫黄岳から、赤岳・中岳・阿弥陀岳、奥は南アルプス
硫黄岳から、本沢方面俯瞰
硫黄岳から、天狗岳方面
硫黄岳から、阿弥陀岳と甲斐駒・仙丈
硫黄岳から、横岳・赤岳
中央アルプス
木曽御嶽
乗鞍岳
槍・穂高
槍ヶ岳と大キレット
鹿島槍であろうか
夏沢峠と根石岳南峰
タケシマランの赤い実
東天狗岳から、西天狗岳
東天狗岳から、根石岳・南峰・硫黄岳
東天狗岳から、中山と蓼科山方面
中山峠への下りで、天狗の奥庭を俯瞰
中山峠近くで、天狗岳を振り返る
中山峠付近から、稲子岩
しらびそ小屋前でリスを見る
リス
しらびそ小屋から硫黄岳かな
みどり池と天狗岳
【三日目】
ホシガラス
リス
東天狗岳
みどり池
リス
リス
リス

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