私がピキー(もしくはウーさん)の声を初めて聴いたのは、1981年の夏だったろうか。
道東の大雨のあおりで、日高山脈への入山を諦め、十勝大雪縦走の途中、
トムラウシ山付近で盛んにピキーピキー鳴いてたはずである。

その後、日高幌尻の北カールや七ツ沼カールでも、よく声を聴いた。

そのかわいい姿を初めて目にしたのは、1985年夏、
中部日高山脈コイボクシュシビチャリ川を溯って、カムイエクウチカウシ山を越え、
札内川九の沢カールを下っている時だった。

岩々が累々と積み重なっている場所を通りかかると、
いつもの様に、ピキーの声。
何気なく声の方を見やると、2m程離れた小岩の上に、
緊張しまくった様子で、そいつは居た。
あんまり視力は良くないのか、あらぬ方向を見て、
長くはない耳を、盛んにプルプル震わせていた。
口笛を吹いても、微動だにしない。
やがて、身の危険を感じたか、身を翻しサッと消えた。
岩々の中に隠れたあとも、クチュクチュ声がしていた。

お父さんウサギが一家の安全を守るために、
怖いけれど、精一杯の勇気を振り絞って見張り台に立ち、
隠れたあとも、家族に「危険なやつらが来てるぞ、出ちゃダメだぞ」と
お説教しているのだろうな、と想像した。

ピキーを初めて撮影したのは、1994年9月、
ニペソツ山でたくさん会えた。

調子に乗って、帰りに岩石山にも出掛けた。
ここでも、結構見かけた。

翌1995年9月、
黒テンとナキウサギを撮りたくて、
8ミリビデオとカメラと三脚を担いで、大雪のクワウンナイ川を溯った。
だが、悪天候と疲労とで、撮影どころではなかった。
目の前をピキーが横切っても、カメラを出す余裕はなかった。
ヒサゴ沼の避難小屋で3泊停滞、予備日を使い果たし下山したのだった。

1996年10月、
岩石山まで、ピキーに会いに出掛けたが、
なぜか、ほとんど声すら聴かれなかった。
道路工事の影響なのかも知れない。
暗い気持ちになった。

1997年7月、
デジタルビデオ・一眼レフ・望遠セット・三脚二台・幕営用具一式等、
トムラウシ温泉から、丸一日かけて担ぎ上げ、
トムラウシ山南沼幕営地にベースキャンプを設営。
ここに4泊して、ピキーたちを撮影した。
撮影行の記録と写真には、画像が豊富にありますよ。

2005年7月、
E-1、ED300mmF2.8、テレコンEC-14、一脚担いで、
11年ぶりに、ニペソツ山を再訪。
今回は日帰りだったが、撮影に成功。
E-1自然館の「ニペソツ山」をご覧下さい。

撮影地 date
ナキウサギ 北海道トムラウシ山 1997/7/23-24
お昼寝が
だいすき。

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