毛勝山・毛勝谷スキー(北ア)

date 2003/5/24 晴
コース 阿部木谷取水口手前〜板菱〜毛勝谷〜毛勝山(往復)
実働 5h55m
メンバー すうじい(単独)
概要 片貝山荘泊。毛勝谷急登の辛さ、剱・後立の展望、そして標高差1160Mの大滑降。
行程 →:ツボ足、:シール、**:アイゼン、:スキー、=:乗物
【5月23日】 曇りのち晴
川越IC 10:10=13:35魚津14:30=15:20宗次郎谷出合=片貝山荘(泊)

【5月24日】 晴
片貝山荘4:35=4:50阿部木谷取水口下5:20→最終堰堤5:45→6:20大明神沢出合6:307:15三ノ又7:30**2140M二俣8:50**10:00南峰東直下コル10:2010:35毛勝山11:3011:40南峰東直下コル11:50三ノ又12:2512:30大明神沢出合12:45→13:05最終堰堤13:10→13:25阿部木谷取水口下13:50=魚津IC 14:30=川越IC 18:50
記録  '81年に、山スキーの師匠であるYk君と、安達太良・吾妻蔵王のスキーに出掛けた時、宮城蔵王スキー場で知り合った山スキーヤーに、毛勝谷のスキーのことを聞いた。その後、Yk君は、毛勝に出掛けたようであったが、私は訪れる機会が無かった。

 '01年に、剱岳〜池ノ平山の縦走をし、剱北方稜線への関心が高まってくると、大窓から北の山々、そして毛勝三山が気になってきた。まともな夏道の無い山々、残雪期に登るべき山々。毛勝山は、毛勝谷雪渓を登下降するのが一般的だという。これはスキーしない手はない。

【5月23日】 曇りのち晴
 川越ICから関越道・上信越道経由し、北陸道魚津ICで降りる。市内の中心街で、給油と食糧調達。それから、県道を真っ直ぐ、山へ向かう。東蔵を経て、片貝川沿いに進む。東又発電所横の片貝山荘を確認し、その先の僧ヶ岳登山道入口先で、橋を渡り、阿部木谷右岸沿いの林道を登る。

 宗次郎谷出合付近では、阿部木谷の工事中である。ショベルカーやダンプカーが、忙しく動いている。果たして、明日は登山出来るのか、ちょっと不安になる。引き返して、橋を渡り、東又谷の林道に少し入って、枝沢の水を補給する。

 片貝山荘前の橋のたもとに駐車し、無人の小屋に入る。電気が使えるし、ポンプで川水も汲み上げることが出来る。早めに横になるが、緊張のためか、なかなか寝付かれない。夜中の1時過ぎに1パーティ、夜明け前に、さらにもう1パーティがやって来たようだ。

【5月24日】 晴
 薄明るくなって来たので、慌ててカップ麺を食べ、出発する。車で上って行くと、昨日の工事現場はまだ静かだ。取水口下の駐車スペースまで行くと、既に1台車が停まっており、既に出発したらしい。準備をしていると、続々と車が到着する。三脚・カメラを背負い、ザックにスキーを固定して、さあ出発だ。

 左岸沿いの林道を進むと、やがてデブリに埋まる。これをトラバースし、トレースを辿る。所々林道跡が現れる。最終堰堤は、右手の踏跡をよじ登り、上に立つ。最終堰堤から上は、ほぼ雪渓上を歩ける。流れが出ている場所もあるが、左岸沿いをトラバース出来る。時折、左岸側の上部から、氷や岩の落ちる音がする。

 大明神沢出合まで来ると、正面の大明神沢には岩雪崩の跡が多い。左手の毛勝谷の状態は、悪くない。先行の単独登山者が、かなり上を登っている。ここからシール+クトーで登ることにする。後続のカップル登山者に追い越される。

 スキーを履いたお陰で、大分楽である。三ノ又までは、シール+クトーで着実に登る。時折、「ズリ」をするので、傾斜が急になる前に、シートラーゲンせねばなるまい。三ノ又少し上で、ザックにスキーを固定し、アイゼン着用とする。

 これから先が、急傾斜の、ほぼ一直線に落ちる雪渓なのだ。先行者、後続が一目で見えてしまう。天国と地獄を繋ぐ、一本の滑り台。途中では、休憩もままならない。いつ落石・ブロック崩壊が来ても対処出来るよう、常に周囲を警戒しつつ、アイゼンにも気を遣いつつ、重荷と急勾配に汗しつつ、永久に終わることの無いかのような登高を続けるのだ。

 先頭の単独登山者は、2140M二俣で、より急な左に入って行った。二番手のカップルは、右に入って行くのを見て、内心ホッとする。北面の毛勝谷にも、陽が差し始めた。やばい、ブロック崩壊の時間帯になってしまった。2140M二俣に達する間に、私と同様ヘルメットを被った単独のスキーヤー、更にもう一人の単独登山者に、追い抜かれる。私の装備が一番重いからに違いないと、自分に言い訳しながら、マイペースで登る。

 2140M二俣では、予定通り右に入る。暑さと疲労で、気が遠くなりそうだ。集中力を失えば、滑落のリスクが増す。ひたすら我慢で、登高を続けるしかない。振り返れば、いつの間にか、僧ヶ岳が姿を見せている。稜線に近付くにつれ、更に傾斜がきつくなる。最後の雪壁状を越せば、傾斜が緩んで、南峰東直下コルに至る。

 少しブッシュが出ている数メートルを歩き、コル南東面の雪庇の上に出る。いきなり、剱岳が姿を現す。感動の対面だ。右手に大雪庇を抱く毛勝山南峰、雪庇ズタズタの北谷山、猫又山と続いている。剱岳北方稜線の山々がズラリと列んでいる。左手には、後立の鹿島槍、五竜岳、唐松岳、白馬連峰と続く。

 スポーツ飲料をガブ飲みする。一眼レフを出して、撮影しまくりだ。折角なので、ここからシールで登ることにする。雪庇の付け根のトレースを追う。小ピークを越え、北峰直下コルまで、シール滑降。更に毛勝山頂まで、シールでゆっくり登る。狭い山頂の南東側に、小雪原状のニセピークが出来ている。

 小雪原にスキーを置いて、地面の出た狭い山頂を踏む。三脚と一眼レフを出して、小雪原から、剱北方稜線を撮影しよう。ガスが出始めて、剱岳も隠れ勝ちになってきた。単独の登山者は、「毛勝には何度も登っているが、こんなに剱岳が見えたのは、初めてだ」と言っていた。僧ヶ岳も、ついに雲に隠れてしまう。毛勝谷からは、ブロックや岩の落ちる音が、時折聞こえて来る。

 直下コルまでシール滑降し、小ピークまで登り返し、南峰東直下コルまでシール滑降。ツボ足でブッシュを越え、いよいよ大滑降準備だ。適度に気温も上がり、雪渓に陽が当たって、快適なザラメ雪。ターンに支障は無い。しかしながら、滑り出しの急傾斜は、かなりのものだ。

 バランスを崩すと、何百メートル落ちることやら・・・。しかも、この時間帯、最後の急斜面を、続々と登山者が登ってくる。滑落でもしようものなら、皆さんに大迷惑を掛けてしまうであろう。心理的なプレッシャーは、凄いものがあった。登山者のトレースは、崩しては申し訳ないし、またこちらにとってもスキーに引っ掛かって転倒する可能性がある。

 なるべくトレースを避けつつ、最初は一ターン毎に停止して、慎重に滑降開始。次第に連続のターンが出来るようになる。スピードを出し過ぎないよう、注意しつつ、呼吸を整えながら下って行く。2140M二俣付近まで下ると、登山者も減り、気分的にはかなり楽になる。マイペースで滑降を続ける。三ノ又まで35分で下る。

 ここから、谷は左に曲がり、傾斜が緩くなるが、少し雪が堅くなる。わずか5分で、大明神沢出合まで到達する。大明神沢出合は標高1200Mくらいだから、コルから標高差1160Mの大滑降をしたことになる。大明神沢を見上げると、朝方よりも落石が増えているようだ。

 出合から下は、雪渓上に落石だらけで、スキーのソールが傷つきそうなので、板を外す。大明神沢を下降してくる「勇気」あるパーティがいたのには、驚いた。スキーをザックに固定し、もと来たコースをツボ足で下る。さすがに、下りは速い。20分で最終堰堤まで至る。

 さらに、歩きにくい堰堤群左岸のコースを下り、無事取水口下の車に戻る。期待以上の大滑降に満足し、また疲労もしたので、まだ時間も早いこともあり、明日の僧ヶ岳登山をキャンセルして、帰宅を決意する。荷物を整理し、早々と魚津ICを目指す。

アルバム

東又発電所横の片貝山荘
魚津市教育委員会管理で、電気が使えて快適だ
阿部木谷最終堰堤付近
板菱を抜けた辺りから、阿部木谷を見上げる
大明神沢出合から、毛勝谷を見上げる
大明神沢出合から、大明神沢を見上げる
毛勝谷に入ってしばらく登ると、上部の急斜面が見えてきた
三ノ又付近から、毛勝谷上部の急斜面を見上げる
毛勝谷上部の急斜面にて、2140M二俣を見上げる
毛勝谷上部の急斜面にて、振り返る
2140M二俣付近から、右俣の様子
稜線の南峰東直下コルから、駒ヶ岳を望む
稜線の南峰直下コルから、剱岳
稜線の南峰東直下コルから、釜谷山・猫又山と剱岳
稜線の南峰東直下コルから、後立の五竜岳・鹿島槍
毛勝山頂より、南峰・釜谷山・猫又山
毛勝山頂より、鹿島槍か
毛勝山頂より、毛勝南峰と釜谷山
毛勝山頂より、滝倉山・サンナビキ山
毛勝谷最上部から俯瞰
この辺り登山者がまだ多く、滑降に気を遣う
雪は絶好のザラメ
2140M二俣付近からは登山者もいなくなり、かなり気楽に滑ることが出来る
大明神沢出合から、大明神沢を見上げる
落石音頻発するこの沢を下降してくるパーティがいた

の表紙へ
本館トップページへ